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五竜T行事「スキー技術強化合宿・陸上編」
平成19年1月12日(金)〜14日(日)白馬五竜スキー場
大井智子 広報委員

雪上での顔合わせ

園部さん撮影のビデオを上映しました

◆地下室でのミーティング

 12日(金)の晩、本部宿「ウルル」の地下1階の一室では、強化合宿のミーティングが行われていた。ラウンジでの専門委員のミーティングが一段落し、取材のために地下に降りていったのはすでに20時。

 そこでは真剣な雰囲気の中で、ミーティングが続いていた。園部修SAK専門委員がビデオ撮影した班員の滑りがテレビ画面に写り、外部講師として参加した新潟県十日町スキークラブ所属の岡田慎さんがアドバイスする。みな、来週のスキー技術選手権大会の県予選に向けて集中し、静かに耳を傾けている。

 ビデオが終わると、質疑応答の時間となった。

 カービングの感覚について質問を受けた岡田さんが、「つま先から土踏まずまで使って、カービングしている感覚です。踏むのを早くやめれば、板は走り、スキーも横に出て行きません。後半に踏んでしまうと、スキーが寝てしまい、外足が伸びて行ってしまいます。もっと早く板に乗りこんで、反発が返ってくるのがいいですね」と答える。おおっ。そういう感覚なのかっ。なんだか、とてもわかりやすい。


岡田さんの熱い語り

みんなで車座になって……

◆岡田さんの熱心な説明

 さらに、小回りの感覚についての質問が続く。岡田さんは、「ターンが終わって切り換えて、真横に移動する人が多いですが、それでは角が立ってしまい、動きがロックされ、後半まで動けなくなります。もっと腰の位置を、外スキー寄りの小指寄りに動かしていく感覚です。外スキーより内スキーが先行してしまい、内膝が先行する人は多いですが、むしろ外スキーが先行するような感覚です」と答える。ううむ。「横に動くとロックする」という感じはなんとなくわかるが、この辺りの内容は、さすがに高度な感じだ。

 さらに「ターンが終わって切り替わってから、一緒に横に行きつつ、落ちて行ってターン弧ができる感じです。ターン弧ができると、後半、楽に勝手に板が返ってくるので、体を柔らかく使って逃がしてあげます」のだという。後半は、もうスキーに仕事はさせずに、スキーの行きたい方向に行かせてあげて、次のターンの準備をするのだそうだ。なんだか、とっても優雅な小回りだな。


体が内に入り過ぎない岡田さんの滑り

雪上でも議論?

◆質問タイム

 岡田さんの説明を聞き逃さないように、みんな微動だにせず耳を澄ませている。さらに岡田さんが、「今日の急斜面のバーン状況は、ひねってあげた方が制動を効かせやすかったですね。スキーを外に出していって、スキーが戻ってくるという、僕の中ではひねり的な動きでした」と話すと、ある班員が、「遅れないように、つま先側で板を落としていましたが、かかとが軽くなって送り出してしまいました。ゆっくり外に押していけなかったのですが」と質問した。岡田さんは、「ポジションが高いので足もとの操作がふわつくのです。ポジションが低めだと斜面に張りつき、低くしてつま先に行くと、常に雪面に圧をかけられます。常にコンタクトをキープできると僕は考えています」と答えた。

 別の班員は、「切り換えの時、どれぐらい動けばいいのでしょうか」と質問した。おおっ。いい質問だ。岡田さんは、「ターン後半、切り換えてフラットになって、腰から肩のラインをもっと雪面に垂直に持っていくと動けると思います。膝だけ動くと、体が残ってしまいます。腰のポジションが残ると壁を作ってしまいます。切り換えたあと、斜面に垂直に立ってあげるイメージでもいいかもしれませんね」と教えてくれた。なるほどっ。こんど、やってみよう!


質疑応答です

壁時計で説明

◆4時の方向でね……

 さらに、女性の班員が「大回りの時、山回りから谷回りの体の動かし方はどのようなイメージですか?」と聞いた。岡田さんは、「山回りから谷回りに入っていくところで、『自分がどういうラインで滑っていくといいか』を想像します。ターン後半から前半にかけて、縦に斜滑降するイメージでやるといいでしょう。後半、楽に斜め下に落ちて行くイメージです。中盤にかけては、上体をしっかりフォールライン方向に向けてあげます。するとスキーが回りすぎす、次のターン方向に行ってくれます」と話し、続いていすによじ登り、壁にかかっていた時計を指差した。

 時計の針の方向を使っての説明だ。それによれば、12時の方向から始まる前半部分で重心移動し、4時の方向でスキーにテンションをかけるのをやめて徐々に次のターンに入っていくそうだ。普通は、5時の方向でやめてしまうスキーヤーが多く、その結果、スキーと重心が離れすぎてしまうそうだ。切り換えて、一気に離れすぎてしまうので、自分の足場が作れなくなる。中盤にかけて徐々に入っていくのがポイントだという。

 このほかにも、聞いていて、「ほほうっ!なるほど!!」と手を打ちたくなるようなアドバイスが満載だった。ミーティングは、永遠に続いてしまいそうな熱気に包まれていたが、そろそろ終了時間だ。最後に、園部SAK専門委員から、「岡田さんは、若くて、しかも隠さずにいろいろなことを教えてくれます。ヒントをたくさんもらって、様々な角度から直すべきところを一つでも発見してください。なにか一つ得るものがあれば、次につながり、意味があります。今日は、みんな岡田さんと同じスピードで降りてこようとしていましたが、ケガをしないようにしてください。同じスピード降りることよりも、自分の運動要素を引き出して、岡田さんと同じ動きを試みてほしいと思います」と的確なアドバイスがあて、ミーティングが終了した。


みな最後まで真剣でした

園部さんからの総括

◆強化合宿の楽しみ・昔の協会編

 ああ、なんだか感動した。自分は講習を受けていないが、とてもためになって得した感じがした。

 昔、自分が準指導員を受検していたころ、所属する横浜スキー協会が企画する強化合宿に何度か参加したことがあった。準指の検定会場だった長野県戸隠スキー場で、全日本のデモンストレーターを呼んで有料の講習会を開いていたのだ。歳の順に細かく刻まれて班分けされるいつもの養成講習会と違い、強化合宿の班分けでは年齢層が大きく飛んでいた。ふだんは一緒の班にはならない、やさしい“お兄さんたち”と知り合ったりした。ここ五竜行事Tでは、なぜか、あの強化合宿で知り合ったスキーヤーとよく再開する。今回、大学生の娘さんを連れて、親子で参加した千葉さんも、その一人。「おうっ」と気軽にあいさつできるのがうれしい。しかし、ううっ。時間の経過を感じる……。

 当時、私が参加していた強化合宿では、スキーのテレビや雑誌に出てくる有名なデモたちがスキーを教えてくれて、宿の玄関前では雪まみれになって遊んでもらった。ああ、懐かしい。楽しかった。レベルの差は大きく開いていても、カッコイイ滑りを生で見ることができて、うれしかった。

 さつきまでのミーティングでは、いい緊張感の高まりを感じさせていた。けれど、今日の受講生たちも、宿に帰ったらみんなで打ち解けているのだろう。あんな楽しい晩を過ごすのだろうなと思った。

「スキー技術強化合宿・インタビュー編」に続く。


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