五竜T行事「ハンディキャップ雪上セミナー」 平成19年1月12日(金) 中谷知之 八木智英子 |
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講師 プレジャーサポート協会 馬場理事長、内海ハンディキャップ委員 ◆セミナー報告の前に・・・
丁度、スキー教室参加のために来ていたチェアスキーヤーの菅野さんがモデル(実験台)となってくれることになり、講習終了後、いいもりゲレンデに行き、菅野さんと共に、国島みどり理事がリフト上での救出方法を指導しました。 いいもりゲレンデのリフト担当の皆様が、スキーヤーの安全をしっかり考えて下さっているのがはっきりわかり、とてもありがたく思いました。 こういった索道協会の皆さんの努力のお陰で私たちスキーヤーが楽しく安全にスキーをすることが出来る、ということも忘れてはいけない、と思いました。 写真は、神奈川県スキー連盟障がいをお持ちの方のスキー教室にご参加下さっていらっしゃる皆さんと撮影したものと、いいもりリフトの工藤さんとチェスキー菅野さんです。 ◆では、セミナーの様子を・・・1 まずは、基本中の基本、転倒した場合の起こし方についての講義です。転倒した人の体重が軽い場合は楽なのですが、そうでない場合、特に谷側に体が倒れている場合は、「よっこらしょっ」とばかりに、足を持って谷側に足が来るように動かします。それから、起こしにかかります。
このとき、転倒している人と同じ方向に向かず、対面になるように雪面に立つといいそうです。 2 次に、足慣らしも兼ねて、サポートしながら滑る要領について手ほどきを受けることになりました。 ボーゲンで滑ってくる相手を前から支えながら、自分はバックボーゲンで滑る。姿勢は充分腰を落とし蹲踞の体勢で、腰に負担がかからないようにします。この姿勢で相手の様子を見るとともに時々後方(進行方向)の確認も行なう必要があります。
3 次に暴走してしまった相手を制止させる技術のレッスンです。暴走だからどんどんスピードがついていく状態、これを追い越して充分距離をとって前に回りこみ素早くバックボーゲンの姿勢をとり、暴走してくる相手の腰および膝に手をあてて、自分のバックボーゲンのエッジを目いっぱい踏ん張ってブレーキをかけて止まります。
もう1つの方法は、暴走した相手に追いついて横に並び、二人三脚のように内側のスキー板およびブーツ、さらに腰を密着させて、相手の体を支えながら内側のスキー板を押し付けるようにして、相手の外スキーの方向を序々に変え山回りターンさせて止まる方法です。 いずれにしても、暴走している人に追いつかなくてはなりません。レーサーならともかく、これが結構しんどい!とにかく早く追いつこうと相手目がけて直進するのを眺めていた内海講師から「かるく弧を描きながらスピードアップして回り込んだほうが早いですよ」とアドバイスをうけた…納得!! 4 次は、脚力や体力があまり無い人、言葉が理解出来にくい人の場合の、ロープで介助して滑る方法を勉強しました。 ロープを腰に巻いて、後ろから暴走や転倒しないように介助します。 5 アイマスクをしてブラインドスキーの体験をしてみます。まず、先導者の声をもとに、目隠ししたまま、そのあとを歩きます。かるがもの親子のように、何とかちゃんと先導者の後に着いて歩けました。 次に、先導者と二人ペアを組みます。1番難しかったのがリフトの乗り降りです。リフトがいつ来るのか分からない、先導者がタイミングを知らせてくれます。 3・・2・・1といった調子で乗ります。リフトを降りる時も、だいぶ前から「リフト支柱17本のうち今15本目通過中」とか事前の情報をもらい、板の接地までのタイミング5・・4・・3・・2・・1と数で知らせてもらいます。
私が先導者の際、30m前とか、あと10mとか言ってしまい、それなりに伝わったように思えましたが、実際目の不自由な方に対して距離でのなげかけは、把握がむずかしいので適切ではないのかなと自問していました。 又、先導者がしっかり声を出して誘導しないと、大変なことになります。このときは、リフトに乗り損なってリフトを止めてしまたグループもありました。 滑る時は先導者が前を滑り、マイク・スピーカーを通じて指示を出したり、あるいは先導者がストックを叩き、その音を頼りに滑っていきます。先導者は「ターン」「ターン」と曲がるタイミングを指示します。その他にも「左前方にネットが有ります」、「右の方で子供たちのレッスンが行なわれています」など、なにげない情報も入れてくれると状況把握も広がっていきます。
目の不自由な方の話を聞くと、普段歩いている時床の勾配、たとえば駅のプラットホームは中央部がふくらんでいて端部にむかって微妙な勾配になっていることも敏感に感知しているそうです。ところが我々がアイマスクをしてゲレンデを滑ってみると勾配の把握が難しくてとても不安になります。とくに斜面の角度に対して自分の滑って行く方向軸の関係が計算できないのでとても不安定です。一方当然といえば当然なのですが斜面に対しての視覚的恐怖みたいなものは薄らぐような気がしました。
6 アウトリガースキーは基本的には、履いたスキーの角付けだけで曲がることが困難な下肢障がい者のための用具です。 ストックの代わりに小さなスキー板が先端に付いたアウトリガーによって方向付けをしてゆくスキーです。体験してみると、低速ではこのアウトリガーの先行に対して同時にスキー板も曲げてしまいどうしても通常の滑りが出てしまいます。むしろ1本足スキーにアウトリガーの組み合わせの方がバランス良くスムーズにターンできたように思えました。高速になった場合は体の傾きもでてきてまた違ったアウトリガーの用い方になるように思えましたが、残念ながらそこまでのレベルアップはできませんでした。
7 最後は、バイスキーの体験です。チェアスキーと違って、板が2本。初心者や、体力・筋力の無い人が使う場合が多いそうです。簡単に座ってハイどうぞ!という訳には行きません。バイスキーから体が振落とされないように、安全ベルトで、何重にもしっかり固定します。慣れるまでは、介助する人が後ろについるバーを持ったり、後ろからロープで引っ張って暴走するのをおさえたりしながら練習します。
沢山のバリエーションを学び、予定時間を大幅に過ぎて一日が、アッと言う間に過ぎて行きました。 この他にも、講習生とリフトに乗る場合、講師が支柱側とリフト小屋側、どちらに乗るかご存知ですか?理由は?など、障がいのある無しに関わらず、覚えておくといいことが満載。 準指導員・指導員、これからスキーを教えてみようと思っていらっしゃる皆さん、是非、勉強してみてはいかがですか?
撮影・美和子・国島みどり・二階堂潤・八木智英子 |
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