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五竜T行事「第9回障がいを持つ人のためのスキー教室」
検定合格者のご感想
 
平成19年1月12日(金)〜14日(日)白馬五竜
ハンディキャップ委員会

1、2級検定員 左から国島理事、山田講師、稲葉主任検定員

左から津末さんと菅野さん

【1級合格 菅野秀明さん】

白馬五竜行事に参加して 昨シーズン車山バッチテストで2級を取得しましたけれどスキーの楽しさや奥の深さ、何より技術と経験不足を痛感しましたので今シーズンは課題を決めて積極的に滑り込みをしておりました。ただ個人練習がほとんどで実際の滑りと思い描くイメージがどの程度シンクロしているのかがわからないのが少々不安に思っていました。講習を受講するとイメージのズレを指摘され自身の癖を修正して頂けました。今回の最大の収穫はリカバリー方法の幅が増えた事で多少無理して滑降していた場面も安全で選択出来るラインが増え、結果として無事に1級取得する事が出来ました。まだまだ未熟な面が沢山ありますのでこれからも協会の行事や練習に励みたいと思います。お世話なりました皆様有難うございました。スキー場で見かけましたらお気軽にお声をかけて下さい

菅野さんです
見かけたら声をかけて下さいね

画像ではわかりませんが、かなりの斜度です

【1級合格者 津末章さん】  

  今までの経緯ですが、平成7年に2級取得後はいずれ1級をと考えた事もありましたが、諸々の事情により挫折していました。スキーは夫婦共通の趣味であり、末長く続ける為にもと一念発起し、紆余曲折ありましたがスキー王国長野県に移住を果たしました。

次は1級と意気込んでレッスン通いを始めましたが、やはり問題発生。私の聴覚障がいを説明しても、講師によっては早口等で、話が判りづらいと悩む時も数知れずといった聴障者ならではのジレンマがありました。そんな時にSAKハンディキャップ委員会を知り、聴障者講師による手話でのレッスンを受講し、お陰様で合格することが出来ました。痛感したのは、私達には手話、口話でのレッスンは精神的に助かるという事です。これからは、更なるレベルアップと共に、上手くはありませんが簡単な手話通訳、聴障者の子供のレッスンなどSAKの活動に、私なりに協力していきたいと思っております。ありがとうございました。


長野在住の津末さん
合格証を受け取る津末さん

主任検定員の稲葉講師から

【3級合格 村井優夫さん】

 今回初めて障がいを持つ方のためのスキー教室に参加させてもらいました村井と申します。私は視覚障がいの1級で、いわゆる全盲です。そのため、スキーの場面と限らず、宿に、戻ってきてからも、日常的に案内を要します。そのような私でありましたが、皆様のお陰で、楽しく二日間を過ごすことが出来ました。先ずは心より感謝申し上げます。
  私のスキー歴としては、まだ視力があったころ、小学校のときに親に連れられて、行ったのが始めです。その後、思春期にかけて、視力をほとんど失ってしまいました。それでも、盲学校の高等部のときに、蔵王で冬季教室があり、スキーをしました。そのときに、先頭を先生がストックを叩いて音を鳴らしながら滑り、その後を生徒がさらに後に続く生徒(盲学校ですので、生徒は皆視覚障がいです)、

「こっちだよ、こっちだよ」と声を出しながら数人連なって、ゲレンデを滑り降りて来ました。そのとき、リフトも乗りましたが、もう20数年前のことですので、シングルのリフトで、一人一人乗っていました。もちろん、乗り降りするときは先生がサイドに着いて、介助していましたが・・・。
  そういう訳で、もう全盲になってしまった大学生のときにも、クラスの友人(健常者)と野沢温泉に行ったり、また、仕事関係の仲間と尾瀬や戸隠などに行ったことがありました。そのとき、私はその都度、それらの友に「ストックを叩きながら、前を滑ってもらえば、後を着いて滑って行けるから」、と言って、スキーをしていました。そして、そんなときはいつも、視力があった若いときの記憶で、大凡の情景を描きながらゲレンデを滑走していました。それは今でも同じです。白銀の斜面のサイドには緑の上に雪がかぶり白くなった木々、片側斜面には谷間。リフトがカタカタ音を立てて、連なっていく様子。そして、リフトを支えるオレンジ色の鉄塔。私は、足裏で斜面の変化を感じ取りながら、前を滑るガイドの方が、スピーカーで案内する声と、ベルやストックを叩いて鳴らす音を追って滑って行きます。ガイドの方がターンする度に、その音が右に行ったり、左に行ったり、ガイドの方の陰が移動して行きます。そんな姿がいつも見えています。もちろん、全盲ですので、実際には見えていないのですが、目の前には、そんな風に映像が広がっています。とはいっても、私が見えていたころの記憶からイメージされている情景ですので、色や形など、20年前のままです。


内海委員と村井さん

左から村井さん、内海委員、岩渕講師


  今回、初日に内海委員と岩淵講師、二日目に検定を受けた後、土井講師に案内してもらいました。内海委員が先ず、私と滑り、ガイドの仕方の見本を見せた後、岩淵講師、土井講師とご一緒させてもらいました。初日は、私が翌日に3級のバッジテストを受けるということで、飯盛ゲレンデの下の緩斜面で、岩淵講師にコーチを受けました。それほど混み合っているゲレンデではありませんでしたが、そこそこ人がいて、視覚障がいの私をどのようなコースで案内するか、大変気を遣われたことと思います。それでも、大回り、小回りの練習をする中で、もうちょっと前傾姿勢を取った方が良いなあ、とアドバイスをくださりました。これが翌日の検定で効いたようで、板を安定させて滑ることができました。
  二日目は、バッジテスト。私はこのようなテストは初めてだったので、どんなものか楽しみ半分、緊張半分でした。内海委員がスピーカーとベルで音を出しながら、私の前を真っ直ぐに滑り、その後を私が自分なりに、小回り、大回りのターンを組み立てて滑って行くというものでした。これは初めての経験だったので、どんなことになるかなあ、とちょっと不安でした。

スタートの際、自分自身に力を抜いて滑るのだ、前傾をもうちょっと取るのだと言い聞かせました。

そして、スタート。内海さんが出す音を中心に、それを右に左に聞きながら降りてきました。終わって見て、力を抜くと心がけたものの、腰や膝の動き、上下運動など足りなかったかなあ、と反省しました。

念入りな打ち合わせ 中谷委員の話
に熱心に耳を傾ける講師の皆様

検定の様子 

そのようにして、テストが終わり、結果は最後のお楽しみ。閉会まで時間があったので、土井講師にガイドをしてもらい、同じコースを数本滑りました。このときが一番楽しかったです。ゲレンデにはほとんど人がいなく、貸し切り状態になってました。スピードに乗って、一気に下まで降りて来れました。いかにも、滑ったという満足感がありました。
  そして、エスカルプラザに戻ってきて、閉会式。

お楽しみのバッジの結果は、3級合格。
指導してくださった岩淵講師から表彰状とバッジを受け取ることが出来、嬉しい限りでした。

ところで、私が本格的にスキーを上達させたいと思い、スキーをするようになったのはここ2年のことです。10年ぶりぐらいにスキーをする機会があり、そのときやたらと転びました。こんなに自分は下手だったかなあと思うぐらい、なんでもない緩斜面で転んでいました。それは板がカービングになったせいだと自分なりに理由付けしてました。だけど、それがきっかけとなって、急斜面でも、しっかり降りて来れるようになりたい、スキーを上達させたいと思うようになったのです。そして、視覚障がい者関係で、スキークラブを探して、入会の問いあわせをしたのですが、そのような視覚障がい者を中心に活動しているスキークラブは、視覚障がい者が飽和状態で、新たに入会の余地がないというのです。そこで、一般のスキークラブで、どこか私のような視覚障がい者でも受け入れて、一緒に滑ってくれるクラブはないか、メールを出したりしたのですが、結局ありませんでした。それでも、方々にどこかそのようなクラブはないか声をかけていました。

その課程で、内海委員を紹介され、この障がいを持つ方のためのスキー教室に参加することが出来たのです。
  今回、私のガイドではスピーカーを使っていましたが、基本的にはなにか音が出る音源から音が鳴っていれば、それを追って滑っていくことが出来ます。もちろん、スピーカーがあった方が、途中の状況説明を後方から滑ってくるブラインドに伝達しやすいという利点があります。

また、ときおり振り返って、ブラインドの様子を確認したりの滑りとなるため、それなりの技術を要します。ですが、特別な技術という訳でありません。むしろ、ブラインドとガイドの方の間のコミュニケーションがポイントです。そして、ブラインド自身が、いかに「こうしてください」とうまく説明できるか、自分からコミュニケーションを取っていくかがキーとなります。

人の混雑の状況、ゲレンデの斜面の様子、緩斜面か、急斜面か、どのくらいの斜度なのか、こぶはあるのか、ゲレンデの幅など。また、リフトを降りるときのタイミングや降りたらどちら方向に滑って行ったら良いかなど。そして、どのように滑ってもらえば、自分が着いて行けるか?

それらのコミュニケーションをいかに取るかにあります。
  滑り出してからは、ブラインドは自身の足裏で斜面の変化を感じ取りながら、ガイドの方と声をかけあって滑り降りてきます。気持ち良く降りてこれたときは、なんとも楽しいものです。そして、本数を重ねる中に、お互いのコミュニケーションや声をかけるタイミングがうまくいくようになると、徐々にスピードも上がって、スタートからリフト乗り場まで、あっという間に着いてしまうようになって行きます。
  私はそのようにして、何度もスキーをしていますが、それでも、例えブラインドスキーのガイドの経験がある人と滑るときでも、呼吸が合うようになるまで、お互いに苦労します。ですが、呼吸が合い、スピードが上がってくると、なんとも言えない喜びがあります。
  今回のスキー教室では、視覚障がいの参加はこれが初めてと聞いています。私のようなブラインドがガイドの方と滑っている姿を見て、一人でも多くの方にブラインドスキーに関心を持っていただけたら幸いです。

そして、一般のクラブでも、ブラインドや障がい者が一緒にスキーを楽しめるようになれば、素晴らしいなあと思います。この障がいを持つ方のためのスキー教室のような活動が広がり、ノーマライゼーションに一歩でも、近づいてくれればと願っています。
  最後になりましたが、今回一緒に滑ってくださった内海委員、岩淵講師、土井講師、どうもありがとうございました。そして、神谷委員を初めとするハンディキャップ委員の方々、スタッフの方々、皆様に改めて心より感謝申し上げます。これからも、この教室に参加させていただけたら、幸せです。そして、今度は2級・1級と徐々にステップアップ出来るよう、努力して行きたいと思います。これからも、どうぞよろしくお願い申し上げます。            

岩淵主任検定員から合格証を授与

3級合格者左から 村井さん、川平さん

【3級合格 川平達也さんのお父様】

 

この度は、神奈川県スキー連盟ハンディキャップ教室(五竜会場)に参加させていただき有難うございました。初めての参加で、まさか2人の指導員のご指導をいただけるとは思ってもいませんでした。

翌日の検定では息子を3級に合格させて頂いて、とても喜んでおり2級に向けて頑張ると、意気込んでいます。

息子1人に戸惑っている私ですけど、ここまで頑張った甲斐がありました。

色々多様な障がいをお持ちの方々を、御指導されるのは相当に大変でご苦労があったことと思います。受講生の方々が楽しそうにスキーを楽しんでいる姿を見ていて、今までよりも更にスキーが好きになりました。参加して本当に良かったです。岩岳も宜しくお願いします。


左から水附委員、川平さんのお父様
川平さん、須田講師

スキーが大好きな川平さん

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