ホー ム > 行事レポート2002 >指導員養成講習会(1)    4     
平成14年度 指導員養成講習会理論1
平成13年11月3日(日)神奈川県民センター

◆佐々木SAK専門委員 スキースポーツの社会的特性

指導理論編ですが、読んでみるとかなり良くまとまっておりますので、みなさん是非読んでください。

【1】スポーツの必要性と社会的背景
◆私たちの社会のひずみ

・ 個人面では、運動不足と精神的ストレスの過剰が健康を阻害し、生きがいの喪失が問題となっている。→結構問題であり、スキーは非日常を簡単に創出してくれるので、場所も気分も変えて気分転換ができるということでは有効。

・ 社会面では、心の通い合う温かい人間関係が少なくなっているとともに、高度情報化社会に準じた生活欲求、生活スタイルが出現している。
 人間本来の自然な姿→基本的に、体を動かして遊んで仲間を作ると言うことは大切
・ 身体を動かして考え、遊び、仲間と交流すること。

・ 個人の健康や生きがい、心の豊かさが実感できる生活を求める。
世界では、

・ 1968年、ユネスコによる体育・スポーツ国際会議(ICSPE)のスポーツ宣言

・ 1975年、スポーツ・ヨーロッパ会議の「みんなのスポーツ憲章」
わが国では、

・ 1961年、国民の心身の健全な発達と明るく豊かな国民生活の形成を目的とした「スポーツ振興法」により、スポーツの振興に関する施策の基本が示されてきた。→最近ではサッカーのTOTOなどが関係しています。

【2】スキースポーツの社会的特性
 (1)自己実現・自己創造に最適なスポーツ
→昨年の神奈川県の準指受検の問題に出ておりました。確率的には下がるかもしれません。ここでは、わたしも読んでいまして感動したのですが、スキースポーツは自己表現、自己創造に最適なスポーツだということです。自己完結、満足できるのです。他の人から上手いの下手と言われても、自分が午前より午後のほうが上手く滑れたとか、思えればいいのです。ただし、指導員としては客観的な物差しがありますので、基本的には皆さんのモチベーションとして自己の実現、自己の創造が非常に大事だと思います。昨年の問題に、ノルウエーの有名な探検家が出ていましたが、覚えていますか。フリチョフ・ナンセンと言う方で、1889年にグリーンランドを横断しているという凄い方です。名言だと思います。
 あらゆるスポーツのなかで、その王者に値するスポーツがあれば、それはスキーをおいてほかにない。→極地探検家 フリチョフ・ナンセンの言葉

◆スポーツとしてのスキーの特徴
・ 斜面の変化や凹凸、雪の状態の変化などを素早く読み取り、筋肉と中枢神経の微妙なコーディネイトによってつねに最適の動作をとらなければなりません。
・ 複雑に変化する地形、斜面で行われるダイナミックなバランスとリズムの運動なのです。この与えられた条件の中で、自分の持つ最高の技術を自らのパフォーマンスとして具現できた瞬間こそが、スキーヤーとしての最高の喜びがあるのではないかと思います。
・ 日常生活では、経験できないスピードを体感し、それをコントロールしたときの快感と開放感が味わえる。カービングスキーの導入により、皆さんにも短時間で高いレベルの次元を垣間見ることや体験できるようになりました。
・ 非日常ということは、会社、家族等の日常と離れ、物理的な開放が得られます。そこには、社会的な拘束も対人関係も無縁で、精神的な抑圧もありません。
 
(2)自然環境に恵まれたスポーツ
・ 日常生活圏を離れて得る自然の恵み
ア.白銀の山嶺、湖、海等の景観、変化に富んだ気象条件の美しさ・厳しさ、清冽な空気や水、動物との出会い
イ.地元の名物、食べ物や酒
ウ.温泉等

(3)広域活動による滞在型スポーツ
・ 心身ともにリフレッシュされる旅である。→生徒さんを連れて行くときは、ぜひ楽しんでいただけるような指導者となってください。

(4)多様な活動タイプのスポーツ
・ 誰でも楽しむことが出来るスポーツ
・ 性別、年齢、体力、障害の有無に関わらず、生涯にわたって活動できる幅の広さと奥行きの深さを合わせ持つスポーツ→スキーは道具が必要で、ジョギングするよりは突っつき辛いこともありますが、実際には性別年齢、体力、障害の有無にかかわらず、生涯に渡って続けていけるスポーツだと思います。
・ 活動のタイプも、その動機、目的、指向により様々

【3】スポーツ文化としてのスキーの特性
(1) スキー文化の特性
・ スキーは、自らの意思で自由に滑るという運動そのものを楽しむことができ、自然とふれあい、仲間との交流などを生き生きと体験ができる文化なのです。

(2) スキーの楽しさ
  ア.滑る楽しさ
・ 滑るという運動自体の楽しさの中には、一瞬のバランスを復元するために、体と心が反応し、目的とする弧を描くために全身が自然に感応する。
・ 自己の能力に応じて、だれでもスピード感、リズム感、躍動感を心地よい快感として得ることができる。
・ ふだんは考えもしなかった自分の身体と心に向き合い新たな発見をする。
 
イ.スキー活動にともなう楽しさ
・ スキーほどスケールの大きい自然にふれることができ、またチャレンジできるものはありません。
・ 滑る楽しさを共有することで連帯感が生まれ、仲間作りとなっていきます。

(3) 生活文化としての定着
・ スキーとの良い出会いによって、楽しさや満足感を経験した人は、ふたたびスキーの楽しみを味わいたいという欲求が強まり、スキー活動を継続するようになります。

【4】生涯スポーツとしてのスキー
(1) 高度情報化社会
・ スポーツ指導の現場でも例外ではなく、経験と勘にたよるコーチングから科学的な合理性、効率性が優先されるようになってきた。
・ クラブや連盟の組織を通さずとも、選手やデモンストレーターとパソコンを通じた交流も図られるようになってきた。

(2) 高齢社会とスキー
・ 中高年者のレジャーの関心は、
健康、社交、アウトドア、知識・教養
に集中していることから考えて、これらの条件を満足できるスポーツとしてのスキーの役割は重要です。

(3) 自由時間の社会とスキー
・ 冬季における生涯スポーツとして魅力を秘めたスキー活動への参加の機会を提供できるよう努める。

(4) ライフステージにおける生涯スキー
・ 幼年期、児童期、青年期、成人期、中年期、高齢期、各ライフステージにより活動内容や実施上の注意点が異なることに配慮する。

【5】スキー人口と参加パターン
(1) スキー参加の実態
・ 1994年以降、減少傾向にあります。 
→神奈川県は雪なし県です。雪あり県とは違うアプローチで皆さんをスキー場へお連れしたいと考えております。レジャー白書では1993年のピークで1770万人のスキー人口がありましたが、1999年は1210万人にまで落ち込んでしまいました。これを我々でまた盛んにして行きたいということです。

(2) スキー実施者の参加形態
・ 定期的、継続的に参加している組織層から未組織層の増加に対する対応の遅れ。
・ 様々な参加形態を認容することが大事。
挑戦・競技指向、エンジョイ指向、健康志向等

【6】スキー指導者の役割
(1) スキー指導の社会的意義
・ スキー指導者の役割は、たんにスキー技術を教えることだけではありません。対象とする人たちの多様な欲求に応えられるように、スキー環境を用意し、安全で心身ともに満足できる楽しい学習内容を提供することにあります。
・ それによって、個人の欲求を充足させるとともに、健康で、豊かな社会生活が送れるように支援する。

(2) スキー指導者に必要な資質
・ 「より高い技術指導に加え、より深い専門知識、より広い教養とより豊かな人間性」を備えていることが求められるようになった。
・ 生涯スキーの指導者としては、技術指導にとどまることなく、時には人生のよきアドバイザーとしての役割を担うこともあります。

(3) 多様な階層に対する指導者の役割
・ ファミリースキー教室や地域、職域などで初めての人でも参加が容易なスキー行事を提供することが指導者として大切な役割。
・ スキーをやりたくてもできない人たちに対する参加しやすい条件を考慮した総合的で多様なプランの策定。
・ スキーの本質的な楽しさを体得できるよう導き、活動を定期的、継続的に出来るよう指導、助言をする。
・ 時代の趨勢、社会の変化とともに、クラブをはじめとした組織団体は、一般大衆スキーヤーに目を向けた活動・組織へと体質改善を図らなければならない。

(4) 各ライフステージにおける指導者の役割

(5) 多様な対象者に対応する指導者
・ スキーの楽しさを得る手助けのできる指導者
・ スキーに関する興味ある情報が提供できる指導者
・ スキー場や関連施設の安全性、快適性を考慮できる。
・ グループやクラブの育成に指導助言できる。
・ 参加意欲のある行事やスキー教室の企画・開催ができる。


ホー ム > 行事レポート2002 >指導員養成講習会(1)    4