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スキー指導者研修会理論

2012年11月4日(土) 川崎市教育文化会館
広報委員 大井 智子 / 中里 健二


河野太郎会長

猪谷千春 東京都スキー連盟会長

■会長挨拶/河野太郎会長
 本日は長丁場の研修会に出席してくださり、ありがとうございます。ご来賓として、東京都スキー連盟の猪谷千春会長にも参加していただいております。
 神奈川県スキー連盟は、公益財団法人としての新たなスタートを切りました。神奈川県民にスノースポーツの楽しさを体験してもらって感動を与えることを目標の一つに掲げていきたいと思います。もう一つは、スノースポーツの安全について、我々が先頭に立って確保していきたいと思います。神奈川県には指導員資格を持っている人が数多くいます。スノースポーツの楽しさや感動を伝えつつ、安全確保するプロであってほしいと思います。
  また、指導員の資格登録についてはルールを緩和することで、資格が継続できるように試みています。一人でも漏れることなく、資格をつないでいけるように、口コミで伝えていってほしいと思っております。神奈川県のスノースポーツに携わる人たちの底辺を拡大しつつ、頂点を高く上げていくように、みなさんのご支援、ご協力をお願いいたします。


■来賓ご挨拶/猪谷千春 一般財団法人東京都スキー連盟会長 南関東ブロック協議会議長

<理論をやさしく伝えるのが大事>
 お天気のいい中、室内で勉強するのは大変ですが、スキー発展のためによろしくお願いします。河野太郎先生のお父様には日ごろからお世話になっております。また東京都スキー連盟は、神奈川県スキー連盟にもお世話になっております。
 指導員の皆さんの前に立つと、私はスキー資格の5級も持っていないので、いつも劣等感を感じてしまいます。今日はどうぞお手柔らかに。
 8月に東京都スキー連盟の会長になり、研修会や勉強会などに出ていますが、いつも感じるのは、『大変難しい理論が多い』ということです。確かに理論は大切ですが、巷で先生方が語る理論を理解できる一般スキーヤーは少ないでしょう。一番大事なのは、いかに指導者が自分のものとして理論を身につけ、わかりやすく解説し、自分の表現でスキーヤーに伝えていくか、ということです。一番いいのは、理論はまあまあにして、滑って見せてあげるのがわかりやすいのではないでしょうか。その際、いかにやさしく表現するかを考えるのが、教える側の責任です。
 例えば、「前傾姿勢」を「足首から曲げてください」と生徒に言うとします。実は足首から曲げてし→トルツメると、後傾姿勢になってしまうのです。そこで私は「両足の親指の付け根に圧迫感のある姿勢を、とってください」と言うようにしています。これで、前傾姿勢になるのではないでしょうか。

<外向傾姿勢>
  81歳の手習いとして、今日はパワーポイントの資料をつくってきました。80歳の時に東京都スキー連盟の会長になり、この冬から10年振りにスキーを始めました。生まれて初めてカービングスキーを手に取り『どうやって回るんだろう』としげしげ眺めました。『まあいいや。昔のように外向傾姿勢で滑ってみよう』と思って滑ると、全く昔と違わずに滑れました。確かに昔よりも曲がりやすかったです。一般スキーヤーは100分の1秒を競うわけではありません。『美しく滑っているな』と思われることを、望んでいるわけです。
 外向傾姿勢という技術は戦争中もスキーを続けていた父がいろいろな形を研究してたどりついたもので、外向傾姿勢で滑ることは自分にとって一番好きな形です。この技術を磨くために、山の中で立木をポール代わりに見立てて練習しました。ポールのようには倒れてくれないので、ぶつかれば骨折です。立木にぶつからないように練習しました。当時のスキーはかかとがパカパカ上がります。これを見た父が、『かかとはスキーにぺったり固定して回転し、スキーを学ぶべきだ』と言いました。そこで、前傾バンドでスキーを固定し、『これで前傾できる』と喜んで遊んでいました。競技者は空中にいることも多い。屋根の上から雪の中に飛び出す遊びもしたものです。

<親の課題>
 スキー競技者にとって大切なのは小さなころからスキーをすること。日本スキー界の草分けと言われた猪谷家に生まれた私は、2歳8カ月でスキーを始めました。親に課せられた大きな課題は、子どもの持っている特殊な技能を見つけて、育ててあげることではないでしょうか。 <独自のものを身につけるべき>
 コルチナ大会では銀メダルを取りました。この時のゼッケンが7番で、今でも好きな番号になりました。
今の日本のスキー選手は、弱いところもあります。それは自分独自の技術を持とうとせず、ヨーロッパの一流選手の真似をしようしているところ。けれどライバルの真似をしていては、追い越せません。相手を追い越すには、独自のものを身につけないといけないのです。
 私は1953年に米国のダートマス大学に留学したのですが、文武両道を成し遂げるためにある特殊なトレーニング方法を編み出しました。勉強しながらトレーニングをするやり方です。一つは、教科書を床に置いて腕立て伏せをする。もう一つは、架空の椅子に座った格好のまま、本を読むことです。かかとをフラットにしたこの姿勢は、普通の人は1〜2分しかもたないと思いますが、私は30分、空気椅子に座って勉強しました。勉強に集中できるので、足の痛みも和らぎました。
そうした努力の結果、4年で大学を卒業し、2年の時はスキーチームのキャプテンを務め、3年生の時は全米選手権で銀メダルを獲得し、4年生でダートマスカップをもらい、これらはその後の大きな自信につながりました。

<スキー界の活性化>
 全日本スキー連盟の登録者数は現在、約9万5000人で、そのうち20%の約1万9000人が、私が協議会議長を務める南関東ブロックの所属です。20%という数は、会社であれば大きな力を持っていることになります。その力を結集し、協力し合ってスキーの活性化に取り組めば、雪なしブロックでありながらも、全国に対してスキー活性化の発信地になれるのではないかと思います。


NewsWeek 誌の表紙を飾った猪谷氏

外向傾姿勢の先駆者

■ SAJ立会挨拶/山田隆SAJ理事
 今日は私の先に大先輩が、私の後に後輩の若いオリンピック選手が講演してくれますので、私はスキーの話はしないで、有資格者の再登録の話をして、SAJの報告としたいと思います。
 ここ10年、SAJ会員数や、準指導員・指導員登録数が減ってきています。なんとかSAJも新法人に移行して、一度取得した資格を一生、持ち続けるようにしたいとSAJの増田理事と話をしています。おそらく遊びの資格としては、お茶やお花、日本舞踏など、どのような資格よりも、取得するのにコストがかかる。300万〜400万円はかかるはずです。それがたった3年間、研修会に出ないだけで資格失効、停止に至り、再登録できないのがこれまでのルールでした。そこで、先シーズンから再登録できるような方法を考えています。
 規約にはこうしたことを救済する項目はないのですが、前年度でも15年前でも登録をなくした人はすべて受け入れるという、規約外の苦肉の策を去年から来年まで試みています。皆さんのクラブで資格登録をしていない人で、定年退職で時間ができてスキーを再開しようと思っている方がいらっしゃったらぜひ声をかけてください。指導員の仲間に戻ってきてもらえるように、いろいろなことを考えて、手を打っています。
 先日、教育本部の理事会で通った策は、各都道府県連で再登録し、各都道府県連の会長が捺印したものに関しては、一切を不問にして再登録をしようというものです。ただし、毎年年会費を支払っている方々との不公平感がないように、足の引っ掛からない程度のハードルを設けてあり、そこはお金で解決してもらえればと思います。どのような事情でも聞いて、対処したいと思っています。
 皆さんからもアナウンスをしてもらい、SAJの会員が目減りしないように、お力添えをしてほしいと思っています。


山田SAJ理事

指導員会 挨拶


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