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車山行事W
大川広樹 広報委員レポート

平成16年3月5日(金)〜7日(日)

理論検定中 真剣です

理論検定を受けている大川さん

車山4 全体レポート 広報委員 大川 広樹

◆はじめに
  こんにちは、広報委員の大川です。
  今回は、準指導員検定の応援兼、C級検定員検定の受検兼、広報委員の取材で車山に行ってきました。
  なんだか盛りだくさんですが、全部中途半端でした、ということがないように頑張ります。

◆BC級検定員検定

◆検定員とは?
 さて、今回私が受検した、検定員の資格について、案外ご存知でない方も多いのではと思い、その説明からしたいと思います。
 検定員とは、バッジテストや指導員検定、それから技術選手権などで受検者・選手の滑りを評価する、ジャッジのための資格です。
 A〜C級までの資格があり、それぞれの資格ごとにジャッジできるテストや大会の範囲が定められています(もちろんA級は、あらゆるジャッジを行うことができます)。
 A級検定員の検定はSAJが実施し、指導員検定と同時に行われますが、BC級検定員の検定は、都道府県連が準指導員検定などを使って実施しています。
 受験に必要な資格も定められており、準指導員の私はC級検定員からの受検となります。これは、バッジテスト1〜5級とジュニアテストのジャッジができる資格です。

理論検定中 バッチリでしょうか

いよいよ雪上で実技検定です

◆理論検定
 開会式終了後、検定員検定組は、ただちに理論検定に入りました。
  検定員に関する規則や、バッジテストの種目・受験資格などが出題範囲になります。

 準指検定の時は、ほとんど唯一の「得意種目」だった理論検定ですが、今年は、講習や大会に明け暮れているうちに、みるみる本番の日が近づいてしまい、1週間くらい前から慌てて対策を始めました。
 今年は、検定制度が変更されたので、オフィシャルブックや教程のテストと検定に関する部分から、変更になった部分を重点的に勉強しました。
 狙いは的中し、ほぼ予想通りの箇所が出題されたので、助かりました。

 終わってからの感想ですが、準指導員検定と比べて出題範囲がかなり狭いので、勉強はしやすいです。
 また、検定やバッジテストの現場で身につく知識が半分以上を占めているので、B級を受検する人は、クラブや協会のバッジテストで検定員をやっておくと良いかもしれません。

実技検定 採点を行います


採点は緊張感と責任感を

◆実技検定
 続いて、実技検定。検定員にとっての「実技」というのは、もちろん採点を行うことです。今回は、同時に行われていた準指導員検定の受検者の滑りをジャッジしました。
 村山専門委員と市川専門委員の採点にどれだけ近い点数がつけられるかで、合否が決まります。
 (正確には、「3点以内の誤差のジャッジが80%以上」「合否的中率が70%以上」の両方を満たした者が合格となります)

 昨年まで、3年も準指導員検定を受検していた私は、目だけは肥えているつもりだったので、かなり自信を持って実技検定に臨みました。
 が、今年から検定種目が新しくなり、自分自身ほとんど練習していないプルークターンや、トップアンドテールコントロールからテールコントロールに要領が変わったプルークボーゲンを採点するのが思いのほか難しかったです。
 また(私たちのジャッジは準指導員検定の合否には関わりは無いとは言え)、人をジャッジするということの緊張感と責任を嫌というほど感じることができました。

 そして、これは受検していた頃から感じていたことですが、準指導員検定は、合否のボーダーラインにいる人がとても多い検定です。
 普通にジャッジしていれば、誤差3点を越える大ハズレはほとんど出ないと思いますが、合否的中率の方はそうはいきません。
 準指導員検定の場合、合格ラインは75点ですから、75点と74点の、たった1点の差が、検定員検定の受検者の明暗も分けてしまうのです。
 以下、私が頭を抱えてしまった滑りをまとめます。

 とても上手いのに、運動要領を間違えている人。
 片方のターンは良いけど、もう片方が悪い人。
 前半は良かったのに、後半に悪くなった人(またはその逆)。

 それと、10人くらい、明らかに合格点に達していない人が続いたとします。直後に、当落線上ギリギリの人が来ると、一瞬とても良い滑りに見えてしまうのですが、よくよく考えると、はじめの方で、同じような滑りをしていた人に不合格の点をつけているのです。
 どうする!? どうする!? 悩んでいるうちに、次の人が滑り出してしまいます・・・。

 その点、B級を受検していた人たちは、指導員としてのキャリアも検定員としてのキャリアもある方たちなので、コース中ほどまででほとんど採点を終わっているようでした。
 そして、C級の受検者の中には、迷った時は点数の横に保留マークをつけておいて、後で全体を見直して修正する、という作戦を立てている人もいました。
 なるほど、確かに、その場その場で正確な点をつけられた方が格好良いですが、場数を踏んで、確固とした観点を身につけるまでは、そういうやり方も有効なのかなと思いました。

準指導員の理論検定が行われました


理論問題は年々難しくなっている?

◆準指導員検定

 次に、準指導員検定の中から、理論検定と制限滑降について報告します。

◆理論検定
 初日の夜に、準指導員の理論検定がありました。
 私は、取材を忘れて(!)、宿でC検の受検仲間と飲んだくれてしまっていました。

 例年、良く勉強していた人(もしくは、諦めの良い人?)は、1時間くらいで宿に戻ってくるのですが、今年は受検者が全然帰ってきませんでした。
  「どうしたんだろうね?」と心配になってきた頃に、受検者がガヤガヤと帰還。
  話を聞くと、今年は問題がとても難しく、時間を目一杯使わないととても解けなかったとのことでした。
  私も去年まで3年間、準指導員検定を受検していましたが、理論検定の問題は年々難しくなっているように思えました。
  来年受検する人は覚悟を決めて、念入りに対策を練っておいた方が良いと思います。


準指導員の実技検定のジャッジ


制限滑降の前走がスタート 遅くね!

◆制限滑降
 実技9種目中、最後の種目は制限滑降です。
 ジャッジが合否方式になったことで、制限滑降の実施要領は大幅に変更されました(「昔のやり方に戻った」と言った方が分かりやすい人もいるでしょうか)。
 はじめに役員が滑り、そのタイムの平均が基準タイムに設定されます。
 受験者は、基準タイムの120%以内のタイムで滑ってくれば合格、ということになりました。

 ポールのセットは、ストレートのないスラロームという感じのインターバルで18旗門。同じセットのポールが左右に2つ並ぶ、デュアルスタート方式でした。

 毎年のことですが、全てのサポーターに加え、BC級検定員検定を終えた人たちなどが、コース周辺に集結するため、検定の中で一番活気のある種目になりました。
 この種目の合否は、基準タイムを計測しておけばある程度分かるため、ストップウォッチを片手に応援している人もいました。

 ペアの勝敗は合否に関係ないとはいえ、受検者の心理として、やはり一緒に滑る相手を意識する人も多かったようです。
 サポートの人たちも、自分のクラブの受検者がペアの相手に勝った時は、一際大きな歓声をあげていました。

 基準タイムの120%以内というのは決してシビアな数字ではなく、大きなリスクを犯すのは得策ではないのですが、普段から競技スキーに慣れ親しんでいる受検者は、なにか奮い立つものがあったのでしょう。中には、いわゆる「逆手」で、果敢にポールを攻めている人もいました。


大川広報委員ご苦労様です


BC級の合格者のみなさん

◆合格発表
 3日目の閉会式で、各検定の合格者の発表が行われました。
 BC級検定に関しては、全員合格。私は、まず一安心です。
 スノーボードとスキーの準指導員については、さすがに全員合格とはいかないものの、昨年よりも合格率は上がっていたようです。

 昨年まで一緒に受検していた仲間の合否はやはり気になりました。
 残念ながら不合格となってしまった仲間も多く、手放しでは喜べませんでしたが、合格者レポートを書いてくれた川崎の大日方君をはじめ、たくさんの仲間が合格していました。


開会式で取材する大川広報委員


準指導員合格者 大日方さんの顔も

◆おわりに
 今回受検していた同じクラブの仲間は、1週間前の練習で靭帯を損傷してしまい、痛み止めとテーピングを施してどうにか受検はしたものの、結果はやはり不合格でした。

 検定終了後、彼と、車山のお隣の霧ケ峰スキー場に寄り道していきました。
 この日、そこで、市協会の「歩くスキーを楽しむ会」が行われていたからです。

 多数お見えになっていた協会役員のみなさんに、検定の結果をご報告し、回数券を分け合って、検定種目を忘れた「楽しいスキー」を何本か滑って、疲れた心をリフレッシュさせて帰りました。

 帰り道で、彼がこんなことを言いました。

 「検定のためにたくさん練習したらスキーが上手くなったし、上手くなったら遊びの幅が広がって、スキーがもっと楽しくなった。挑戦することは楽しいことだってことを、クラブのみんなに伝えたい」

 彼は、準指導員の資格を持って帰ってくることはできませんでしたが、「人に何かを伝えたい」という、指導者にとって大切な気持ちは、持って帰ってくることができたようです。
  準指導員検定は、合格した人たちはもちろん、涙を飲んだ人たちにも何かを残す行事なんだと思いました。

 おしまい


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