神奈川県スキー連盟ハンディキャップ委員会の取り組み

 神奈川県スキー連盟は、そんな車椅子のチェアスキーヤーを受け入れてくれる全国で唯一のスキー連盟です。
 神奈川県スキー連盟では2000年度にハンディキャップ委員会が発足し、この年から有障者のためのスキー教室を実施してきました。2002年度からは「障がいをもつ人のためのスキー教室」として年に2回のスキー教室を実施し18年が経過します。
 また、2003年度からは競技の大会「チャレンジカップ」に参加できるようになり、サポートをしています。
このように、様々な障がいをもつ方々へのスキー活動支援に積極的に取り組んでいるのは、他県連にはない特徴と言えます。
 スキー教室は、毎回多くの障がいをもつ方に参加してもらっています。安全に楽しいスキーを体験してもらうためには、多くの場合、マンツーマンでの指導となるため、多くのボランティアの方に協力をして頂いております。
 協力したいが、障がいのことはわからない・どう指導すればいいのか・不安だ・・・という声もあったため、2005年度からは、ボランティアの方を対象とした勉強会として、外出支援とスキー指導法に関する講習会(セミナー)を、基本的な障がいの種類や介助・支援の方法に加え、より実践的な介助機材の使用法と指導法を雪上において実施しています。

あとがき

 チェアスキーに関しては2018/2019シーズンのチャレンジカップから撮影させて頂いており、存じ上げておりましたが、今回の様に実際にお酒を飲みながら、同じテーブルで色々お話させて頂いたのは初めてでした。ハンデキャップをお持ちの方々と私自身が殆ど接触した事が無かった為、非常に良い経験をさせて頂く事が出来ました。井上さん、田中さんのアクティブでユーモアも交えて色々とお話しされる姿はとても新鮮でした。また、昨年のレースに続き、ゲレンデでフリー滑走を撮影させて頂きましたが、一般スキーヤーよりも断然滑走速度も速く、華麗に滑り降りる姿には、リフトから二度見する人が続出する程の注目度でした。
 お二人の子供達にとって今回の経験は、きっと今後の長い人生においてきっと役立つ時が多々あると思います。「話かけてみよう」「手伝いが必要か聞いてみよう」「助けてあげよう」「誘ってみよう」など様々な形で、接点が生まれる筈です。子供達がこの様な機会をもっともっと沢山経験する事で、次世代の日本がハンデの有無に関係無く、誰でも平等に何でもチャレンジ出来る環境整備、快適に生活出来る環境整備をより一層進められるのはないかと思います。
 ジュニア育成に力を入れることは、ほぼ全てと言って良い程スポーツ団体にとっては当たり前のことです。しかしながらハンデキャップ事業へ力を入れる団体はまだまだ少なく、スポーツによっては、ハンデキャップに対しての門戸が全く開かれていないものも多いのが現状です。サポーターの人数も海外程多くはありません。しかしながら、もし、ハンデキャップを負い、閉じこもってしまっている方が、少しでも多く井上さんや田中さんの「普通にスキーを楽しむ姿」を見て、スキーに限らず、「あのスポーツをまたやってみよう」「この趣味を初めてみよう」「初めてこの遊び/スポーツにチャレンジしてみよう」と思って頂けたら素晴らしい事ですね。
 蛇足になりますが、私佐藤は、この対談からちょうど2か月後の2020年2月15日、スラローム練習中に脛骨高原骨折をしまして、人生初の入院、手術、車椅子生活を実体験しました。幸い、後遺症など残らず、順調に回復はしておりますが、街中で感じるストレスなどを自ら実践体験する事が出来ました。
今まで歩行中に平らに見えていた道路は、全て雨水勾配がついており、回頭性の高い車椅子の特性上、わずか一漕ぎで車道の方を向いてしまいます。また、お洒落な街造りの一環として敷き詰められた、タイルやレンガの地面は、非常に体力を消耗します。まだまだ多くのビル内でも、車椅子に対応していない間取り、段差、ドアの幅が多数存在します。
 駅の『誰でもトイレ』は字の如く、誰でも平等に使えるトイレですが、我々健常者には。何事にも多数の選択肢が有ります。一方、車いすの方には『誰でもトイレ』しか有りません。駅のホームエレベータなども同じです。自分にとって多数の選択肢の1つに過ぎない物を、今本当に使うべきかを考える様になりました。
 暖冬、少雪、雪が充実したシーズン後半からのコロナウィルスと、スキー業界だけでなく、全世界、全産業が未曽有の大打撃を受けた年となりました。多くの方々が不便、不自由、ストレス、金銭的困難などに直面しておりますが、今やるべき事と今しか出来ない事が何かを考え、努力して耐え抜き、また笑顔でスノースポーツを楽しみましょう!!!

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