特集:『ハンデキャップをお持ちの方々と接する事』
〜神奈川県スキー連盟の取り組み〜

2020年4月20日
広報 佐藤 英樹

 2019年春、シーズン後半の3月より広報のお手伝いをさせて頂いております佐藤が、体の一部に障害を持ちながらも、スキーから、チェアスキーへ乗り換えて、引き続きスノースポーツを精力的に楽しみ、アルペンレースにも出場している井上英年さん、田中純二さんと、2019年12月の神奈川県スキー連盟のイベント中の夕飯時に同席させて頂く機会がありました。そこで田中さんが小学生の片 亨介さんと片 今日子さんの2人に、ハンデキャップについて語り掛けるシーンにおいて、子供達が初めてハンデキャップを持った方と接した時の活き活きした瞳が非常に印象的であり、予定外の特集レポを書く事に至りました。

写真とともに、当日の雰囲気が伝わる様、あえて会話調で記している事を御了承下さい。



田中さん 2人は車椅子の人とお話したことはある?
子供達 ううん。ないです。
田中さん 車椅子の人を見たときに、それぞれ感じたことがあると思うんだけど、例えば、「痛そう」とか「かわいそう」とか「頑張ってる」とか「偉い」とか。色々あるよね? 感じたことは、どれも正解!
ただ、それは、車椅子の人を見た時だけじゃなくて、例えば、背が低い/高い人とか、太っている/痩せている人とか、その人の『見た目の特徴』をどう思うかと同じなんだよね。だから、別に個人個人が障害者の人を見てどう感じたかは自由ってこと。それで、大人はその時に感じたことを口にはしないってだけなんだよ。
ところで、車椅子などのハンデキャップがある人って何人居ると思う?!
子供達 ???(わからないです)
田中さん ハンデキャップがある障害者(身体、精神、知的)と言われている人数は、今は全国で936万人いると言われているんだよ。
それで、全国の佐藤さん、鈴木さん、高橋さん、田中さん、伊藤さん、渡辺さんの苗字ランキングトップ6位までを足した人数が、855万人居るんだよね。二人のお友達にも苗字ランキングトップ6に入っているお友達いるでしょ。でも、障害者のお友達はいないでしょ。この差が、今の障害者のおかれている現実なんだよね。
あんまり障害者の人を見かけないのは何でだと思う?!
子供達 家にいる?出掛けないからですか?


田中さん そう! 実は、沢山いるんだけどね、家に閉じ籠っちゃってる人が多いって事なんだよ。
色んな理由があると思うけど、その一つに、ハンデキャップがある人に対する対応が、日本はとても遅れていると言われてるんだよ。トイレとか、歩道、階段とか色々ね。近年は都会が中心だけど、急ピッチで進めている所だよね。だから、もっと障害者が街に出やすいように、みんなの協力が必要なんだよ。
海外ではその辺りがもっと進んでいて、むしろ特別扱い、特別設備というよりは、平等に扱われているんだよ。

ハワイのホノルルマラソンに車椅子で参加したときの話なんだけど。
エピソード@
ホノルルのショッピングセンターに行ったときに、車椅子トイレを探したんだけど、見つからないんだよね。そうしたら、普通のトイレの一番奥が、広いトイレになっていて、車椅子の人はそこを使うんだよ。単純に、そこでは「車椅子の人」というよりも「広いトイレを使いたい人」の場所なんだよね。だから、別に車椅子の人だけがそこを使うわけでもなく、特別というわけでもないんだよね。
エピソードA
車椅子で、リフト付バスに乗ったときに、女性ドライバーが、車内放送で、片言の日本語で「ウシロノ クルマイスノヒト アブナイカラ タチアガラナイデ クダサイ。」って言ったんだよ。その後にバックミラーで女性ドライバーと目が合った時に「してやったり」って顔してたんだよね。俺もすぐに「おーい!車椅子なんだから立ち上がれないだろー!」とすぐにツッコミを入れたけど。アメリカ人は車椅子の人間もイジッテくる文化なんだって。それがとても自然で、気持ち良かったね。女性ドライバーは、その後も大笑いしながら運転してたね。まあ、その人が特別だったのかもしれないけど、日本だったら、とても考えられないね。
田中さん バリアーフリーって知ってる?
子供達 うん知ってるよ。段差を無くすることですよね。
田中さん そうなんだよ。よくわかったね。実は段差とかを取り除く事も大切なんだけど、一番大切なのは「心のバリアーフリー」なんだよ。今の話したことはその一つだね。
子供達 ふ〜ん。そうなんだぁ!
田中さん 障害者もそうだけど、何かハンデキャップがある人は、ちょっとしたサポートをしてもらえると、具体的には、声を掛けてもらったり、見守っていてもらったりするだけでも、とても助かるんだよね。
だから、街で車椅子の人を見かけたら、一声「何かお手伝いすることありますか?!」なんて声を掛けてくれたら最高だね!!
この神奈川県スキー連盟は、普通に車椅子のチェアスキーヤーを仲間として受け入れてくれる連盟なんだよ。この『普通』っていうのがとても大切なんだけど。じゃあ『普通』って何?!ってなるわけだけど、車椅子の人の普通は、健常者の普通とはちょっと違うんだよね。だけど、この神奈川県スキー連盟は、10年以上の経験があるから、スキーをしたり、こうやって楽しくお酒を飲んだり出来るわけなのよ!!
(この様な会話場面に偶然立ち会う事が出来ましたが、宴はこの話題に限らず、また、同席していた井上さんや片会長も含め、イベントの事、スキー技術の事を含め、なごやかな宴が続きました。)




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