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指導員養成講習会理論2
平成17年11月06日(日)  かながわ労働プラザ
 
中里健二 広報委員

参加者のみなさん

山田副会長

指導員養成講習会理論2

 ついこの前、夏が終わって秋らしくなったと思っていたら、あっという間に養成講習会の季節となってしまいました。朝、家を出る前に1回目の養成講習会の様子を確認するため、SAKのWebサイトを確認しましたが、残念ながら富川広報委員のレポートはアップ前でしたので、電脳オヤジ「翁」改めスーパー電脳オヤジこと阿部総務委員のサイトを覗いたところ、前回の様子が大量の写真と動画データで載っていました。これを見れば前回欠席の人も安心?それはさておき、会場に着いてざっと見たところ受講者数がかなり少ないように見受けられ、ここ数年の減少傾向に、歯止めがかかっていない様子が伺えました。


心肺蘇生法の体験

真剣です

◆心肺蘇生法の体験

 受付場所の脇のスペースでは、心肺蘇生法の練習を行うための人体模型?が置いてあり、取材を兼ねて早速体験することに。気道確保からまずは肺に空気を送り込み、さらに心臓マッサージを、脈拍のリズムで15回押し、再度息を2回吹込み、また15回押してから鼓動が回復しているか確認するということを体験させていただいた。また、AED(自動体外式除細動器)と呼ばれる機器を初めて目にした。これは心臓のけいれんした状態を正常な状態に戻すために電気ショックを加えるもので、最近、公共施設などに設置が進められている機器だそうです。操作方法は音声ガイドがついているので、指示に従って行えば良いそうですが、講習等で一度体験するのがお奨めだということです。

 心肺蘇生法については過去に何回か体験しているけれど、結構忘れてしまっているので、こうした機会に体験することは必要だとつくづく思いました。

◆あいさつ 山田隆SAK副会長

 このあいだ雪が融けたと思っていたら、シーズンがまた始まる時期になってしまいました。昨年お見受けした方もいらっしゃいますが、合否については時の運もあり、受かった人にとっては喜ばしいものですが、受からなかった人にとっては不公正なものに感じたり、悪い思い出になってしまったりするものです。過去の検定を見ても、絶対に受かると思われる人はせいぜい2〜3%で、何でここにいるのかという人が1〜2%、いや4〜5%はいるかもしれませんが、そうした合否のはっきりした人以外の残りはすべてグレーゾーンです。その中で受かった人や受からなかった人がいれば、なんであの人が受かって私は…と思う人も出てくるのかと思います。資格のあるなしにかかわらず、ここに来ている方々の存在によってSAKは成り立っています。結果にあまりこだわり過ぎずに、楽しみながら受検していただき、ひとりでも多くの合格者を出すようがんばっていただきたいと思います。

◆あいさつ 渡辺三郎教育本部長

 昨年は受検者数が150数名で、その内80名の方が初回受検でした。今年もいろいろな形での受検される方がいると思います。所属するクラブもいろいろでしょうが、技術選や大会に出る人が多いクラブは活発なクラブと言えるかもしれません。受検する頃がスキーに対して一番熱い時期かと思います。是非がんばってください。

◆SAJの現状とスキー技術理論  山田隆SAJ広報委員長

 ここ数年、4〜5年前から道具と技術が変わってきました。二軸とかトップコントロールとかそういう言葉が出てきています。この中で理解できない方はいらっしゃいますか?(何人かが手を上げる)手を上げた方は少ないが、ここにいるほとんどの方は理解していないのではないかと思います。しかし実は理論としては簡単になっているので、わかるように話してみたいと思います。

 これまでの一軸理論では、ねじれの反動で回っていたと思います。ゴルフでも同じですが、テークバックして体をねじってその反動で打っています。ためをつくって反対にスキーを回すこと、ほとんどの専門委員が教えるすべりも同じように教えていると思います。ノーマルの板では、ためをつくって回す、ずらしをトップからテールまで使うか、ピポッドでブーツを中心に回すか、いずれにしてもずらすやり方でした。ただトップ選手はずれの少ないターンを行っていましたが、それにはそれを行う技術と力が必要でした。

 5〜6年前にカービングスキーが出るまでは数十年、板は変わりませんでしたが、つい先日シャモニーへ行ったときにスポーツ店をのぞいたところ、日本にあるカービングの普通の板は端のほうに十数台しかなく、多くは175cm〜195cm程度のファンボードと呼ばれるオフピステ用の板が並べられていました。現在のヨーロッパのゲレンデではスノーボーダーはいなくなり、代わってファンボードでオフピステをすべる人が多くなったのです。

 二軸を理解してもらいたいのですが、一軸で滑りを覚えた者にとっては難しいものです。初心者にはプルークやシュテムターンは排除して教えたほうが早くうまくなるでしょう。いい道具といい場所があれば、初心者は自分の工夫で曲がることは出来るようになります。カービングスキーでの直滑降は難しいですが、斜滑降から山に倒れれば勝手に曲がっていくし、きっかけさえつかめば谷回りも出来るようになります。指導者としての役割はその先からの手助けをすることでしょう。

 検定するときに必要な技術というものは、教本の滑りが出来るか出来ないかの検定で、正しい技術というものではありません。どの技術も正しいが、ベターだと思われる技術が載っているだけです。

 今後の講習会では、生徒を自分の前に立たせて私の滑りを真似しろということは無いのではないかと思います。滑りの悪いところをいくら指摘しても、生徒はどう直したらいいかを教えてもらいたいのですから、今後指導する立場になったときには、良いアドバイスが出来る様に、対話型の指導が出来たらいいのではないかと思います。

 二軸とは一軸と違い、ためを作らなくてもいいのです。これまで体をひねって回していたものが、カービングスキーはズレにくい板なので、ずらす必要はありません。曲がりたい方向に体をもっていけばいいのです。最近のゴルフで活躍している人たちを見ると、最初から二軸で打つ技術で飛ばしています。テニスでも顕著で、昔はテークバックして肩の線でボールを見て打っていましたが、今は体がオープンなまま、体を正面に向けたまま打っています。

 一軸と二軸の違いは僅かな差であって、大きな違いはありません。一軸よりも二軸のほうがやり易いということです。内スキーで回すほうが合理的であるのですが、谷スキーで回すことに慣れているので分かっていても出来ないのです。出来ないのに出来たふりをすることは、なしですから、皆さんも先生に言っていただきたい。相互に思うことを言って、理解を深めていただきたい。決して分かったようなふりはしないで下さい。

 検定の合否についてですが、若い指導者だけが欲しいわけでもありません。高齢の人も回数を重ねて受かるようなことを考えていきたいと思います。雪上では日が暮れるまで残っていたいのですが、「ビールを飲もうよ」とつい声をかけられてしまうのですが、分からないことがあれば面倒は見ますので、声をかけてほしいと思います。出来るだけ雪上で質問してもらった方がいいと思います。そして少なくとも頭の中では分からないことが何もない状態で、受検してもらいたいと思います。


みなさんもやってみましょう

竹腰SAK専門委員

◆スキーの特性を生かしたトレーニング 竹腰SAK専門委員

 強化委員会で行った技術選に出ている選手等の体力測定の結果を交えながらの講義は、とても興味深いものであった。筋力、持久力、敏捷性だけでなく、平衡性、巧緻性、柔軟性などもバランスよくしなければいけない事が良く分かった。受検当日まで、期間は少ないが、いすに座ったままで両足を上げるなど、ジムに通う時間のない人であっても時間を見つけてトレーニングを行う方法等は大変参考になったのではないかと思う。

PDFファイル スキーの特性を生かしたトレーニング(パワポ)

◆協賛企業紹介

 車山高原SKYPARK 藤原氏

 連盟行事での宿泊割引とシーズン券の割引販売についての説明がありました。

 小賀坂スキー 庚 氏

 現在オガサカスキーを使っている方への感謝の言葉と、使っていない方へはこれを機会にオガサカスキーをよろしくお願いしますとの言葉がありました。

ガーラ湯沢 宮崎氏

シーズントピックスとして、ガーラ湯沢は佐々木明を応援しているとのことでした。有資格者へのリフト券優遇や、レンタルスキーのワンコインサービスなどが紹介されました。

富士見パノラマリゾート 石井氏

3年前にリニューアルオープンし、パノラマスキーアカデミーでは、100のキャンプを行っていて、受検に役立つキャンプもあるので、利用してもらいたいとのことでした。ポール専用バーンも設置し、無料貸し切りも可能とのことでした。


柳橋SAJイクザミナー委員

みなさんもやってみよう

◆実技検定種目の理解について 柳橋SAJイクザミナー委員

 雪上で話をした方がよい部分もありますが、種目理解のためにお話したいと思います。個人的な感覚の部分と、検定員として見るところを中心にお話したいと思います。

 まず、3つのスキーコントロールをハッキリ検定員に分かるように見せてもらいたいと思います。

〈テールコントロール〉

スキーを動かしてコントロールするという、今の板で行うことは難しい技術だと思います。プルークボーゲンは外側の足で外に板を動かすこと、土踏まずから踵で押す、体重を乗せて板を横に押し出すことが大事です。足を横に出すだけでなく、体もそちらにもっていくことが必要です。切り換え時には抜重が必要です。プルークボーゲンなので、内足は返さない、同調させない、内足を軸にして回すことになります。

シュテムターンも足を開くだけでなく、体を乗せていくことが必要です。谷足にしっかりと乗ることで、次の足に乗り易くなります。ひとつひとつの回転を大事にして、開く動作をしっかり見せてほしいと思います。

パラレルターン小回りについては、両足での操作となります。上体は真下に向け、下肢とひねりが出る形になります。エッジングによる反動を利用して、抜重して切り換える、しっかり角を立ててエッジングをしてスピードコントロールすることが必要です。

〈トップ&テールコントロール〉

 スピードが出るので、体の動きを止めないで、スキーと一緒に回っていく、上体もついていくことが必要です。プルークターンはこの中で一番難しい技術だと思います。まずはテールを動かす、そのままでは横にずれるだけだが、トップをひねって内側に入れる感じ、それと同調して内スキーの足の膝頭も向けて、腰を畳み込みながら。外スキーの動きに内スキーが同調するかたちになります。スピードが出てくると思いますが、テールをずらしてスピードを落とすことなく同調は崩さないほうが良いと思います。

 パラレルターン大回りについては、外スキーに十分荷重してから、抜重をうまく使って切り換えることが必要だと思います。

 不正地の小回りについては、コブの溝を横滑りしながら滑る方法と、コブの腹を削るような感じでずらして滑る方法があります。構えてしまうことが多いのですが、バランスが取りにくくなるので、脚は伸ばして横ずれさせることが必要です。平らな部分で膝を曲げて吸収し切り換えることになります。コブのバンクに沿って滑っていく場合には、脚は伸ばして回します。圧が脚にかかっていくので、それを我慢して圧を感じてそれをきっかけに切り換える。横滑りで滑ることが出来るようになったら、脚を伸ばして板を回して滑って来られる様になるといいと思います。

〈体を動かすトップコントロール〉

 エッジを立てることがまずは大事だと思います。そして体を動かしていく。エッジを立ててスキーが回ってくることを少し待つことが必要だと思います。回ってきたら圧をかけていく。

 中回りのパラレルターンはリズムが大事です。体を早め早めに動かすことが必要です。今までの感覚では、脚が先に動いてしまうので、足首をよく曲げておく必要があります。これまでの様に次の外足に一度体重を乗せて切り換えるのではなく、次の内足の腰をたたんでスライドさせる様な感覚が必要になります。

 大回りではブレーキをかけ易くなりますがブレーキはかけない。切り換えは内足をたたんで早く体を内側に傾けることになります。切り換えを怖く感じると思いますが、勇気をもって切り換える必要があります。

 これまで言ったことを、頭に入れて滑ると少し違うと思います。技術向上にはまず意識を持って滑ることが必要です。しっかり練習してください。

PDFファイル 実技検定に向けて(パワポ)

◆受検者の感想

 (20代女性) 

 初めての受検です。1級を取ったあとにスキークラブに入ることを決めて、インターネットで今のクラブを見つけて入りました。前回の講習で「安全」については意外に知らないことが多く、非常にためになりました。「競技スキーのルールと審判」については、競技に関して全く知らない人にとっては難しい内容だったと思います。準指導員検定について予備知識があまりなかったので、受検を申し込んでから実技講習が多いのにはびっくりしました。

(50代男性)

 初めての受検です。今飛ぶことは出来ないけれど、学生時代はコンバインド競技(ノルディック複合)をやっていました。卒業してからしばらくして1級を取得しましたが、だんだんスキーも下手になってしまい、カービングスキーが出た頃からまた復活し始めました。これ以上、下手になりたくないという気持ちと、クラブの人からの勧めもあって受検することにしました。

 今シーズンは風邪が流行りそうですので、受検する皆さんは体調を整えて検定に挑んでください。

以上

記事:写真 中里健二 広報委員
動画     佐々木理事、上田総務本部長


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