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指導員養成講習会理論1
平成17年10月23日(日)  かながわ労働プラザ
 
佐藤拓也SAJデモンストレーター

佐藤拓也SAJデモンストレーター

講演をしていただきました

『SAJデモの近況とスキー技術について』 講演録 佐藤 拓也 SAJデモ

 2004年4月にSAJデモンストレーターの認定を受けて任期は来年の春までです。SAJのデモンストレーターは2種類あって、ナショナルデモンストレーターとSAJデモンストレーターです。ナショナルデモンストレーターは現在認定が28人で雑誌でもよく出てくる皆さんもよくご存知のトップデモです。それに対してSAJデモは地域性も考慮されて認定されています。両者の違いは、ナショナルデモは全日本に所属し、全日本の行事を中心に活動しています。SAJデモは所属県連での活動がメインとなります。

◆生まれも育ちも神奈川県

 生まれも育ちも神奈川県で、高校卒業するまではファミリースキーヤーで高校3年の時に平塚スキークラブで1級の検定を受けて受かったことからスキーに夢中になりました。大学1年のときに県予選に出場し男子180人位のなかで97位くらいでした。県の中ではうまい選手がたくさんいることに気づいて真剣にやらなければならないと感じました。
  そのシーズンは毎週誰かに連れて行ってもらっていました。大学2年の時に準指導員をとりたいと思い、養成講習会で堀さんに八方でインストラクターをやってみたらと言われ八方のスキースクールに入りました。八方は良いスクールであることはもちろん、その他大きな山があり色々な斜面をすべることができるというのが八方を選んだ理由でした。
  それからスキースクールを続けていて今年の冬で7年目となります。スクールに入った最初の年は毎日スキーができるという夢のような生活でした。その年の県予選は前年から順位を上げて14位でした。それをきっかけに全日本に出てみたいという思いでその年の本選は八方で間近で本選を見てそういう気持ちになりました。
  次の年には大学を1年間休学して語学留学でニュージーランドに行かせてもらいました(半分親をだました形でしたが)。そのときに語学学校の午後の授業はキャンセルしてヒッチハイクで毎日のように山にあがる生活をしていました。12月には日本に帰ってきてその年度の技術選には7位に入ることができて全日本初出場することが出来ました。そのあと大学を卒業し、大学院でスポーツコーチングを勉強して今年の春に卒業してアウトドアのメーカーに就職しました。自分がすごく恵まれていると思ったのは、時間がある時期とスキーに夢中になる時期と、体が動く時期がマッチングしていたことです。それゆえほかの人より上達が早くできたと感じています。

◆生徒の満足がどこにあるのかを常に探しながらレッスンをしている

 今、スキー界は大衆のスキー離れが問題となっています。デモンストレーター合宿でもこの話題が出ています。これから求められる指導者像と言うのも話し合っています。これから準指を受けて指導者になる人にとって大切なのは指導者がどう変わらなければならないのかが重要ではないかと思われます。
  自分の普段のレッスンはあまり教程にこだわったレッスンはしていません。生徒の満足がどこにあるのかを常に探しながらレッスンをしています。これはどのレベルでも同じです。
  スキーはまったく初めての小学校3年生の子供を担当したとき、当然歩き方から初めてプルークボーゲンまで出来るようになってから、八の字でとまるのではなくてスキーを横にしてとまってごらんと言ったらそのとまり方が気に入ってしまって何回も練習をやっていました。最初の頃はエッジをうまく使うことは出来なかったが次第に出来るようになってきて、今度は反対側でとまってみようと言ったらすぐ出来るようになりました。それからとまるのではなくてゆっくりやってみようと言うとそれがターンに結びついてうまくいった例がありました。このことは教程では何ページも飛ばしてしまっている。プルークボーゲン⇒パラレルターンというのは教程では存在しません。生徒の満足がそこにあって技術がそれについてくるのであればそういうレッスンもありだと思います。生徒の満足がどこにあるのかを考えながら教程にとらわれないで生徒を楽しませてやるような先生が増えれば増えるほどスキー離れが食い止められるのではないかと思います。その子がスキーを続けているかどうかはわかりませんがきっと満足して帰ってくれたのは覚えていますし、スキーに対しては楽しい思い出があれば良いと思っています。自分はなるべく楽しんで帰ってもらいたいと思っています。雪上ではどうしても生徒を並ばせてレッスンするというのが多くなってしまうのですが、一緒に滑る仲間として雪上に立てれば良いと感じていて先生と滑りたくて来たというお客さんがすごくうれしく思っています。それは技術を教えるばかりでなく人間性みたいのもあるのかも知れないしもっと違う部分で生徒と接していくというのが大切ではないかと感じています。指導者として雪上に立つ際は一人一人の満足がどこにあるのかというのを考えながらレッスンすればよいのではないかと思います。

◆今年ほど悔しい年はありませんでした

 選手として感じていることは今年ほど悔しい年はありませんでした。それは技術的なことよりもメンタル面で悔いが残る戦いをしてしまったと思っています。大学院の講義で印象に残っていた講義があります。PLAY TO WIN(勝つ為のPLAY)とPLAY NOT TO LOSE(負けないためにPLAYすること)は意味としてはすごく近いものですが、心理状態というものはまったく正反対です。負けない為にというのはネガティブな思考になっていてミスを恐れてプレーしている、勝つ為にと言うのは多少ミスはあるが積極的な気持ちでプレーしているということです。大会が終わってから自分のメンタル面はPLAY NOT TO LOSEのほうであったと感じています。技術選では、予選が終わった時点で柏木選手が圧倒的な点数でいながら『勝つ為のPLAY』の精神で攻めて結果的には失敗してしまいましたがそのときに自分とはメンタル面が違うと感じました。自分こそ勝つ為にプレーしなければならないと痛感しました。来シーズンは是非自分の滑りに負けない気持ちで滑りたいと思っています。皆さんにも通じると思いますが指導員を受けようと思った時点でチャレンジは始まっています。スタートするときに自分に勝つ為のメンタル面を盛り上げてプレーしていただければ良い結果が出るのではないかと思います。是非技術選にはチャレンジしていただくことをお勧めします。自分の経験では技術選でビブをつけて緊張して滑っておけば3月の検定はなんでもなくなります。県予選を予行演習として滑っておくのも良いと思います。

◆スキーのたわみについて

 最後に技術的な話をします。特にトップコントロール(スキーのたわみ)について話をします。ショップ等でスキーをあおることがありますがそれがスキーのたわみです。うまい選手は滑走中にスキーをたわませるのが上手です。写真などではすごくスキーがたわんでいます。しかし押す方向が違うとスキーはたわみません。実際に滑走中のポジショニングでみるとただ単に外側から内側に踏ん張ってもスキーはたわまない。内側から外に向かってスキーを離すようにするとたわみやすくなります。そういう操作をすることによってトップコントロールはしやすくなります。脚部の使い方が外主導か内主導かというのと同じでどうしてもトップコントロールが苦手な人は割と曲げてしまうのが多いのではないかと思います。内側の足に体重を乗せれば外側の足は割とフリーになってそうすればスキーを離していけます。特にトップコントロールのときに内足の使い方がテーマになってくるのは切り替えから内足に体重を乗せていくことによって外足が楽に使えるようになります。そうすることによって外スキーがたわんでまわってきてくれます。内足に乗っていればそれでよいのかというとそうではいけない、外足の操作を曲げてばかりでなく離していくことをすれば楽にターンは出来るはずです。これから雪上で疑問は出てくると思いますがそのときには質問するようにしてもらえば良いと思っています。

記事:写真 富川貴幸広報委員
写真:画像 阿部文善総務委員、上田総務本部長


スキーのたわみについて

熱く講演していただきました

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