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岩岳チャレンジカップ
「体験記」 大井智子広報委員

大井さんガンバ!

と・ば・せ!

◆第3回岩岳チャレンジカップ第2戦岩岳大会「体験記」

◆徳本進理事、広報委員会杯を奪還!!

 前日の回転競技は大快晴の中で行われたが、翌1月30日(日)の岩岳スキー場の天気は雪と風で大荒れ。夜中に降っていた大雨が雪になったのが、せめてもの救いだ。今日の大回転競技を舞台に、男性8人、女性1人のメンバーが広報委員会杯を賭けて、熱い火花を散らすことになっている……。

◆「戦いは、1年前に始まった」

 事の発端は、2004年2月1日に岩岳スキー場で行われた、第2回岩岳チャレンジカップだった。「広報委員みずからオープン参加して、チャレンジカップを盛り上げようよ」。広報担当の徳本進SAK理事の、そんな前向きで熱心な誘いに、川添徹広報委員と川上修広報委員(当時)と私が乗った。

 ただし川上さんは、ワイン持参でスキーのマテリアルは持参せずに、コースで見学。私の所属するスキー虫クラブからは、北原康生会長も特別参加。徳本、川添、北原、大井の4人で、大回転競技にオープン参加し、白馬の老舗ケーキ屋の500円もするおいしいショートケーキを賭けて、「広報委員会・徳本杯」を争うこととなった。取材担当の守谷紀幸広報委員長が、我々のへっぽこスキーをカメラに収めるという、広報委員上げてのバックアップ体制が整った(オープン参加……SAKに選手登録しなくても、一般スキー愛好者が誰でもその競技会に参加できるシステム)。

 昨年のGSLの結果は、僅差で大井の勝ち。スタート地点で放送によって、先に滑った大井のタイムを確認していた男子はみな、ゴール地点で電光掲示板に表示された自分のタイムを見て、ショックの色を隠さなかった。それからというものの、広報委員会の後のお食事会では何百回となくチャレンジカップの件が話題に登った。なぜか岩岳にいなかったSAKの役員までが、広報委員会杯の結果を知っていた。今年の初詣で「チャレンジカップで負けませんように」とお祈りする広報委員まで出現したという。

山頂にて

みんなで盛り上がりました

◆「男子オープン成人Cクラス、参加者激増!」

 そんな1年間のおのおのの思いも、今日で決着がつく。今年は広報委員から、川添、大井に加えて、新たに中里健二広報副委員長が名を連ねた。副委員長は、わざわざマイヘルメットを購入し、満を持してのオープン参加となった。徳本さんのクラブからは、関東自動車の渡辺弘明さんと小泉雄二さんが初参加。初日の晩は、徳本さんのチームの人と私のクラブ員でAM2時までお酒とおいしいおつまみをごちそうになりながら、5人で楽しくお話しした。みんなでお昼ごはんまでごちそうになってしまい、感激した。

 私のクラブからは、昨年、味を占めた北原さんに加え、私のスキーの師匠でもある岡賢治さんが参加。さらに、北原さんちの隣に住む渥美直哉さんが「去年のオープン参加は、同じ年齢区分が3人だけだったよ」との情報を聞きつけて参加した。

 その通り。去年のオープン成年Cの参加者は3人だったらしく、徳本さん、川添さん、北原さんの我らが一派が1位から3位を独占したのだった。だが、しかし、今年のエントリー表を見て、全員ガクゼンとした。なんと、同じクラスに競争相手が10人もいる!!さらに10人の名前を見て、今年の参加者がなぜ激増したのか、その理由が飲みこめた。10人中8人が、我々のチームだっのだ……。

◆「スルーが2個所」

GSLのインスペクションが始まった。みんなと同じように、目線を低くしてポールを見るふりをしながら、一体何を見ればいいのかなあ、と心の内では思っていた。前日のSLのインスペクションでは岡さんと、「何が何だかさっぱりわからないね」と弱気の小声でささやき合い(なにしろ、1本目と2本目が隣接して張ってあり、ポールが林立してたのだった)、インスペクションの意味は、実はデラパージュをかけるところにあるのかもしれない、などと話していたのだった。

 インスペクションののち、リフトの上で中里さんに、「みんな、インスペクションで何見てるのかなあ」と話しかけると、「ポールを覚えているんですよ」と教えられた。雑な私のしゃべり方に比べて、中里さんの言葉はいつもとてもていねいだ。「ええっ。あんなにたくさん覚えられないよ」と反論すると、「そしたらスルーのポールだけでも、どこにあるかを覚えておくといいですよ。2つありましたよね」と親切にアドバイスしてくれた。おかげで、再びコースが見えるリフトに岡さんと乗ったとき、「あそこがスルーだよね」と、二人で確認することができた。

 だが、のちの本番でこの二人を、過酷な運命が待っていたのだった。

入賞おめでとうございます

大井さんスタート!

◆「いよいよ本番」

 去年は5人ぐらいいたはずの女子のオープン成年Bクラスだが、今年の参加者は私一人だけ。さびしい。チルドレン2にやはり一人参加の女の子がいた。彼女に、「寒いよね」とか「ビデオ撮ってくれるのはお父さん?」とか「がんばってね」とか「スタートハウスの中は、やっぱあったかいよねぇ」とか、あれこれ話しかけて、さびしさをなぐさめる。横野さんも、いろいろお返事してくれました。話し相手になってくれてありがとうね。さて、いよいよスタートだ。

 ピッピッピッポーンの、3個目の「ピッ」ぐらいで飛び出した。出だしだけは、カッコよく攻めたい。ザアーザザザアーと、およそカービングには縁遠い音を立てながら、カーブ地点にさしかかると、一つ目のスルーがあった。そこには雪と風にたたきつけられた、取材中の守谷広報委員長が、雪まみれになって立っていたはず。何とかここまでは、クリアした。

 さらに斜度が変わり、コースの雪質が変化した。前日の雨のせいか雪面が固く、ガリガリしている。去年は失うものが何もなかったから、どこまでも攻め続けられた。いまは、なんとなく、自分の滑りに覇気がない。守りに入ってしまったのか?……などと考えながら、2個目のスルーを無事通過してゴール。タイムは、1分12秒61。すぐに、後続のビブナンバー1の女性がゴールした。1分01秒18。ううっ、すごい。こんなにタイムが違うとは。

◆「魔の26番ゲート」

 やれやれ、と一息ついてヘルメットを脱ぎ、ギャラリー気分でゴールでみんなを待つことにした。女子の競技を眺めていると、2個目のスルーをくぐれずに失敗する選手が続出している。なんと、この日出場した18人中、4人が26番ゲートをくぐりそこなった。

 みんなは大丈夫かな。きっとあれだけ26番のスルーのポールを確認したから平気だよね、と思っているうちに、いよいよ男子オープン成人Cクラスが始まった。まずは、フランスから数年前に帰国したばかりという渡辺さんが、優雅に確実に滑り降りてくる。続いて小泉さんが到着。二人とも無事、26番をクリアした。

 続いて、いよいよ徳本さん。はっはやい。勝手に盛り上がっている広報委員同士の戦いについて、熟知している、越前谷芳隆SAK常務理事がいつのまにか隣に立っていた。越前谷さんはワクワクした声で、「徳本さんに勝った?」と聞いてきた。電光掲示板には1分10秒56との表示が。「まっ負けたっ!」と答えた。そこへ、こらえきりない笑みを満面にたたえた徳本さんが、勝ちを確信して到着。いさぎよく「徳本さん、速かったじゃないですか」とたたえて、早々に敗北宣言した。
  しかし、敵は、まだまだダンゴのように滑り降りてくる。続いて、渥美さんが1分13秒72でゴールした。越前谷さんが、再びワクワクした声で「どうだった?」。私も今度は、ニコニコと「勝ったっ」と小声で答えた。さらに、我々のチームとは別の男性がゴール。この堀ノ内徹さんという男性は、1分05秒27というオープン成人C組ではぶっちり切りのタイムで、一位を獲得した。

◆「半数がやられた」

 続いて、私のスキー恩師の岡さん。あれっ?岡さん、26番ゲートをオープンのつもりで抜かしてしまった。たいへんだっ。

 岡さんはすぐに気がついたらしい。すかさず停止して、ポールをぐるりと回って登り始めたら、その後ろの方に中里さんの姿がポツリと現れた。岡さんは、旗門員にいったんコース外での待機を指示された様子。すると、な、なんと、今度は中里さんまでが、26番ゲートを抜かしてしまった。あとで聞いたら、中里さんと岡さんは26番ゲートを介して「ぱちっ」と目が合ったらしい。中里さんはすぐに停止して、登って、通過。かなりのタイムロスだ。岡さんも再び登って、無事通過。ああ……二人とも、競技直前に親切にスルーポールの話をしてくれたのになあ。

 と、ショックを受けている間に、最もライバルの炎をめらめらと燃やしていた川添さんが、ゴール。「どう?」と越前谷さん。差は僅差だったが、「勝った」とつぶやくと、越前谷さんがまだハアハアしている川添さんに駆けよって、かなりうれしそうに「負けっ」と指差した。

 続けて違うチームの人が速いタイムで着いて、さらに私より速いタイムで北原さんがゴール。しかし、後に川添さんと北原さんは26番ゲートをくぐりそこねて失格と判明した。なんと、我々のチーム8人中、半数までもが26番ゲートにやられたのだった……。

徳本理事、大井委員、川添委員

中里副委員長

◆「勝利宣言」

 みんな、おなかがすいていた。競技が終わってゴンドラを1本登って滑り降りてから、レストラン「鷹」に直行。楽しい昼食をとった。その席で、体験レポートを書くように指令が出たので、さっさく徳本さんにインタビューを開始した。

「勝因は、何だと思いますか?」

「やはり、集中力でしょうか。それから、スタート地点で、みんなで『よし。打倒大井だ。1分11秒を切るようがんばろう。えいえい、おー』とやったのが、効いたのでしょうか」とのこと。そんなことやったのか……。

 なんでも、放送で私のタイム結果が1分11秒と、実際よりも1秒速いタイムで聞こえたようで、みんなで円陣組んで勝利を誓い合ったらしい。徳本さん、だから1分10秒台だったの?

  こうして、広報委員たちの熱い戦いは一応幕を下ろした。誰かが「はあー。長い1年だった」とつぶやいた。しかし、さらなる1年は再び、スタートを切った。追われるものから追うものへと立場の変わった私は、打倒、徳本をさっそくみんなと誓い合ったのであった。

やった!

この大井サンの笑顔、素敵!

◆「来年、岩岳で会いましょう」

 でも、実は徳本さんは、大回転の前日に、やっぱり1個500円のおいしいケーキをわざわざ遠くまで行って買ってきて、みんなにごちそうしてくれたのでした。晩には、川添さんが車を出してくれて「倉下の湯」という露天風呂まで、私たちを連れて行ってくれたのでした。なんでも男子風呂は洗い場も湯船もぎゅうぎゅうで大変だったらしいのですが、八方の景色に感動しながらゆっくりお湯につかっていた私を、もんくも言わずに待っていてくれたのでした。参加できなかった元・広報委員の川上修さんは、みんながよく戦えるようにと、赤ワインを差し入れてくださったのでした。守谷さんは、今年も取材担当でメガネに雪を積もらせながらがんばってくれました。

 そんなこんなで、とっても楽しい2日間を過ごさせていただきました。同じ宿だった競技役員のみなさんありがとうございました。五竜行事で同じ女子部屋だった八木智英子さんともうれしい再会ができました。川添さんは「今年でやめっ」なんて言ってましたが、きっとみんな来年も参加すると信じてます。

 ポールは技術がへたくそでも、同じレベルのライバルさえ見つければ、競争意識が働いてとても楽しくて麻薬のようにやめられなくなります。いまは、オープン参加が少ないので、表彰状をもらえる確率も高いです。

 我々のチームも、徳本さんは当然の2位で、渥美さんも、小泉さんも、26番ゲートでトコトコ登ってしまった中里さんも、長らく滑っていなかった渡辺さんも、6位以内に入賞して「栄誉を讃える」と書かれた、カッコイイ本格的な賞状をもらいました。女子オープンの一人参加はさびしいです。ぜひ来年は、いっしょに参加して、なかよくゲートをくぐりましょう!

 長い感想文になりましたが、最後まで読んで下さった方、ありがとうございました。


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