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◆上村SAK専門委員 詳細内容

■上村SAK専門委員 「指導方法論」

◆まず、教えることで理解を深めよう

 皆さん、資格を取ろうとしているわけです。特に準指導員受検の方は、資格を取る前に教えた方が良いと思います。実技の要素などは、自分がわかっていないと教えることが出来ません。1回でも2回でも、教えることで理解が深まります。是非、お勧めします。また、みなさんはこれから実技研修を受けられるわけで、教わる立場なのですが、教える立場もあると思います。その両方から見ると指導方法論というのは理解しやすいと思います。

◆スキー指導方法論

 日本スキー教程(指導理論編)のなかで、1.スキーの特性と指導(114P)、2、スキー指導の基礎と原則(118)スキー指導と学習(128P)についてお話をさせていただきます。

◆スキーの技術の質的内容(115P)

運動の質は、空間的、時間的、力動的の3つの要素でとらえることができます。
スキーは良く三要素でます。空間的というのは、スキーの位置関係、バランスです。時間的とはタイミング、リズム。力動的は力の強弱、はずみです。

運動リズム、運動流れ、運動の正確さ、運動の弾み、運動の伝導、運動の先取りの6項目は書けるようにしたほうが良いと思います。

この中で、運動の正確さ、技術の定着、状況条件に適応でき何回繰り返しても出来る、これは良いことを何回も刳り返して出来るのは良いのですが、望ましくないことを何回も繰り返す人もいます。悪い癖が固定されるわけです。

◆生涯スポーツとしての特性と指導116P

自然を相手にする、スピード感、体力や年齢に関係無く楽しめる、上達が早い、シーズンとシーズンオフが明確に分かれている。あと、特性のひとつとして…

健康に及ぼす効果117P

身体的には、長い距離を滑るので全身持久力が高まる。寒さを克服する抵抗力がやしなわれます。精神面では、自然への理解、認識が深まり、生きる喜びが得られます。人間関係では、県レベルや協会やクラブなどの、グループで行動することが多いと思います。人間関係が良くなると思います。まぁ悪くなることもありますが。この中での協力とか責任、望ましい社会人としての態度などを養う機会があります。人間を社会的に更正させることができます。三田さんの息子さんもスキーをやっていればあんなことにならなかったのではと思います。

◆スキー指導の基礎と原則118P

学習を取り巻く諸条件ということで、いまはピステンなどが入ってフラットなバーンで滑れたりしますが、気象条件の影響は受けます。また、スキー用具や服装も重要です。ウエアで気をつけてほしいのは、第4バックルは出さないでください。カッコ悪いです。第4バックルが隠れることがウエア選択のポイントです。これが用具の基準です。

◆スキーの学習への期待118P

目的としての学習と手段としての学習。目的はスキーの爽快さ、困難な条件への挑戦、快適さなどです。楽しさを味合える。手段としては、仲間を作ったり、健康作りなどです。具体的な目的、運動不足の解消、体力向上、自然に接してストレスの解消、一度はスキーを体験し楽しさを体験する、仲間とスキー旅行を楽しむ等あります。

指導者はスキーを学ぼうとしている人たちが何を期待してスキー学習に参加しているのか、個人個人の実情を知り、自分の力で学習が進められるよう、手助けをする役割を担っていることを自覚しなければなりません。こういうのは穴埋め問題になるかもしれません。

◆自発的な学習意欲の喚起118P

これは、強い目的意識を持つ、学習の課題を認識する、個人の技能レベルにより成功の喜びが得られる。ようするにやる気の要素が大切だということです。基本的には誉めることが有効だと思います。世界一上手いはダメですが…。私もゴルフをはじめたとき、誉められていい気になって、30万もするゴルフセット購入しました。しかし後でフォームを見たらたいしたことなくてがっくりしたことがあります。まぁ、購入してしまったので続けていますが。

◆学習内容を理解させる119P

見通しをもつことは、強い動機付けになります、うまくなれると暗示をかけることも良いです

◆技能に応じた課題を設定する119P

学習者の能力水準と挑戦水準のバランスがとれていること。ですから、自分が出来ないことは絶対やらないことです。

◆仲間との競い合いを演出する119P

県連の北海道スキーにいったとき、いっしょに準指を受ける人で、とにかく受かりたいという仲間がいました。昔はトレーンと言うのがはやってまして、くっついて滑るのですが、まず前の人の板を踏むで、そして前に行くなんてありました。これが仲間との競い合いです’(冗談です)

◆良い学習環境を選択する

スキー場の性格が大切です。能力に応じたコースの選択や気象条件は大きな影響を及ぼします。わたしは苗場スキー場に良く行くのですが、トイレはきれいです。そういう選択肢も重要です。

◆学習意欲の継続的な方向性づけと強化

学習意欲を継続させるのが大切。「やってみよう」という気持ちを起こすような興味、関心を持たせる「初発動機」継続させる「強化動機」が大事です。専務理事も良く話されるのですが、指導者は熱心になりすぎでノーガキをこきすぎない事が大切です。帽子に雪がつもるのですが、ノーガキこいて雪が5センチつもったら指導者失格です。なるべく滑らせてあげてください。

◆運動学習のメカニズム121P

フィードバックとフィードフォワードがありますが、重要です。

スキーと言うのはフィードバックの技術といわれてもおかしくないぐらいフォーバックが重要です。自分で誤差を知覚して、意識的に修正することで、それのくり返しで技術が向上して行きます。非常に大事だと思います。特に、初級者に対しては、VTRを見せてあげるとか、指導者の助言がとても重要です。あと、俺は上手いんだと天狗になっていて、悪いところをなかなか修正できないような人には、VTRを見せて認識させてあげると、とても良い人になります。

フィードフォワードは逆です。仙人みたいなものですが、読みとか感です。つまりこぶ斜面や悪雪などでは、そういうバーンだからと、あらかじめ対応を用意したりすることでです。

◆技能の進歩とつまずき123P

伸びがとまる時期があります。学習曲線と言うのがありまして、凸状型、凹状型、中断休止型、直線型、S字型などグラフになっていますが、これは大事です

この中で、プラトー(高原現象)というのがあります。伸び悩みです。たとえば2級から1級への道のりで、何度チャレンジしても上手く行かない。この辺であきらめてしまうサンデースキーヤも多いです。ここを超えることができると、上達もしますし、継続してスキーを楽しむことができます。みなさん経験があると思いますが周りの人の影響もあります。わたしのクラブでは、準指に4回で受かると言うのが最高記録だったのですが、記録をやぶって6回目で合格した人がいます。4回、5回とダメだったときは、ずいぶん飲みに行って励ましました。あきらめないで頑張ったのも、励ましあう仲間の影響だと思います。

スランプというのは、相当技術レベルの高い人でないとならないと思います。スポーツのプロなどは、怪我などでスランプになることが良く報道されています。

学習曲線、プラトー、スランプですが、覚えてください。

◆学習効果の持続125P

スキーをやめていた期間があって、再開したときに、うまくすべれないという人と、まったく変わらずに滑れ人がいると思います。これは、過剰学習の効果なのです。運動を自動化されるまでやります、そのあとさらに学習をすることで、忘れなくなります。子供の運動会などで、お父さん方がはりきって参加するのですが、足がもつれて転んでしまうことがよくあります。なんで転ぶのかを研究したTV番組がありました。筋肉の衰えが早いので、足のつま先が上がらなくなることで、転ぶそうです。特に、昔陸上の選手や野球をやっていた人に多いようです。頭の中だけ運動しているのですが、足には伝わらない。衰えはきます。

◆練習の方法125P

・全習法と分習法

一連の動きターンからターンとして行うか、要素として角付けや舵取りの練習を行うかということです。両方併用するわけですが、スキーはどちらかというと全習法でやったほうが効果的だと思います。やはり、一連の流れやリズムが大切ですから。特に、初級者は全習方法でやってあげないと、非常につまらないスキーになってしまいます。全習法と文習法は覚えておいてください。

・集中法と分散法

集中して連続して練習を行うか、休憩をとりながら行うかです。指導に当たっては大切な要素で、スキーは長時間行いますので、集中法はあまり合いません。どちらかというと分散法が有効だと思います。御昼はとりますが、適時休憩を入れるべきでしょう。

◆イメージトレーニング127P

私のクラブでは、夢トレと言った人がいます。頭の中で理想的なフォームを思い描きながらトレーニングします。鏡の前で行うのも有効だと思います。教程に実施方法が書いてありますので、読んでください。

◆スキーの指導と学習128P

グループを構成する人数は、指導者になったときに大切です。7名から10名ぐらいが適当であると書いてあります。小人数は疲労度があがりますし、人数が多ければ待ち時間が長くなりますの。ただ、人数が少ないほうは問題が少ないと思います。疲れるようであれば、適時休めば良いと思います。県連の研修会で20人とかなりますと、ちょっと多いかなと思います。講師から見ても訳がわからない。まぁ、良い研修会だとは思いますが。

技能別によるグループ編成ということで、教程には女性と男性を分けると書いてありますが、わたしはそんなことないと思っています。今の女性は体力もありますし、女性は素直であり、上達のスピードは女性のが速いと思います。男性はカッコつけるのでしょうか、素直でない面があって、いままでの滑りかたが頭の中にあって、それを変えようとしなかったり、頑固な面がでてきます。このため、上達が遅れることがあると思います。


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