公認パトロールの活動は、AEDを使用した蘇生法や三角巾の使い方など、理論研修会等でも一部は披露されていますが、スキー場ではパトロールが実際に怪我人の応急手当やアキヤボートで搬送する姿が見られます。このような緊張する場面に対応できるパトロールをどうやって育成していくのかを1月の五竜行事で垣間見てきました。
1日目は基礎種目を行っていました。重心の真下でスキーをスピンさせ、切り替えていく練習です。カービング世代には中心軸操作が難しいのか、滑らかに行きません。でも、こうやって技術の幅を広げていくのでしょう。
アキヤボートでは1人がボートに乗り、1人が後方から操作をしていました。実際の救助に当たるときは、2人が前後から操作をしますが、検定では1人で操作します。最初はフリーで練習していて、転覆したり、深く曲がれなかったりとおっかなびっくりでしたが、次第に滑らかに操作ができるようになりました。ボートに乗り込む方は、緊張しているのかと思いきや結構楽しんでいました。これが、急斜面や凍ったバーンだったら、緊張するでしょうね。空のボートを引いてみましたが、ボートにはエッジもあり、若干のコツが必要でした。
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午後は、ポールを立ててボートでスラローム。ポールバーンが終わって、リフトまでは専門委員や生徒がポール代わりに立って人間ポール。アルペンではポールに当たるようなコース取りをしますが、公パト検定ではポールに当たると減点されます。ポールに当たらないように、早く、安全にゴールする、結構スリリングです。公パトの技術大会では、2人引きで行われますが、前引きがモタモタしてタイムがでそうもないと、後引きが押すそうです。これって、思いっきり団体競技?
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3時ころからは、会議室を利用してロープワークを行いました。全員がロープを1本ずつ持ち、専門委員のやり方をなぞるように練習していました。専門委員の結びを見ると簡潔で強くはずれない、でも解くことは簡単。しかし生徒がやってみると、頭がこんがらかってなかなか上手く結べません。ロープワークは、10種類の結び方を覚えるそうです。8の字結び、もやい結び、巻き結び、外科結びなど名前を聞いただけで、混乱します。しかしこのロープワークは、様々なところで役に立ちそうです。 |
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2日目は、朝一番から、スキーとストック、そしてロープで応急ボートづくり、セルフレスキューのための練習をしていました。救助活動の技術的な奥深さを知ることができました。
公パトの実技検定は、基礎スキー技術(プルークボーゲン、シュテムターン、パラレルターン、片開きプルーク、フリー滑走)、搬送技術(アキヤボートを使って、浅回り操作、深回り操作、真下切り替え操作)、ロープ、三角巾、理論検定です。
公パトの使命は、多様化するスノースポーツにおいて、自分を守るのは自分であるということを認識してもらうこと、事故が起きたらどうするかを理解してもらうことです。 |
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スキー場は、冬山です。セルフ・レスキューという言葉を時々耳にします。私たち自身が積極的に意識すべき事柄だと思います。しかし、事故を起こさないこと、予防することが最大の課題ですので、そのために、指導員講習会、養成講習会、スノーボード講習会などで、安全マナーや事故防止を啓蒙しているのです。
最後に、アキヤボートは、男性が乗った場合は80kg以上になることもしばしばで、コントロールすることに気を使うそうです。万が一、アキヤボートが傷病者を搬送している場面に出くわしたときは、コースの端へ移動して、アキヤボートの通路を開けていただくと大変助かります。皆さん、ぜひご協力をお願いします。 |