菊池競技本部長インタビュー

 今シーズンは、嬉しいことが2つありました。ひとつは、3年かかった県体協の選手強化補助事業の指導マニュアルが完成したことです。もう一つは新潟国体で皇后杯7位、天皇杯7位となったことです。
 最近の国体はただ単に参加することだけに意義があるのではなく、結果を求められています。天皇杯・皇后杯はスケート競技から始まり、スキー、水泳と続き、秋季大会で最終的に順位が決まります。例年はスケート競技の4〜5位から始まり、スキーで15〜16位に落ちて、最後に5〜6位になるのが通例で、スキーの頑張りに神奈川県の成績が左右されていました。
 こうした中、女子アルペンでは木田選手が昨年を上回る4位に入賞し、ノルディックでは田村選手が3位入賞を果たことは、非常に嬉しい出来事でした。

 まず、アルペンの木田江里乃選手は、非常に安定した力を持っています。インカレで母校の名誉を賭けてレースに臨んだ経験が、国体でのモチベーションの維持を可能にしています。メンタル面のコントロールが非常に上手で、レース前にはそれ以前のか弱いイメージから全く別人のように変身してしまいます。
 彼女は非常に礼儀正しい立派な選手です。また神奈川県の為にという意識が非常に強く、自身の4位入賞よりも皇后杯7位が一番嬉しかったと言っていました。シーズン前はユニバーシアードに選ばれるかどうかの位置におり、今シーズンは真剣に練習していましたので、新潟国体で8位以内に入る自信はあったのだと思います。来年は成年Aで3位以内が期待できますし、本人も狙っていると信じています。
 次に、ノルディックの田村真理選手は、国体開催地となった十日町の出身です。地元の応援がもの凄かったので、それに後押しされて素晴らしい成績を収めることができたのではないでしょうか。
 ノルディックという種目は、大勢の観客が応援してくれるとモチベーションが大いに高まるのでしょう。彼女の場合はコースのあちらこちらに応援団がいましたので、手を抜く暇がなかったかも知れません。「あれは新潟県の選手?」と言われたくらいですから。(笑)
 しかし、そんな状況でも発揮できる力を持っていたことも事実ですし、国体で3位入賞することはやはり立派なことです。

 神奈川県のスキーのレベルアップに必要なジュニアの育成事業も、成果を出していると思います。まだ差はあるものの上位とのタイム差が縮まってきています。
 また、アルペンとノルディックともに互いに良い成績を残そうと競い合っています。参加選手の数は、アルペン23名、ノルディック8名です。今後の成長が期待できるアルペンの少年組はフルエントリーに近い人数を入れています。
 今年の新潟国体で、皇后杯7位、天皇杯7位という成績は、雪なし県である神奈川県が雪あり県をいくつか上回っているということですから、かなり凄いことです。他の雪なし県から評価される結果ですし、チームとして結束力を高めた成果だと考えています。

 県体協の強化事業で作るマニュアルは、小学生にスキーの楽しさを教えることを中心にしています。国体選手の木田選手や相原選手はスキーの楽しさを本当に良く知っています。他の選手も彼女らと同じくらいの気持ちを持てば、もっと上位に進出することができると思います。神奈川の選手は練習の時は良い滑りができているのに本番では力が発揮できないことが多いのですが、少年組についてはその差がなくなってきており、チームとしては良い方向に向いてきています。
 また、神奈川で育ってきた与口佳那、平賀淳成の2名がコーチとして行動を共にしている点が新しい試みです。より選手とのコミュニケーションを取りやすくなっているのではないかと思います。特に女子のコーチをいれたことは今まで以上にいい環境を与えられたと思っています。
 成年A、B、C組はこれまででも最高の選手が集められたと思っています。中でも神奈川県出身である成年A組・鈴木選手の19位は立派だと思います。今後の目標は、15位以内の第1シードの権利を取ることです。せめて30位以内の第2シードに入れれば、上位に食い込む可能性が高まります。
 県体協の強化事業で指定した13名の選手は、この3年間でフィジカル、メンタルの記録が確実に伸びています。将来のスター候補選手も20位に入ってきました。
 今後は、男女2名ほどのスター選手を養成し、他の選手がそのスター選手に続いて行く状況が必要だと思います。彼らが好成績を残しメディアで取り上げられることで、スポンサー企業が神奈川県スキー連盟により投資して頂けるよう、頑張って行きたいと思います。

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