ホーム > 広報SAKだより > SAKだより 第57号

準指導員に合格しました!

 神奈川県スキー連盟では、平成12年度に「障がいをもつ方にもスノースポーツの楽しさを伝えたい」・「障がいをもつ方へスキー支援ができる指導者を探したい」ことを目的に、ハンディキャップ準備委員会を発足し、翌平成13年度より、ハンディキャップ委員会の活動をスタートさせました。シーズンに2回、白馬五竜と車山行事の中で「障がいをもつ方のためのスキー教室」を実施し、スキー講習会をおこなってきました。また検定会も実施し、毎回多くの方々がチャレンジし、合格しています。
 聴覚に障がいをもつ方には、すでに3名の準指導員合格者がおり、小林さんが4人目の合格者となりました。
 今年度、平成14年の車山スキー教室で1級に合格した井上さんが、下肢に障がいをもつチェアスキーヤーとして初めて準指導員を受検することができました。
 チェアスキーは、1本の板と2本のアウトリガーを使って滑ります。頚髄損傷である井上さんは、胸当てや補助装具も必要となります。
リフト乗車はできるのか?ゴンドラは使用できるのか?サポートとしてはどんなことが必要なのか?プルークやプルークボーゲン、シュテムターンをどのように表現するのか?解決しなければいけないことがたくさんありました。
 検定会を運営する教育本部の方々の、多くのご理解とご協力をいただき、ひとつひとつクリアにしていくことができたため、養成講習会に参加することができ、検定会を迎えることができました。
 検定会の現場では、同じ受検生の方々や、サポートの方々にも多くの協力をいただき、すべての種目を滑りきり、その結果として、無事合格することができたのです。
 受検生である井上さんの努力は、障がいのない私たちには計り知れないものがあったと思います。が、彼を支えたものは、多くの方々の温かい支援だと思います。

<サポートの感想>
 北海道行事と五竜Uの養成講習会にサポートとして、バスの乗り降り、車椅子からチェスキーの装着、リフトの乗車、食事など、お手伝いをさせてもらった。
 養成講習会では、講師、受講生もチェアスキーヤーと共に滑るのは初めてということで、1本のスキーでどうやって2本のように表現するかを考え、実践、確認していたようだ。皆が1本スキーでの操作に感心したり、胸から下がまったく感覚のない頚髄損傷のことを聞き、「どうやってスキーに力を伝えるの」と不思議がったり、質問が飛び交ったりと、健常者と障がいをもつ人がお互いのことを知る上で良い機会になっていて、一味も二味も違う養成講習会であったのではないだろうか。
 スキー場ではスタッフが非常に気持ちよく協力はしてくれたが、バリアフリーのスキー場施設、宿泊施設が非常に少ないことを実感した。井上さんのような方が指導員として活躍できるようにする上でも、もっとバリアフリー化を進めてほしいと思う。サポートとしても非常に勉強になりました。
ハンディキャップ専門委員 越前谷 芳隆

<合格者の感想>
 平成21年3月より、SAKの準指導員となったチェアスキーヤーの井上英年です。現在、日本チェアスキー協会の普及部長としてチェアスキーの普及発展に携わっています。実は、健常者の頃からSki Racerであり、チェアスキーヤーとしての私は、日本の代表として活動していました。現在では、選手を引退し、スキーの素晴らしさを伝えるべく、チェアスキーの指導者として活動しています。そんな私は、幼少の頃から準指は星(スター)だと、周囲の友人から言い含められ、またそれを信じてスキー人生を歩んできました。不慮の事故により、チェアスキーヤーとなり、諦めていた準指を受検することができたこと自体、私にとっては夢のような出来事でした。私を支え、励ましてくれた多くの方々に、この場を借りて心からのお礼と感謝を申し上げます。これからは、チェアスキーヤー・健常者を問わず、スキーの素晴らしさや喜びを伝えることのできる指導者としてSAKの指導者の方々と共にゲレンデに立ち、その責務を果たしていきたいと思っています。
 小田原スキー協会 トライアルスキークラブ 井上 英年

ホーム > 広報SAKだより > SAKだより 第57号