教育本部・強化合宿 伊藤明子強化委員会委員長 2006年2月18日(土)〜20(月) 苗場スキー場 |
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伊藤委員長と柳橋監督(五竜T) |
その場で再生、コメントも熱が(五竜T) |
私達は、とかく教えられることに慣れがち。けれども、自分で滑りを分析し、納得して滑ることができない限り、言われっぱなしではなかなか上達は難しいものです。そして、“言われたらやってみる”というのも大事なことでしょう。練習では失敗を恐れてはいけません。ここで自分を試してみない限り本番での挑戦や成功は有り得ないのだと思います。
もちろん、B指定選手には代表選手なりのプレッシャーやこだわりもあったでしょう。C指定選手にはB指定選手に追いつきたい、もっと上達して来年こそは!という強い気持ちがあったでしょう。そんなさまざまな心境の中で、それぞれがそれぞれの目標や目的に向かって進もうとしているのが感じられる合宿でした。
つい先日は、トリノオリンピックでたくさんの感動シーンが見られましたが、なかでも注目の女子フィギアスケートは、個性の異なる三選手が三様の感動を与えてくれました。上位に入ることはできなかったものの、チャレンジャーらしく4回転ジャンプの成功に賭けた安藤美姫選手。絶対的な表現力を評価され、その個性を十分に出し切っていて村主章枝選手。そして、自分の個性や技術を分析し、“自分”を最大限に引き出して優勝を飾った荒川静香選手。三選手も不安がなかったわけではないと思います。けれども、それまで自分自身で取り組んできたことへの自信の大きさのほうが上回っていたからこそ、堂々と最後まで演技することができたのでしょう。
目標を定め、そこに向かって突き進むことはきっと苦しくも楽しいことなのだと思います。そして、それをやり遂げた人だけが味わえる快感があるのだと思います。今、神奈川県選手団は、合宿を終えた今もそれぞれの環境で3月の本番に備え、一生懸命トレーニングに取り組んでいるはずです。
お時間のある方は、ぜひ苗場に来て彼らを応援してあげてください!また、技術選を生で見たことがない、という方もぜひ現場に足を運んでみてください。たぶん、今までに味わったことのない雰囲気を感じられると思います。幟(のぼり)や音もの(ラッパなど・・・?)も歓迎ですよ。
柳橋監督(五竜T) |
監督のコメントもしっかり(五竜T) |
どの斜面に行っても滑れる――。そういう技術を身につけることが大切。選手権(全日本スキー技術選手権)で、準決勝、決勝までいくにはメンタル的な面と技術的な面が必要だと思います。
今回の合宿では、人が多かったり、バーンもよくなかったので、スピード練習やか大会に向けた大回りの練習ができませんでしたが、まずは雪の変化と、人のペースに飲まれないということが大事だと思います。練習から、誰かが失敗しても自分も失敗してしまうんじゃないかなどと思わない、人がスピードを出して行っても自分は“1本目はスピードをコントロールして行ってみよう”と思えるように。
今日のリーゼンコースは、はじめて滑る人も多かったと思うけど、とくにそういうところはほかの人と同じようにに滑ろうと思わないで、少しスピードを抑えて、回し込んでゆっくり滑ろうということも大事。また、いつも同じペースで同じように滑ろうとしないで、まずは自分が板の真ん中に乗って、スキーを操作できるポジションを探すことが大事。
がむしゃらに滑ってもなかなか技術は上達しないもので、スピードを抑えたところからだんだんスピードを上げていくというように段階を追っていけば、斜面に対してもあまり恐怖を感じないで滑ることができて、自信もついてきます。だから、むやみに突っ込んだりしないで、まずは1本でも正確に滑り降りるということが大事だと思います。
それから、途中で失敗しても元に戻すこと。今日、小回り(不整地)をしていて、いろいろなラインに移って滑っていた人もいたんですけど、下からジャッジの目で見ていると、あちこちラインが変わると逃げたというよりも失敗したと見られます。でも、失敗しても元に戻してそこからしっかり滑れば、それほど減点はされません。まずは、自分で決めたラインをゆっくりでも確実に滑っていくという練習が大事です。
大回りは、人が多くてあまりできていないですけれど、やり方をしっかりとすれば、雪国の人と比べてもそんなに遜色はないと思います。
イグザミナーの見解と言うか、ジャッジが一番見ているところは切り換えをスムーズにできているか、しっかりとエッジを捉えて素早く内足をたたんで、体を内に入れてターンしているかというところ。
先日も愛知県の予選に行ってきたんですけれど、イグザミナーが5人いて、大回りの場合はそういうところ、それからスキーの抜けというところをポイントに見ていました。そういうところを自分なりに把握して練習してみてください。
私も全日本の技術選に20回、20年出ていました。はじめて出たのがここ(苗場)なんですよ。苗場の技術選。昔はデモ選と言っていましたけれど・・・・・・。たぶん、20歳か21歳くらいのとき。予選落ちだったと思うんですけどね。
滑り込んで、自信を持っていないとやっぱり本番にうまく滑ることはできないよね。斜面に対しての自信もそう。私も若い頃は、滑る自信はあっても、斜面が変わったりすると斜面に慣れていないからうまく滑れないということがよくありました。それが、デモになって名前も知られてくるようになると、人の滑りを見ていても「あの人はああやって滑ってくるんだ」と思うだけで滑れるようになりました。
でも、人の滑りを見て上手いと思っちゃうとね・・・・・・(笑)。吉野コーチも言っていたけれど、そんなときは見ないほうがいいかもしれないね。ただ、見ても「あの人はうまいし、ああやっていったけど、僕だったらもう少しこうやっていこう」と割り切って考えることができるようになった。まず“自分ができることをやる”ということが大事だと思います。
自分のスピード、自分の技術を最大限生かせるように練習中から惰性で滑らないこと。スタートからゴールまでどうやっていったら、いかに失敗しないでいけるかということを考えて滑るようにしたらいいですね。
選手権に行くと、雪国の人が団体でいて威圧されたり、引け目を感じやすいけれども、そんな中でも神奈川は雪のない県にしては代表選手の人数が多いところ。自分達は自分達のもっている技術を最大限に発揮する、という気持ちが大事だと思います。
まずは、自分の滑りに自信を持って滑ることだね。あとは、何回も何回も練習して頭で考えなくても自動的に自分の理想の滑りが出てくるように、自動化することが大事。
僕の場合は、昔から右ターンが苦手で、そのことしか考えないで滑っていました。右ターンで左足にしっかり乗るということだけを気を付けて滑っていた。「それができれば、こっちは大丈夫だ」って。たぶん自分で、滑っていてしっくりいくターンとうまくバランスが取れないターンって、みんなあると思うので、足裏の感覚を研ぎ澄まして滑るようにしたいたら、大丈夫だと思います。
とにかく一番大切なことは、自信をもって滑ることです。
ひとつの滑りに対して、僕らはひとつふたつアドバイスするけれども、それをいっぺんにやろうとするとほかのところが動かなくなってくるので、まず自分で、言われたことの中からまず一番大事だと思うことを確実にできるようにやってみるようにしていければ、どんどんすべりも良くなっていくと思う。要するに、まず言われたことをきちんと自分で整理して滑るということ。