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ハンディキャップセミナー(I) 障害者のサポート(外出支援)
NPO法人プレジャー協会の馬場賢親理事長
  2005年10月30日(日)
総務本部 越前谷芳隆事務局長

10月30日(日)14時から19時まで、SAKのハンディキャップセミナーが会場変更になった県立スポーツ会館のA会議室で開催された。HC委員を含めて14人が参加した。

NPO法人プレジャー協会の馬場賢親理事長が「障害者の外出支援について」を講演、次いでHC委員の内海宏和さんが「知的発達障害について」の講演を行った。

これまで県連の雪上行事にあわせ障害を持つ方のためのスキー教室、大会を開催してきた中で、ボランティアで指導していただいた方やハンディキャップ委員からいろいろな意見が寄せられていた。障害の種類やその程度も非常に異なることから、障害についての素人のHC委員やボランティア指導員にとって「それぞれの障害を持つ人に対する指導の方法が難しい、注意すべき事前の情報がほしい」などなど。そこで障害についてもっと知ろうと企画したのが今回の「障害者の外出支援」と1月の雪上行事、五竜Tの一日目に合わせた「雪上でのサポート、指導実践」です。

神谷明宏ハンディキャップ委員長 プレジャーサポート協会馬場賢親理事長

<神谷委員長の挨拶要旨>

私たちが待ちに待ったハンディキャップセミナー、障害者のサポートを理論的にあるいは実技的にどうしたらよいかということで初めての試みで、こういった講習会をくみました。今私も首を痛めていまして不自由な思いをしています。もっと違う形で大きな障害となってきたらどうなるのかなーと考えさせられる体験しています。おそらく我々にとって今は他人事のように思っている方が沢山いらっしゃると思いますが、私たちが援助できるときにその正しい援助法を理解しておくことが必要と考えて企画しました。もう一つは障害を持つ方は自分の障害のことのみを理解して他の障害能古とは考えないというケースも見受けられます。他の障害を持っている方々のことを理解する、そして障害を持っている方同士が手をつなぎあっていくことが大事と思っています。そういった活動がこの神奈川から広がって行けばいいなと思っています。日本プレジャーサポート協会の馬場理事長さんから、具体的なお話、理論的なお話を伺います。

● 馬場さんの講演

今日はこれから6時過ぎくらいまで、主に身体障害をお持ちの方々のサポート、外出の支援、外出介助に携わるようなことの疑似体験を通してどうやればよいか、そして今度冬には実際のバイスキーとかいろいろなものを使って、皆さんが身体の不自由な方のスキーのサポートをするときのいろんな技術を体験してもらいます。今日はそんなときに使ういろいろな装備をもって来ましたので後で紹介します。お手元のハートフル・サポーター養成講習ガイドブックをメインに使います。1日6時間位の講習で、この資料を使って百貨店やホテルの従業員で接客の方たちに行っています。

 大きく3つの項目になっています。

1つは車椅子を使っている方、2つ目は目の不自由な視覚障害の方、3つ目は耳の不自由な聴覚障害の方についてです。この後通常ですと高齢者の加齢障害をやるのですが省かしていただいて「知的障害について」を追加させていただきます。

特定非営利活動法人(NPO法人)は2000年の設立で、いろいろなところで講習をやりその費用をいただいて、その費用の一部を使い主に障害を持った子供たちに初めてのスキー、夏の海(シュノーケリング)とか、春と秋はパラグライダーで空を飛ぶ、陸海空のいろいろなスポーツのチャレンジ、体験を通して自然と共鳴してもらおうと言うような活動をしています。

個々のテーマにゆく前に「障害について」簡単に説明します

T. 障害について

 ● 言葉の定義について

1)impairment :(インペアメント)病気や怪我による機能的、形態的な身体障害
        病気や怪我(医学的な)によってもたらされる肉体的・精神的な機能障害。

2)disability:(ディスアビリティ)impairmentから二次的に派生する能力的障害
       損傷によってもたらされた生活や学習する上での困難

3)handicap  :(ハンディキャップ)上記により受ける三次的な社会的不利
        個人が社会生活の中で生きていく時にもたらされる不利な点や不便

例えば、交通事故で脊髄損傷(impairment)する、これが一次的な要素で、これによって二次的に下半身の麻痺(disability)を引き起こし、歩けなくなるとか、階段等を使えなくなり車椅子を使うようになる。これが(handicap)

● さまざまな障害として

1)<身体障害>  あくまでも統計的データで

身体に何らかの障害を持ち、以下の各障害がある。

(1)肢体障害:手足に障害がある場合
(2)視覚障害:視力と視野に障害がある場合
(3)聴覚障害:聴覚に障害がある場合
(4)内部障害:身体の内臓器官に障害がある場合(人口肛門やペースメーカー)

2)<知的障害>

脳に何らかの障害があり、知的発達が遅れる、環境への適応などが困難な場合
(ダウン症、自閉症のなど)

3)<精神障害>

  精神疾患により精神機能に障害があり、生活上困難があるもの
(アルコール中毒も含む)

 車椅子の人を見ると、あっ障害者と思う健常な人が多いが、事故などでそのときだけギブスをして車椅子に乗っていたかもしれないのに、あまりにも障害者扱いというか、障害者、弱者、かわいそう、何とか助けてあげたいというような気持ちになって対応する方が多いと思う。あまりにも過剰なサービス、過剰なやり取り、非常にそれが心の壁になっている。私の友人で耳が不自由、言葉もうまくしゃべれない、右半身麻痺の方が買い物に行くと、販売員がこんな話し方しかできない、頭も悪いんではないかと非常に優しくすする、子ども扱いをしている。本人は、身体に障害はあるが知的な障害はないからそんな扱いに心が痛んで、うまく喋れないけど普通に対応して欲しいと言っていた。

これから皆さんがいろいろな障害を持った方とかかわっていくと、一緒に食事をする事があるでしょう、外に一緒にいくことも有るでしょう、一緒に酔っ払うときもあるでしょう、そういう時に、障害者、弱者、サポートと言うような気持ちを大きく持つことではなくて、その人がどういう事ができなくて、どういう情報が入ってきにくい人なのか、どういうときにお手伝いができるのか、その人が今どうしたいのかということを聞く耳と心を持つほうがテクニックを身に着けるよりも遥かに大事と思います。中には少しはテクニックも必要でしょう。

ハートフル・サポーター養成ガイドブック 用意された折りたたみ車椅子

段差の上り下りは難しい

U.車椅子について

皆さんの中で車椅子に乗ったことも押したこともない方がいらっしゃるかと思いますが、車椅子の使用者について述べています。

脊髄損傷方、片麻痺(左右どちらかの半身麻痺)、脳性まひ、四肢切断や加齢による運動機能低下として日ごろ近いところなら杖を突いてゆくが外出するときは車椅子を使うというような加齢のために車椅子を使う人もいる。車椅子を見てイコール障害者というのはちょっと違うのではないかと思います。

7pに車椅子使用者の不便が書いてあります。

上下の移動ができないし、手の届く範囲も限られる。物を下に落としたら下半身まひの人はほとんどの方は拾えない。段差の不便もあります。

1) 用意した車椅子についての説明

基本形の車いすです。大きなタイヤをもち自走ができて介助、後ろから押すことができる。重さ10kg。スキーをやる方はもっと軽くコンパクトなもの使っている。

ここで参加者全員が車椅子を使っての実際に自走、介助を経験、車椅子の使用者の不便を体験する。

ドアの出入りは難しい 力持ち! 階段の上り下りのとき
介助がないと段差は難しい 聴覚障害者も手話通訳もくるまいすの体験を

2) 車椅子に乗る順序:

アームレストの部分を横に開きシートの部分を上から押す → 次に両側のブレーキを利かせる → 足置きを開き乗る → ブレーキをはずしタイヤの横のリム(輪)で車輪を動かす。

車椅子から降りる順序:

ブレーキをかける → 足置きを上に開く→ 降りる

介助無しで室内を自走。自分で10cmの高さのスロープを登ってみる。開き戸を出入りをしてみる。なかなか思うように行かない、みな四苦八苦!!

3) 車椅子のサポートの方法について

いすから車椅子への移動:不自由でない方の足を軸足にして、軸足を車椅子の近くにして抱き上げ、移す。きちんと乗っていないので、足置きを開き足を乗せ(これを後回しにすると怪我をすることあるので気をつける)、後ろに回り腋の下から腕を入れ手首を持ち、持ち上げきちんと座らせる。押すときは会話をしながらスピードに気をつける。段差を上下する時は必ず声をかける。

4) 階段を上げたり下ろしたりするとき:

4人でゆっくり持ち上げ、バランスを保つ。持つ場所は、前は足置きのフレームとアームレスト前部分、後ろはハンドルグリップと車軸の後ろに出ているフレーム。階段は危険なのでくだりは後ろ向き、のぼりは前向きにする。

ペアになりエレベータを使い外に出て、傾斜のあるところ、段差のあるところで動かしてみる。車椅子に乗っている人の心を読むことが大切。

エレベータに乗るときは降りる人と対面しないように横にずれて待つようにすることも大事。

休憩

休憩中にチェアースキーに乗って、アウトリガーをつけて体験する。アウトリガーをつけずにバランスを取る、体を傾けスキーのエッジを立てる、チェアースキーの後ろから紐で操作する。またプルークでブレーキをかける、そして勢いがついてしまった時はスキーを横にして横滑りでブレーキを掛ける、それでもだめなら紐を山側に引いてチェアーを倒して停めるなどなど。アウトリガーを引っ掛け腕を怪我することがあり、できるだけ外側に開いて操作することが必要とも。

休憩時間中なのにみな真剣に説明を聞き入る。

使えるのは両腕のみ、後ろで調整 アウトリガーにブレーキをかける突起がある

V.目の不自由な人について

視覚障害は情報障害である。人間は目からの情報が80%といわれている。まったく見えない全盲の人意外に弱視の人、こちらのほうが非常に多い。中途障害なのか生まれながらなのか、生まれながらの全盲の人は、りんごの赤い色が判らない。

弱視の方は視野欠損の人が多い。真ん中が見えない人、右半分見えない人、真ん中だけ見える人、星のように見える人などいろいろある。

 スキーをやる場合はプライバシーの問題はあるが、どこが見えるのか聞くべき。その人の視野欠損の場所によって、どこが見えるのか、指導員のサポートする位置を変えることができる。

1) 目の不自由な人の不便

  ものの識別、位置や方向の特定、歯磨きのときは磨き粉をつけれない、そばを食べるときうまく食べられない、食べこぼしをする等。例えばお刺身定食を食べるとき、お皿の上の刺身の数がわからない、お皿の残りがあるという情報を伝えてあげることが必要だ。

缶ビールに点字、プリペードには切り欠きが

目の不自由な方のためのいろいろな方法、道具、対策の紹介。

お酒、ビールの缶に点字で書いてあるがノンアルコール、お茶、ジュースにはない。携帯用シャンプーには印がついている。携帯電話にも文字盤に<5>に印がある。電話、バスなどのプリペードカードには用途が判るよう切り欠きの印がある。参加者は「えーほんとー」と目を丸くする。

右側の缶ビールには点字の印 プリペードカードに種々の切りかきが

お金の区分けのためのカードもある。金種別を見分けるもの。1万円、5千円、千円等の大きさが判る。またそれぞれのお札を折り方を変えて持つようにする場合もある。
カードで物を買ったときのサインをするときの枠入りの道具がある。

2) 点字版の使い方の実習をする

点字版で紙を挟んで、あ・い・う・え・おとピンで点字版を使って打つ。突起の出た面を指で読む。読む場合、書いたものと(出っ張ったほうを読むので)まったく逆になるので注意する。日本では、点字の普及率は12%位であって点字があれば全部OK、バリアフリーと思うのは間違い。手話の判る人は通訳を入れても15%くらいしか居ないということをわきまえておく必要がある。点字版は1200円くらいで購入できる。点字の消しゴム(ふくらみで消す)もある。

点字を書く練習もするが読むときは逆だー 点字見本
折りたたみ白杖を説明する講師 お札を区別したり名前記入用のカード

白状(つえ)の使い方(折りたたみ式)について:ゴムで折りたたみになっていて蛍光塗料が塗ってある。

盲導犬について:日本では1000頭を少し超えた位だと思う。

仕事チャンネルが狂うので物を与えたり、触ったりなでたりしない、無視をする。盲導犬と仲良くすることはしない。事故を起こしてしまうので。

点字ブロックについて:大きく分けて2つ。警告(点状)ブロックと誘導ブロック(安全な方向を示す)がある。ブロックの上を歩かず、足に少し触る程度で歩く。

3) 目の不自由なひとへのサポート

目隠しめがねでの経験、誘導のし方:

参加者全員が目隠しめがねをして、7〜8m先に置いた椅子を探し、座る体験をするがなかなか上手く歩けない。椅子に行き着かない。手拍子であいているところを知らせるなどでようやくたどりつく。女性のきゃーという声が響く。

基本的な誘導の仕方は、誘導する人が3歩前に立ち、腕を持ってもらうとよい。自分が前を歩いて足元の段差など、声をかけて知らせる。段差があるときは少し手前でとまり、白杖で確認してもらってから歩いてもらう。階段を上り下りするときは最後の3段を3、2、1と確実に教えることが重要。

スキーに行ったらこれからすべるゲレンデの状態、距離、人がどのくらいか、今の位置は、など情報を詳しく知らせ、次に乗るリフトは、降りたコースの右に上がるとかを指示する。具体的には今度雪上で説明したい。

3歩前に出て腕をつかんでもらう 騒音のある外での体験 ちょっと怖い
  • 目隠しをして白杖を持ち、外を歩く練習をする。(30分位)

半分が目隠しをし、半分が介助をする。エレベータを使い、階段を下り、騒音の聞こえる道路まで出る。駐車場の脇の長いスロープ、歩道そして段差を白杖と介助で歩く。きちんとした情報をくれる介助者を信頼できれば、まったく問題なく歩けることが判る。介助者は余分な情報、例えばまっすぐ歩いていってもぶつかりもしない「電柱」について「電柱があるよ」というのは意味がない。

宿などでは、自分たちの泊まっている部屋のドアのノブを触ってもらう、開けてみてもらう、トイレまでの動線がどうなっているか確認してもらう、自動販売機のその位置がどうか、頭の中に地図を書いてもらうことが必要。何回か練習しないといけない。介助される側に立っての気遣いが必要で、頼みやすいサポータになってあげることが重要だろう。

スキーでは、トイレ、リフトの待ち状態、一人乗りなのか2人のりなのか、混雑状態を知らせ、滑りながら周りの状況を説明しながらすべる。前方に、両サイドに人がいない、とか言うことで安心して左右にすべることができる。

出きるだけ世話になりたくないということも考えてやることも大事。

5分休憩(4時50分から再開)

W.耳の不自由な人について

耳のまったく聞こえない人もいれば、聞こえにくい人もいる。難聴には大きく次の3つがある。

・伝音声難聴:耳の外側に障害を持っていて、補聴器があればきこえ補うことができる。
・感音声難聴:耳の真ん中から中、脳神経側に障害を持っていて補聴器でも聞こえ

補うことができないことが多い。  

● 混合性難聴:両方の障害がある人たち。

三半規管、耳のどの部分に障害があるかによって、補聴器があれば聞こえ補うことができる人もいれば、聞こえ補うことができないところに障害を持っている人もいる。

例えばこんな聞こえ方がする、

「今晩は、わたし馬場といいます」が 「こっ・あっ・あっ・・・・」というように聞こえる。老人性難聴の人では、音は入ってくるけれども何を言っているか理解できない、脳神経側のほうに障害がある人たちがたくさんいることも理解しないといけない。

面白いギャグを言っても、みなが笑っているけど自分は笑えない。後で教えてもらっても笑おうと思ってもタイミングが合わない。みんなで、居酒屋で飲んでいる時とか、楽しくパーティーやっている時に寂しさを感じる人達が多い。

駅でホームぎりぎりで歩いているとき、特急電車がガー来るとき、私たちは気配で危険がわかるが、耳から情報が入らないから怖い。家の中にいてもガス漏れ警報器の音がわからないとか。スキー場で後ろから来ても見てない範囲がわからない危険を察知できないなど。

道路で後ろから車が来てフォーンを鳴らしても聞こえない、運転手はイヤーな顔をして去る、ということがある。聞こえないということです。

コミュニケーションの手段は

口話・筆談・手話・ジェスチャーいろいろ

1)耳の不自由な方とのコミュニケーションのとり方:

手話以外にいろんなものがあります。

一つ目は口話があります。唇の動きを読むというものではじめて会う人とはコミュニケーションとるのに一番早い。

2つ目に筆談があります。皆さんがスキーに行くときは是非メモを取って書きながらすることも必要ですね。丁寧な、きれいな文章は必要ない。はっきり、何が言いたいかポイントだけの簡素な文章で伝えることが大事。二重否定は使わない。例えば「間に合わなくもありません」「送れなくはない」どっちなのか判りにくい、結局どっちなのかはっきりさせる事が必要。

3つ目に手話。「今日は」「いらっしゃいませ」で無意識に唇が見えないようなお辞儀をしているときがある。はっきり言ってからタイムラグを持って会釈する方が分かりやすい。

4つ目にジェスチャー。手話はできなくてもよくジェスチャーはよく使っている。「飲みに行こう」といってグラスを傾けるといったしぐさ。口話の時には、唇がよ 見えるの位置でなければいけないし、よそ見をしてしゃべってしまうことがあるので唇を指さしてよく見てもらって口話をする事が必要。

声に出して口話する伝達の練習をします。ジェスチャーで伝える練習。次にジェスチャーを入れずに。

「私はタバコが嫌いです」は唇の動きが同じで、口話だけだと「卵が」になってしまう。おじいちゃん・お兄ちゃん、行く・いぬ、が同じになる。文字をきらないことが重要。

真剣に講義を聴く参加者 真剣に講義を聴く参加者

2)ジェスチャーだけで隣の人伝える練習:(お店の従業員とお客の設定で)

「ここの閉店は何時ですか」「私の代わりに電話をしてほしい」を伝える。
ダイヤルを回す人、プッシュする人いろいろ。

3)指文字が19Pに50音の指文字で伝える。固有名詞、自分の名前とか専門用語は手話にはないですから、ひとついとつの文字を指文字で示します。

私の名前は馬場です、は自分を指差し手のひらに判子を押すような形をとり馬場という指で示す。口話もしてよい。昔の四十代以上の人には、私の名前は
  (額に手をやり、プロレスラーのジャイアント馬場のまね)ですとやる。

一同大笑い。

NTTが出している手帳の後ろに指文字のコーナーがあるご自分の名前だけでも覚えておけば便利です。健常者にも無料でくれます。

思いやり重い槍にならないように

レストラン、食堂に行くと耳の不自由なひとは順番待ちしていても「はい次の方」「カレーをお待ちの38番の方」聞こえないから呼ばれていること判らない。この情報が入らないんだなとサポータはフォローしてあげるべき。病院などでも耳が聞こえないというカードをはじめに出しておけば、それなりに座っているところに声をかけに来てくれる。

    手話をやっている会話を聞き入るように凝視しないことが大事。

   障害者、弱者、かわいそう、してあげなきゃ、ボランティア気持ちいっぱい、優しい気持ちいっぱいは、優しい思いやりは、もしかしたら重い槍になっているかもしれない。何でもかんでもしてあげようとすると余計に心の壁が出来る。

4)覚えておいてほしい手話。

私は手話ができなくてごめんなさい、筆談でいいですか?

私は=自分を指差し、手話が=コミュニケーション、糸巻き巻き

 出来なくて=肩のほこりを落とすしぐさを2,3回

 ごめんなさいね=眉間の困ったしわを二本の指ですくってあやまる

 筆談でいいですか=メモ書きのふり、その人に手のひらをさしだす。

みんなでこれを10回繰り返し練習した。関西弁でしゃべりながらも。2〜300回やると忘れないという。

最後にひとつお願いがあります。

自分の声が自分で判らない人が居るので、失礼ではないので何回か聞きなおしてやってほしい。初めて会った人に自分の声が出ているかどうかも判らない人が居るわけですね。発音が出来ているのか、初めての人にメモ帳とか出されたら、自分の声が出ていないのか、理解できないのかなと思うと話すのをやめてしまう人達がいるので。

よろしくお願いいたします。

1月の半ば、五竜スキー場に私も行きますのでよろしく。

 最後に外出支援者認定ということで、協会のほうから認定書をお渡しできます。それからハートフルサポーターと書いたバッジも一緒にお渡します。

5時30分から

W 知的障害、ダウン症の方について(内海HC委員が講師)

 携わるきっかけは:

10年前、国立の方にカタツムリという障害者の団体があって、そこで重度の脳性麻痺の方たち、電動の車椅子を使っている方たちが、富士山に登りたいということでそのお手伝いをすることが始まりです。そんな中で脳性まひの方たちがスキーをやりたいといいだした。ちょうど私が準指を取ったばかりのときで、健常者を教えることは出来るが障害を持った方は無理ということで、湯沢の方にある障害者のためのスキースクールで講習を受けました。その中で馬場さんとも知り合い、彼此6年になる。主に冬場、中里の障害者のためのスクールに、非常勤で毎週手伝いに行っています。

私は知的障害の方を見ることが多いので実体験にもと基づいてどんな事に注意しなければいけないかを話します。

なるほど  沖川委員 バックパックが非常に有効だ

皆さんはどんな障害が知的障害なのか、症状、行動について数人で話し合ってみてください。

 数分2〜3人のグループで話し合う・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

お配りした資料に一般的言われている知的障害についてどういう障害か書いてありますが、スキーを教える上では重要ではありません。

例えば自閉症といった時に、どういったところに注意しなければいけないか、あくまでも教える時の注意点という観点で書いてありません。

正式には「知的発達障害」

知的障害といわれているのは正式には「知的発達障害」といいます。どういう形で判定するかというと知能指数I Qで判定する。

IQ100は、その年齢であるべき数値の平均。

IQが100より低い場合がIQが低いということになる。IQではかれない人もいる。

1)知的発達障害の種別

(1)広汎性発達障害(自閉症、アスペルガー症候群、レッド症候群、小児崩壊性障害、その他の自閉症):

主に皆が会うのは自閉症だと思います。スキー場に来るのも自閉症の方が一番多いと思います。

身体障害を持っている方、四肢障害、聴覚障害などスキーに来るという時点でバリアを乗り越えている。知的障害の方は意思がないので、親御さんがやっているので連れてくる。

SAKに来る子供たちは軽い方で、楽だなと思うのは間違いで、本当に大変なレベルがあります。彼ら、彼女らは自閉症でないので、自閉症の場合はかなり困難になります。自閉症の場合感覚が鋭い。ちょっとした事で大声を上げるとか自分の世界に入ってしまう。ウエアにあるタグが大嫌いな人がいる。タグがあるだけで着ないとか、襟があるがいやとかがある。症状は全くばらばらです。

自閉症の子を見る場合、先ずはついてきた人の話を聞いてください。ただしそれを鵜呑みにしないでください。特に親の場合は。かなり欲目で見ているので、信用しないで下さい。聞くだけは聞いてください。何かがあったときに危険回避ができないことがあるので。

(2)注意欠陥多動性障害: 学校で教室の中で自分のいすに座っていられないような子です。このような子はスキーにはあまり来ません。

(3)学習障害: 判断が難しい。社会的発達は出来ているので普通の生活は問題ないが文字を読んだりとかがまったく出来ない。ひらがなはよめるが漢字は読めない。知的障害としては表にはあまり出ていないかもしれない。

(4)発達性強調運動障害:運動神経が鈍くて知的に劣っている。
(5)精神発達遅滞:県連の行事に来ている子供たちはほとんどこのレベルです。
    通常は問題なく生活できるが問題があればサポートが必要。
(6)染色体異常:よく聞くのがダウン症ですね。育て方によって知的発達の遅滞が少ない場合がある。みな同じレベルで考えるのではなく、どの障害の場合も同じだが。その子の状態を一回見てやってください。
偏見のないように。あとはその子とどれだけコミュニケーションが取れるか、コミュニケーションを取るのが一番大変だと思う。首の筋肉が弱い場合があるので転倒には十分に気をつけてください。転んだときに起き上がってこない場合がある。別な障害を負わせてしまうことになる。

(7)てんかん  もある。

あくまでも医者ではないし、こういうことを教えている先生でもない。こんなのがあるよ、という程度で考えてください。

ダウン症の子供たちは、親がかなり気をつけているのですごく挨拶してくる。例えば帰りに挨拶忘れたりすると、こちらが帰る準備しているのに、しつこいほどに挨拶してくる。そのとき嫌な顔をしないでじっくり向き合ってほしい。

どんなことでもコミュニケーションを取れるように、大人とコミュニケーションをとるのが一番大変なので、どれだけ人と話せるか、あとは話す時に人の目を見て話せるか。

まず信頼関係をつくる

知的障害の子供たちと滑るとき、信頼関係がかなり大切。通常マンツーマンで教えています。マンツーマンで教える時に別の人が入ってくると信頼関係がなかなか築けません。マンツーマンか1対複数(障害者)、複数対複数の場合は障害を持った子達が、どこを中心に見たらよいかわからない。県連のやり方だとちょっとまずいところが出てくると思うがそこは注意しながらやっていかないといけない。

バックパックをこうしてつかむ 知的発達障害者について講義する内海委員

異常行動が多いというが、それは健常者から見ての異常行動で本人たちはそれが正常な行動です。いろいろな子供たちがいる、例えば食べるのがめちゃくちゃ早い、横取りされる。行動が遅い。暖かい目で見てあげてほしい。視覚障害と別な障害があるとか脳性麻痺があるとかいろいろな障害が重なってくる場合がある。

先ほど馬場の方から話があったが、脳性まひの方で言葉が不自由な方が知的障害とすごく間違えられる。電動の車椅子に乗っていて言葉がうまく話せない

    という方が知的障害と間違われるのがいやという話がある。先ずはしっかりと聞いてあげること。向き合うことが大事。

何に興味あるか知ることも大切、

危険箇所もしっかり教える

2)指導をする上での留意点

講義を聴くより多くの知的障害を見たほうが早い。逆に楽しくなります。直滑降しかしないが、かわいい女の子がいるとそっちに寄っていく。若い女性しか行かない。おっぱいを触ってくるのできちんと拒否をする必要がある。相手が知的障害ということで遠慮はだめ、ノーとはっきり怒る同じ言葉を使っていう。

(1)IQにとらわれない:実際にスキー場でIQが判るわけはないので、見た目で、行動で判断するしかない。みんな一人一人特性があるので落ち着いてみてあげてほしい。かなり観察力が鋭くなる。

(2)知的障害の特性を理解する:実際にものを覚えるのが苦手というだけです。

考える力はその子なりにあります。教えるときに何度も同じ事を教えてあげないといけない。

(3)教え方の原則:

具体的に   自分でやってみせる、オーバーアクションで、そうしないと判らない。出来たからといって一回でやめにしない。スキーだとブレーキング、それが判るまで、一日それだけでもよい。本人たちもそれで楽しいと思います。健常の人たちに教えるようにいろいろなことを教えることは考えなくてよい。みんな出来るようになる。その度合いが遅いというだけです。何度も何度も繰り返してください。
愛情と熱意  ただ単に優しいだけではだめ。危険なことは危険だと教えること。

(4)事故防止対策: 知的障害を持った方は危険回避が出来ない、危険の認識

が出来ない。一番大変な問題です雪があれば崖にでも突っ込んでしまうし、森の奥に入ってしまう。その先池があっても平気。危険な箇所を教えること、目を離さないことが大事。

冬の湖は危ない、湯気が立っているように見えるので温泉の好きな子は危ない。

(5)パニック症状: 自閉症はパニック症状を起こす場合があるので気をつける必要がある、リフトに乗っているときにおきることがある。リフトから落ちないように注意する。

ザックを背負わせてチェストベルトと腰ベルトをつけさせることでザックを抑えてとめることができる。急に下の雪を取ろうとする。寝てしまうこともある。降りるときも足が前に出ないので力ずくでやるしかない時も。
なるべくパニックを起こさせないのがいいが、隙間に入って出てい場合もある。それで一日が終わる場合もある。雪に慣れさせる、遊ばせることがまず大切。一緒に遊ぶという感覚で。しかし判ると自閉症の重い子供たちでも自分でスキーの板を運んできたりとかする。用具になれるというのもあるが自分のものを覚えさせるためにもなる。
知的障害を教えるとき、スキーだけでなくて生活面全部を指導するような立場で教えてみてください。人ごみではあんまり騒がないとかも。

(6) なんに対して興味を持つか: を知ることが大切な問題。親はスキーをやらせたい。子供はわからない。もしかするとリフトに興味あるのか、回っている車輪に興味あるのかも。気をつけないとリフトに近づいて搬機にぶつかってしまう。

(7)性差に気をつける:思春期の女の子に対して、基本的には男性が男の子、女性が女の子を見るということだが、環境が変わるので突然生理が始まってしまうかも知れない。本人たち血を見て怖がってしまうこともあるのできちんと女性が出来るようにすることが必要。トイレで寝てしまうこともある

(8)重要な注意点

・リフトの乗り降り(他のことに気をとられる)ゲレンデの小さなごみを気にする子がいる。降りるときに気をとられる

・リフトの乗車中(飛び降り、パニック)どんなに高い位置でも、雪を取って食べようとする

・滑走中(衝突、危険回避が困難できない)ネットに飛び込ませない。 ターンがうまくできない。気になる人には近づく。

・排泄の意思表示の確認(我慢してしまうことある)聞いてあげることが必要。

・服薬の確認(必ず親御さんに聞いて必ず飲ませる)安定剤など。飲んだ薬のパッケージを取っておき証拠とする。多動性の子達は安定剤を飲んでいることが多い。

 いろいろな障害を混じっている(自閉で、多動でとか、脳性麻痺で知的とかこれが特に多い)ので人を見て指導法を代えることが必要。

 知的何人、車椅子何人というような言い方は失礼である。車椅子を利用のお客様が何人というようにしたほうがよい。名前を覚えてあげてください、特に知的の方は名前を呼ばれると喜んでくれる。

危険なときこうして抱き上げる 非常にためにになります 小川委員

どう楽しんでもらうかを考えて   

まとめとして

スキーをこの2日間でうまくさせてやろうとか、変にスキー目標を持つべきでない。
その子が初めてのスキー場、初めての雪上ということであれば、その子がその雪をどう楽しみたいか、そのサポートで皆さんが居ることぐらいの認識のほうがよい。

一番は障害を持ったその子が楽しんでくれること
二番目はもしかしたらその親が喜んでくれること

注意すべきことは

その子の命、生命を守ること、危険からの回避に体を張ることが多い。
救急法を覚えておく必要もある。救急車が来るまでの対応をすることが必要。

井上さん(スキー暦10年、ダイビングも)、田島さん(事務3年)お二人とも障害をお持ちで車椅子や段差のための準備、チェアースキーの準備等お手伝いをしてくれた。

受講者全員に認定書

外出支援者認定書とバッジ 左から内海さん、田島さん、井上さん、馬場さん

最後に講師の馬場さんから、土井かおるさん(受講者代表)にハートフルサポーター認定ということで外出者支援者認定書とバッジが贈られた。

参加者の感想

@ 理解するためには体験が必要だと感じた。もっとこのような機会を増やして行わないと理解が得られないのではと思います。広めてほしいですね。(井口修良)

A 視覚障害のある方へのサポート(特にスキー)に役立つ体験ができた。(沖川悦三)

  • 具体的に体験することで机上の内容を実感することが出来た。車椅子に乗る体験、眼の見えない状況での体験、実際に体験してみて、される側の気持ちに少し近づくことが出来たような気がします。先シーズンのボランティア体験を今後に生かしていけるようもっと勉強していきたい。もっと多くの参加があったらと思います。雪上での体験も楽しみにしています。(土井かおる)
  • 自分が普段接しない視覚障害の方のサポートが特に勉強になった。「立場に立つ」という基本的なことがなかなか分かり辛いところがありますが実体験することにより全身で感じることが出来ありがたかった。驚く発見が多かった。(八木智英子)
  • 目の不自由な人の疑似体験は大変参考になった。サポータ、障害者の両方を知ることが出来た。(水附謙太郎)
  • なかなか体験することが出来ない疑似体験を多数出来たことがとてもよかった。まだサポートする自信はありませんが「同じ人間」という点で接しられたらと思います。(神谷礼子)
  • 雪上だけにとらわれず全般にわたった話でよかった。疑似体験では怖さがチョッと判ったかな。サポート技術については、あっという間で物足りない感じ。人と人なんだなーと改めて感じた。技術じゃない!人柄ですね。
  • 判りやすいレクチャーで障害全般にわたって理解しやすいセミナーであった。自分も高齢になってくると身体の不自由さがまして来るわけで実際に体験して、健康であるべき大切さと、障害の方への理解を更に少し判ったことはよい機会を得た感じである。(渡辺智文)

                             報告者 越前谷芳隆


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