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北海道 プライズテスト前走レポート
SAJデモンストレーター 佐藤拓也さんレポート
写真 総務本部専門委員 阿部文善

クラウン受検

テクニカル受検
電脳オキナのホームページはこちら (阿部文善 総務本部専門委員)(写真満載)

 2004年12月15日(水)〜19日(日)、神奈川県スキー連盟主催の北海道ツアーに参加してきました。昨年に引き続き、強化合宿の講師という立場で参加させていただいたのですが、今年は途中一日強化合宿を離れ、テクニカル・クラウン検定の前走を務めさせていただきました。

 テク・クラ検定は18日(土)に行われました。この日はSコースの方の4日目、Cコースの方の2日目になります。僕はその間のAコースでの参加でしたので、この日が北海道に来て3日目のスキーとなりました。今シーズンは、研修会、そしてレッスンとあまりスピードを出して滑っていないこともあり、上手く滑れるかどうか不安な気持ちの中での前走となりました。
 会場となった朝里川スキー場は、昨年と比べると雪のコンディションも良く、この日は天候にも恵まれ、朝から気持ちの良い晴天になりました。今回の受検者はクラウン4名、テクニカル12名の計16名でした。受検者の中には強化合宿で参加の方や、以前からの知り合いの方もいたりと、僕も半分応援する気持ちをもちながらスタートに立ちました。

不整地小回り前走

さぁ、アクティブに!

◆不整地小回り

 最初の種目は不整地小回りでした。しかし、ゲレンデ中どこを探してもコブがありません。こうなったら自分たちで作ろうということになり、グリーンリフト下の新雪が30cmくらい積もった斜面に入り、全員で踏みおろしをすることにしました。その後でコースインスペクションを兼ねて一度受検者に滑ってもらったのですが、柔らかい雪でしたので今度は枝や石が出てきてしまいました。それでも全員が滑ったラインを少しはずすことでどうにか斜面がとれそうでしたので、荒れた新雪といった感じではありましたが、1種目目の不整地小回りを行いました。
  僕は滑り出す前から、リズムを大切にしようと思っていました。雪が柔らかいのは分っていましたから、自分からスキーを動かすというよりはスキーが浮力を受けて返ってくるまで待つ、ゆったりとしたリズムをイメージして滑りました。こういった荒れた新雪は、雪からの抵抗が一定ではないので、板がバタバタしてしまうのはある程度しょうがないと思いますが、そんな中でも一定のリズムで滑りおりていけると、見ている人も気持ちが良いと思います。この種目では脚をとられたり、バランスを崩したりという受検者が多くいましたが、多少そういったミスがあってもリズムをキープして滑りきれた方には良い評価がされたと思います。

整地中回り前走

頑張れ

◆整地中回り

 2種目目はレッドコースに移動して整地中回りを行いました。斜度があまりなくスピードが出しづらい状況でしたので、僕はあまり弧を深くしすぎないことを意識して滑りました。
  この種目は中急斜面ということで斜面設定も緩くなりますし簡単なように思えますが、実は意外と難しい種目だと思います。今回の受検者を見ていても、切り換えでの抜重の時間が長いために弧が小さくできなかったり、逆に荷重の意識が強すぎて小回りのリズムになってしまったり、または回転弧やリズムを優先させすぎてしまいスキッディング要素が多く出てしまっているケースが見られました。今のスキーはサイドカーブによってある程度回転半径が決まってきますから、その回転半径を小さくしようと思ったら、より深く傾けるかスキーをたわませる動きが必要になってきます。この種目を上手く乗り切ろうと思ったら、気持ち良くカービングターンができる弧の大きさだけでなく、普段からリズム変化をいれるなどして、いろいろなターンサイズに調整する練習を取り入れていくと良いと思います。

 3種目目は、中回りでのゴールエリアからレッドコースのリフト側へと斜面を移動して、整地大回りを行いました。この種目ではみなさん気持ち良く滑れていたと思います。僕も気持ち良く滑らせてもらいました。ただ、中には気持ち良く滑りすぎてしまって・・・。ターンを後半まで引っぱりすぎてしまったり、ターン内側に倒れすぎてしまう人が多いことが気になりました。テクニカルやクラウンのレベルになるとかなり高い次元のスピードが求められてくると思います。それがターン後半までスキーを押し続けてしまうと斜面の横への移動が多くなり、スピード感を出せなくなってしまいます。あくまでも落下運動であることを意識して移動の方向を谷に向けていけるともっと良いのではと感じました。また、内側に倒れすぎて外スキーを軽くしすぎてしまう人は、ターン中のポジショニングが安定しなかったり、次のターンに移動するタイミングが遅れてしまったりと、あまり得することはないと思います。整地といっても今回のように多少凹凸がある斜面では、ある程度外足に荷重する意識が必要になると思います。体軸を傾けてのターンも練習しておく必要がありますが、状況によっては外足荷重を意識してのターンにポジションに戻せるように、両方をバランスよく練習することが重要だと思います。

 4種目目は整地小回りを行いました。使用した斜面はレッドコースのリフト側のちょうど整地大回りで使ったあたりになりました。僕は今シーズンほとんど小回りをしていなかったので一番不安な種目でしたが、滑りだしてみると意外と上手くスキーが動いてくれてほっとしました。

天候にバーンも最高です

積極的に行くぞ

◆ストックワークに課題が

今回の検定では、クラウン受検の方から順番に滑ってもらったのですが、下から見ているとクラウン、テクニカル、両方の受検者に共通してストックワークがあまり良くないように感じました。小回りは大回りと違い、ある程度上体のブロックみたいな動きを使ったほうが脚部の運動がしやすくなると思います。そういった意味でも上体の構えが非常に重要になります。上体の構えが安定している人は上手くストックも突けているケースがほとんどですから、足元がバラバラになってしまったり、腰が回りすぎてしまったりという方は、ちょっとポイントを変えてストックワークに目を向けてみるのも良いと思います。僕も久しぶりの小回りで自信がなかったのですが、リズムを大切にしようと思い、ストックをしっかり突くことを意識して滑りました。みなさんも大会や検定の本番になると緊張でいろいろな部分まで意識ができなくなってしまうこともあると思いますが、「ストックを突く」それだけを意識して滑るだけで意外と身体が動かしやすくなることがあると思います。是非、参考にしてみてください。

5種目目の不整地大回りも同じくレッドコースで行いましたが、斜面をリフト側から反対側へ移動し、前日の凹凸が多く残っている斜面を使用しました。整地大回りは不整地に近く、不整地大回りは整地に近い斜面設定になりましたが、この時期にして石が出ていることもなく良いコンディションで行えたと思います。

こちらが検定員

楽しかったでしょうか

◆整地大回り、不整地大回り〜フリー滑降

 今回はこういう状況でしたので、僕も整地大回りと不整地大回りは、あまりイメージを変えずに滑りました。技術的には内足の荷重配分を多くしすぎると凹凸への対応も難しくなりますので、ある程度外足で足場を作ってから内側へ重心を移動させるような動きを使いました。また、整地と不整地で少し意識を変えた部分としては、脚を曲げすぎてしまうと凹凸を吸収する余裕が少なくなってしまいますから、吸収する動きを使えるように脚を伸ばしておく時間を長くとるように意識した部分になると思います。受検者の滑りを見ていると、微妙にですがポジションを内側にとりすぎてしまうためにバランスを崩してしまっている方が多いと思いました。スキーの性能が向上し、傾ければターンになるような板がほとんどですが、傾けるだけでなく、もう少し内力を使ったターンや、内力を使えるポジショニングというものを意識して練習していただけると良いと感じました。

 最後の種目はフリー滑降でした。昨シーズンから検定種目となったフリー滑降ですが、この種目はその名のとおりフリーな種目です。僕も前走であることを忘れ、いや、忘れてはいませんが、思いきり滑らせてもらいました。

 この種目では、レッドコースを上から下までかなり長い距離をとりましたので、僕はジャッジにアピールするポイントとしてスピードを意識しました。先ほどの表現を使うと、落下運動であることを意識して重心の移動の方向を谷に向けていく、という感じです。この種目は「フリー滑降」ですから、当然自分の得意な滑り方をしてもらえればいいわけですが、今回の斜面設定を見る限り、長い斜面、また幅の広い斜面を使えるという意味で、フリーと言っても大回り系の滑りが中心になるケースが多いのではないかと思います。斜面を広々と思いっきり滑る、そんな種目だととらえればイメージも作りやすいのではないでしょうか。

テクニカル合格 藤村和弘さん

クラウン合格 萩原明東さん

◆事後講習でアドバイスをさせていただきました

 検定が終わると1時を過ぎてしまいました。受検者のみなさんは朝食も早い北海道ツアーですからお腹も空いてしまって大変だったと思います。お疲れ様でした。

 検定を終えて昼食をとった後に、簡単な事後講習を行いました。ここでは検定中に僕が気付いた点(このレポートにまとめた内容)をアドバイスさせていただきました。

 僕が事後講習を行っている間に、検定員を務めてくださった、伊藤、吉野コーチは集計に追われていました。お疲れ様でした。

     事後講習、そして集計も無事に終わり、閉会式の中で合格発表が行われました。今回のテクニカル・クラウン検定では、テクニカルに藤村和弘さん、クラウンに萩原明東さんが合格されました。おめでとうございます!僕は前走をしながらで、みなさんより一足先にリフトに乗らなければいけなかったりと全ての種目を見られたわけではありませんが、お二人はレベルの高い滑りをしていたと思います。藤村さんはクラウンへ、萩原さんは技術選の方へと目標を広げていただき、これからも頑張っていただきたいと思います。

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