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指導員養成講習会理論1レポート
広報委員  大川 広樹
講習会風景
10月に結婚したばかりの大川広報委員


                                ★大川広報委員の顔写真はこちら
◆みなさんはじめまして!
 相模原市スキー協会の大川 広樹です。
 協会の三塚 洋二理事長から 居酒屋で根回し 要請を受けまして、今期から広報委員のお仕事をさせていただくことになりました。
 そんな私の初めての取材活動として、11/3(日)横浜の神奈川県民センターにて開催された、「指導員養成講習会」のレポートをお届けします。

 ・・・・と、かっこつけたことを言ってみましたが、実は私も準指検定の受験生。
 協会やクラブの皆さんのご期待に応えられずに2年連続不合格の憂き目に会い、3度目の正直とばかりに今年も検定に挑戦しようとしている、SAKで一番スキーの下手な専門委員です。
 そんな私なので、右手にデジカメ、左手に教程を構えて取材してきました。
(会場にいた人からは、きっと、変な奴がいると思われていたことでしょう)

◆副会長挨拶 〜野地副会長
 司会をつとめられた高柴専門委員の開会の言葉に続いて、野地副会長がご挨拶されました。
 にこやかに厳しく受験生を激励したあと、近年スキー指導の場が減ってきていること、それに対してスキーの底辺を拡大することが急務になっていること、そのために、指導員が「世代を超えて楽しめるスキーの魅力」を伝えていくことが大事なのだをお話されました。
 この、スキーの楽しさを伝えるという言葉が、今回の講習会の全体を貫くテーマだったと言えるでしょう。
同様の言葉が、少しずつかたちを変えて、各講師のお話に出てきていました。

◆専務理事挨拶 〜山田専務理事
 続いて山田専務理事よりご挨拶をいただきました。今年のために昨年の受験者をかなりの数ストックしておきました」と、みなさんお馴染みの山田節から始まり、合否の基準についての話題へと移り、「純粋にスキー技術をジャッジしているので、実力を十分に発揮して欲しい」との激励の言葉で締めくくられました。

◆受験に対する心構えとSAJ・SAKの現状について 〜渡辺教育本部長
 原則として2回とも受講する必要のあるこの理論講習会ですが、受験生からの要望を聞き入れて、やむをえず1回欠席したものについては、シーズンまでに救済措置(雪上行事での補講など)を考えるので安心して欲しいとのことでした。
 また、検定のためだけの楽しくないスキーはしないで欲しい。息抜きとしてスケールの大きなスキー場でロングコースを一気に滑るなどの練習をして欲しいと強調されていました。
 また、「技術的に悩むことがあったら、SAJのビデオを見てその通りに滑れば良い」という発言に、会場が爆笑に包まれました。
 そして、理論検定についてのお話や、SAJやSAKの登録人数、検定の受験者数などについてのお話があった後、「元気な挨拶をして欲しい。検定も大事な出会いの場なので、検定を通じていろんな仲間作りをして欲しい」と締めくくられました。

◆スキーの歴史 〜栗田専門委員
 「スキーの歴史は、指導者としての一般教養である」と前置きされ、アルペンスキーの歴史を大きく4つの区分に分けて説明されました。
 理論検定では、オリンピックやインタースキーについて出題される可能性があるので、自分なりに年表を作成して整理しておいて下さい、とのことでした。

◆スキー指導方法論1 〜森本専門委員
 手話を交えてのご挨拶から始まった森本専門委員による講義は、スキー指導の方法論について。
 「何故、スキーを続けているのか?」という、受講生への問いかけによって、「スキーをする目的は個々に異なっている」ことを明らかにし、自分の考えを押しつけずに生徒のやる気を引き出すことが大事であると説明されました。
 気になる出題傾向ですが、「言葉尻にはこだわらず、テキストの理解度を重視する。テキストは難しい書き方をしているが、書いてあることは簡単なことなので、じっくりと読んで理解して欲しい」とのことでした。丸暗記が苦手な私も、それを聞いて少し安心しました。

受付を担当する専門委員
真剣に講義を聞く

◆「北海道ツアー」プロジェクトによるプレゼンテーション
 お昼休みが終わって午後の部は、SAK恒例の事業となった「北海道ツアー」についての説明から始まりました。
 片総務本部長より、「今年は本州の雪が少ないかもしれないと言われている。だからこそ北海道へ行こう!
シーズン始めの12月に滑り込みができる貴重な機会であり、初滑り行事として利用するクラブも出てきている」とのピーアール。総務委員のお姉さんがたによるプレゼンテーションによると、スノーボード講習やシニア対象のポールレッスンなども予定されているようです。
 佐々木専門委員からも、「12月という早い段階で今年の動向を知ることが出来る。また、北海道のスキーヤーはこの時期あまり滑らないので、朝里川がほぼ貸しきり状態になる」とのピーアールがありました。
 その後、昨年のツアーの様子をビデオ上映。「仕事が休めないよ・・・・」などと苦笑いしていた受講生も、講習会の風景がスクリーンに映ると、やはりスキーヤー、真剣なまなざしでブロック技術員の滑りを見つめていました。

◆スキーレクチャー 協賛メーカ紹介及び各社による現状のスキー用具について
 協賛する2社の方から、スキー用具についてのレクチャーがありました。
 まずは、HTMスポーツジャパンさん。
 スキーの性能をあらわす要素のうち、特にトーション(ねじれに対する強度)のコントロールに各社がしのぎを削っていることが説明されました。特にHTMスポーツジャパンさんが扱っているHEAD社の板は、インテリファイバーというケーブルのようなものが、与えられた力を電気に変換して、マイクロチップによって板のねじれを制御する仕組みになっているそうです。
 私の頭ではこのすごい板の仕組みを正確に理解できているか自信がありませんが、他の受講生もあまりのすごさに、ぽかんと口を開けている人が目立ちました。
 そのうち、「個人の滑りのクセを入力したメモリーカードを板に挿すと、コンピュータが板の挙動を自動的に制御してくれるようになるかも知れない」などとバカな想像をしてしまいましたが、案外、既にそんな板の開発が進んでいるかもしれません。

 また、学校行事としてのスキー教室が今年は昨年の半分になってしまう見通しとのこと。その原因の一つとして指導者不足が挙げられており、これからは指導者がより地域と密着することが期待されているとのお話がありました。

 次にビー・エストさんより、SUPER feetという、ブーツのインソールについての説明がありました。
 これはブーツのサイズを調節するものではなく、人間の足が本来持っている機能を十分に引き出すためのインソールなのだそうです。
 具体的には足裏のアーチ(通常、ブーツの中では潰れてしまう)を早く復元させ、また、可能な限りアーチが潰れていない状態を作り出すとのことでした。それによって、人間の足が持っている衝撃吸収能力がほぼ100%発揮できるようになり、スキーの操作性も向上するそうです。

 マテリアルの進歩にはすさまじいものがあります。
 普段、「マテリアルにお金をかけるならそのお金でスキーに行く」と言っては人のおさがりを使っている私も、このままではいかんのではないか、とちょっと反省してしまいました。

◆準指検定の合格発表の方式について
 ここで、山田専務理事より、準指検定の合格発表の方式について問いかけがありました。
 個人情報保護の観点から、従来の閉会式で合格者の名前を発表する方式をやめて、合格者のゼッケン番号を掲示する方式を採用することを検討しているが、どちらのやり方がよいか、ということでした。
 そこで、受講者が好みの方式に挙手を行い、圧倒的多数の支持を受けて従来の方式が継続されることになりました。
 私も、従来方式に挙手をさせていただきました。
 確かに、過去2回の合格発表でつらい思いもしましたが、それによって成長もしてきたと思うからです。
 どんな結果になっても、同じ協会・クラブの仲間と一緒に喜び、悔しがりたい。そんな思いを込めて挙手をしました。

受付風景
佐々木生道専門委員

◆スキー指導方法論2 〜加賀専門委員
 次に加賀専門委員が、スキー指導方法論、特に対象別(年齢別・性別)指導法を重点的に講義されました。
 年齢別指導法の中では、「0歳から100歳までの、すべての人々に『喜び』と『感動』を与える、生涯学習にふさわしいライフスポーツ」というキャッチフレーズが強調されていました。
 加賀専門委員はここで、「でも、ご近所の100歳のお年寄りをスキーに連れて行けるかっていうと、ちょっと考えちゃいますよね」とジョークを言いましたが、私は0歳の時にスキーに連れて行かれて、父親の背中にしょわれながら『寒さ』と『振動』のトラウマを与えられました。キャッチフレーズはあくまでもキャッチフレーズとして押さえておいた方が良いみたいです。

◆実技指導について 〜柳橋専門委員
 柳橋専門委員からは、実技指導について、蔵王での長い指導経験に基づいた貴重なお話を聞かせていただきました。
 「自分のスキーを押しつけずに楽しいスキーを演出する」「専門用語を避けて生徒の分かる言葉で説明する」「いろいろな条件下での反復練習が重要」「欠点の指摘をするだけではなく、どこをどう直すとうまく滑ることができるかを教えるべき」といったお話があり、続いてカービングターンの技術について、受講生と一緒に実際に体を動かしながら説明していただきました。 「でも、雪上で同じことができるかというとこれが難しいんですよね」とのお言葉には、受講生全員が苦笑いしていました。
 最後に、「指導の場は少なくなっているが、喋りすぎず詰め込みすぎず、『教える』という意識よりも『共に滑る』という意識で指導して下さい」との言葉で締めくくられました。

◆その他必要な知識 〜堀専門委員
 予定よりも少々時間が押し気味になってしまい、「大幅にはしょります」との言葉から始まった、堀専門委員の講義では、主にスキーの用具について説明がありました。
 時間が限られていた分、ポイントを押さえた講義になり、「準指検定ではそれほど硬い板を選ばなくてもいいのではないか。また、短すぎる板を履いていると、不整地でテールの押さえが効かずに抜けてしまいがち」「ビンディングの微調整を忘れずに、検定の時は解放値を若干高めにしておいたほうがいいかも」「プレートが高すぎるとショートターンで不利になる」「幅の広すぎるブーツは操作性に悪影響がある」「基礎スキーヤーはチューンナップに対する意識が低いように思う。ワックスはメンテナンスの面でも操作性の面でも積極的に塗るべきだ」などといった、ショップ経営者ならではの意見を聞かせていただけました。
 最後は、「遊び心がなければ受かるものも受からない。スキーの技術がレベルアップすれば種目もこなせるし結果は自ずとついてくる。視野が狭くなってしまう人が多いが、楽しんで滑ってください」との言葉で締めくくられました。

 その後、指導員会から特別研究会についてのピーアールと、木村教育本部理事による、検定までの各行事日程の説明と諸手続きについての説明があり、閉会となりました。

 スキーについて、検定について、いろいろなことを考えさせられる内容の濃い講習会だったと思います。
 参加された受験生のみなさんも、検定に対する意識がますます高まってきたのではないでしょうか。 

◆最後に受験生のみなさん!
 繰り返しになりますが、私も検定を受験するみなさんの仲間です。
 養成講習や検定でご一緒する機会がありましたら、どうか仲良くしてやって下さい。
 3月9日の日曜日に笑顔で神奈川へ帰ることができるように、これから始まるシーズンを充実したものにしましょう。

 おしまい


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