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「理事会とは?」〜第65回理事会レポート〜
広報委員  大井智子
大井広報委員
理事会風景

◆「理事会とは?」
 広報委員2期目にして,初めて「理事会」に出ることになった。広報委員は神奈川県スキー連盟(SAK)の役員ではないので,会で発言するわけじゃない。書記として参加し,議事録を作成するのだ。これまでは,「中途採用で広報委員になった」し,「家も遠い」ので,なんとなく議事録作成の任を逃れていたのだが……。

◆「理事会」とは,いったいどんなところなのだろう。
役員のうち何人かの人たちは,かつて準指受験や指導員研修会でスキーを教わった懐かしい「先生」たちだ。何人かは,協会の記念事業の仕事を通じて知り合った年の離れた「同窓生」。おおむかしから知ってる人たちの理事としての「顔」を見るのは,なんだか楽しみだ。

◆10月5日(土)。はれ。
 広報委員の担当理事の徳本進さんから,「理事会が始まる15分前に会場にきてね」と言われていた。会場の神奈川県社会福祉会館に到着すると,入り口ロビーのソファに井駒利一監事が座っている。さっそく,極上の笑顔で「こくん」と挨拶してみた。井駒さんはそれを見て「きょとん」としただけだった。
がーん。 認識されなかったことにちょっと心を痛めつつ,理事会の行われる4階へ。さっそくエレベーターホールのロビーで,コンビニで買い込んだばかりの「梅入りおにぎり」にかぶりつく。理事会とは,「厳格」な雰囲気のところかもしれない。途中でおなかが鳴っては,たいへんだ。その横を,越前谷芳隆事務局長や,早川博基理事や,本田衛義理事が通りすぎた。おにぎりを一気に口の中に押し込みつつ,「まだこれ食べてていいですよね」とゼスチャーで彼らに合図した。
 おにぎりをごくりと飲み込み部屋に入ると,すでに会場づくりが始まっていた。ロの字型にテーブルを配置して,いよいよ理事会のスタートだ。

◆理事会がスタート
 まずは山田隆専務理事のお話。SAK以外のスキー連盟団体の様子や,現在のスキー業界の置かれている苦しい状況などが,ライブ感覚で伝えられる。「スキージャーナル」や「スキーグラフィック」では得られない「生」の情報を知るのは,ちよっと得した感じだ。中には会員減に歯止めのかからない連盟もあるそうだ。「このまま黙って何の手も打たなければ,手遅れになる」のはSAKも同じということだ。
 さらに前半は,各委員会などからの「報告事項」があいついだ。
 柴田秀一理事からは,登録関係の報告があった。登録をやめた団体,登録をやめた人,他県連から来る人,他県連に行っちゃう人……。その中に,一緒に準指を受験し,一緒に「神奈川県キー技術選大会」に出場した友だちの名前が,ふいに読み上げられた。登録をやめちゃう人のカテゴリーだ。上田英之理事も知っている人なので,思わず「あれ?」と目が合った。

◆理事は夏もおおいそがし
 むかしむかし,準指受験のために北海道研修に行った時のことだ。学生クラブ所属のわたしは,見たこともない奇妙な「基礎種目」にてこずっていた。さっぱりできずに班の落ちこぼれとなり,班員のある男性に「おまえ落ちるぞ」とおどされた。その一方で,あまりのへたくそぶりに同情を引いたのか,同じ班の4人の女性となかよしになった。全員所属クラブは違ったが,付き合いはずっと続いた。かなり若かった当時から,われわれはブロック技術員の先生から「4ババ」とまとめて呼ばれていた。あれは若さへのやっかみか。
その4人のうち,これで2人が登録をやめたことになる。さびしい。
さらに理事会では,「この会合に出席しました」「あのスキー場に行ってきました」と報告が続いていた。まだまだ雪は降りそうもないのに,理事の人たちは,助成金をもらうために走り回ったり,大会の事前の視察に行ったり,他県連と打ち合わせしたりと,おおいそがしだ。仕事を抱えながら,そうした活動を乗り切るのはさぞやたいへんなことだろう。それを実現させるのは,理事が個々に備えている「情熱」なのだろうか……。

◆「笑い」をとることも忘れない
 議事は,シャキシャキ進んでいく。ありがちな,つまらないことで何時間も時間を浪費するタイクツな会議とは違う。だれかが何かを投げかけると,それに対してすばやくだれかが「すぱーん」と返球する。さすがに,理事だ。みんな頭の切れる人たちだ。それとも,この小気味のよさは「体育会系」団体のなせるワザなのか。
 事前のうわさでは,「理事会では山田専務理事がいっぱいしゃべる」と聞いていた。確かに,山田専務理事がしゃべる機会は多いが,ほかの理事の発言も多い。なかなか民主的な感じだ。わたしなんぞは,もうちょっとで「はい」と手を上げてしゃべりそうになったぐらいだ。そこはきちんとがまんした。
 ところどころでだれかが「笑いをとる」のも,SAKならではだろう。笑うと気持ちがほぐれるし,眠くなったりしないですむ。会場の雰囲気は,あったかい。笑いのポイントでしっかり大きな声で笑いながら,「こういうの,SAKのいいとこだよなあ」としみじみ思った。
後半は,「審議事項」だ。専門委員の追加やら,功労指導員の推薦がつぎつぎと承認されていく。
今期から2年間,SAKは「南関東ブロック技術員研修会」の当番県になったという。これまで東京都スキー連盟の事務局に出向いて開催されていた年に2回の会合は,今期からは当番県の神奈川県で開催することとなった。そのためにかかるコストを,予備費から「予算の科目追加」することも,承認された。
 それから,今日の理事会の一番の山場が訪れた。山田専務理事からの「緊急提案」だ。「緊急提案」という言葉からしてなんだかすごい。以下に,その中身を,各理事の言葉を通して紹介してみよう。

◆「緊急提案」発動する!

 「スキー業界は,かつてない苦しい状況にある。こうした時代に必要なのは『普及活動』だ。SAK独自の施策が必要だ。資格を維持する『教育部』のほかに,スキーを啓蒙し,新たなスキーヤーを創出する『普及部』をつくっていきたい。『資格をとった人が競技を始めるためのサポート』や,『ジュニアの育成』をしているだけでは,もう間に合わない。普及部をつくって大きく活動していかないと,手遅れになる」(山田専務理事)。
 「このところ,『1級を取得したが,子どもを生むので資格の産休制度のようなものがあれば利用したい』とか『仕事が忙しいので,しばらく検定員の資格登録を休みたい』といった問い合わせが増えている。これに対応するSAK独自のルールがつくれないか」(柴田理事)。
 「このまま手を打たずに現状を見過ごせば,8000人いるSAK会員が半減する日がいつか来る。SAK独自の試みを検討する必要がある。@SAK独自の会員を入れる,A組織づくりを見直す,B「資格はとりたいけどクラブへの所属はためらわれる」という人たちの救済方法も検討する必要がある」(片忠夫常務理事)。
 「指導員資格を維持するだけで1万円以上かかる。不況続きのこの世の中では厳しい部分があると思う。受講生を失望させないやり方を模索したい」(渡辺三郎教育本部長)。
 「普及活動を行う委員会を立ち上げるなら,積極的に一般会員を起用したい。各協会の熱意ある人や,一般会員の声を入れることは大切だ」(古郡敬一副会長)。
 「理想はそうだが,クラブにも協会にも人材が残っていないのでは」(柴田理事)。
 「違うルートでさがそう!」(上田理事)。
 「2,3年前から,同じことが理事会で議論されてきた。具体的に一歩を踏み出さないと。各協会も,クラブも同じ悩みを抱えている。会社は週休2日制が浸透し,元気なシニアがいっぱいいる。何かやりたいけど,どうやったらいいかわからないシニアにも協力してもらえるのでは?」(野地澄雄副会長)。

◆プロジェクトを立ち上げる!

 こうした議論を経て,「教育本部の下に,資格の登録や維持など,既存の仕事をこなす教育本部と,スキーの啓蒙活動を行う普及部(かつてあった普及部を復活させる形)を新たに設ける。普及部の活動は,一般会員が参加できる『プロジェクト』形式とする」という,山田専務理事の緊急提案が承認された。
 「言い出しっぺ」として山田専務理事は片常務理事とともに,このプロジェクトを積極的に推進することになった。
 自動書記装置のようにほぼ2時間,ノートにメモを走らせていた。最後の,人心をひきつけるプレゼンテーションに,ついわたしも考えた。「大学スキーサークルの夏合宿に専門委員を送り込んで,学生にSAKをアピールしたら早道では」と。
かつて自分も学生時代にスキーサークルに所属していた。夏合宿にスキー板メーカーのオガサカの小沢哲さんが参加してくれて,みんなで感動したものだ。そのかいあってか,当時はクラブ員がこぞってオガサカの板を履いた。4年生はオガサカのリーダース研修会に参加した。学生の心は,やわらかくて純粋である。かつ,社会人がこんな情熱的にスキーを楽しむ場があることを,まったく知らない。スキーは学生時代でおさらばさと,みんなが思っている。専門委員の人たちも,夏なら自由に動ける時間があるのではないか。学生はとてもかわいらしくて,接していると楽しくなれること請け合いだし。
 そんなことをぐるぐる考えているうちに,理事会は,「熱い提案」が採択されて終了した。
なお,さらに具体的な内容を知りたい方がいらっしゃれば,これに先駆けて作成した「議事録」をホームページで見ていただけますか。
レポートを最後まで読んでくださり,ありがとうございました。あなたも,きっとSAKを楽しく盛り上げるいいアイデアをお持ちだと思います。よかったら,教えてください。わたしたち広報委員にでもかまいません。研修会の時に山田専務理事や片常務理事にそっと耳打ちしたり,専門委員に提案してくださってもかまいません。きっとみんな大歓迎だと思うのです。

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