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スノーパラダイス in北海道 研修会
大井智子広報委員レポート

山田さん
山田さんの研修会

 12月14日(土),朝里川温泉スキー場。
まずはどこかの指導員研修班にもぐりこみ,様子をレポートしようと思った。レッドコースに向かうリフトに,福岡昭充専門委員の研修5班が向かうのが見える。今日の朝ごはんは福岡さんと同じテーブルだった。彼の新人専門委員としての奮戦ぶりをレポートしようと思い,すかさずあとを追った。とこが,リフトを降りたところですぐに,その姿を見失ってしまった。
「しまった」。そう思ってあたりを見わたすと,目の前に山田隆専務理事の研修6班がいるではないか。「しめた」と思い,近寄っていく。最初はおそるおそる遠巻きに,徐々に大胆に近寄っていき,パシャパシャとデジカメで写真を撮り始めた。むかし北海道の研修でなんどか山田さんの班に入った。なつかしい。
最近は,一緒に滑ってもらいたくても,なかなかそのチャンスがない。わたしも班員の一員として一緒に練習したかったが,ここはじしゅくし,広報委員の任に徹した。山田さんが「あとでジャンプターンで下まで降りて行きます」と班員に話すのが聞こえた。「よかった。班員でなくて」とほっとした。

「テールが流れてる」
 山田さんは,「僕と同じような弧で滑ってほしい」と言い残し,まず一本滑る。
 全員が滑り終わると,「みんなの滑りを見てるとテールが流れている。高速でのカービングターンは内足・内倒かもしれないが,このぐらいの低速のスピードの場合は,外向傾をつくって,テールが流れ出すのを押さえて,深い弧で回ってほしい。ひざと体の切り替えだけで滑るのではなく,板が勝手に回ってくれるのを『待つ』ことが大切だ。カービングの中まわりと言っても,必ずスキッドは入ってくる」と話した。
 なるほど。いつもの山田さんの話を実践する研修内容だ。オリジナルな「スキーの哲学」が一本通ったカリキュラムに,説得力を感じた。
 ペアリフトで一緒に乗った班員の人に「どうですか?」と質問した。「カービング板をはいて『内足』のことばかり頭にあったので,外向傾を考えてなかった。『内倒ぎみに滑る』という頭の理論ができあがっていたので,いま言われて『なるほど』と思った」。こう話す40代男性は,北海道研修は2回目。「昔は毎週末スキーに行ったけど,いまは体力的についていけない。カービングはケーブルテレビの『スキー講習』を見て学んだ。いまは2年に1回研修会に参加するぐらい。きのうはゆっくりおふろに入っていて,パーティの開始時間に遅れて参加をあきらめました」と話してくれた。遅れてもぜんぜん平気でしたよ。

指導員研修風景

山田さんの講釈中…

「通りいっぺんでない練習」
 山田さんの研修は続く。「道具がよくなって,スキーを回すしかけが向上した。自分の得意わざしか使わなくなり,通りいっぺんの練習しかしなくなった。カービングは簡単。みんなの板は,エッジの切り換え,ひざの送り込みで,その弧が生まれる。押さえてないと弧はゆるむ。ときに,切り換えるのは難しい。高速の急斜面でパーンと弧がはずれることがあると思う。幅の狭いわざだけではいけない」。たしかに,カービングを初めてはいたとき,やけにももがぱんぱんになったっけ。
 それから研修では,「通りいっぺん」でないカリキュラムが続いた。「ポジションを変えて滑っても,第三者が見ると同じに見えることがある。大切なのは気持ち。『高いポジションでいこう』とか『低いポジションでいこう』といった気持ちを強くもって滑らないと,体の動きが小さくなって,何をやっても同じに見える。それでは生徒は混乱する」。そう話してから,低いポジションで,スピードを出さずに,一定の速度で下までトレイン。これがなかなか難しい。板をしっかり捕らえてないとテールが流れ出してしまうのだ。そういえば,こんな低速で滑ることはあまりなかったな。

「方法は教える。あとは自分で考えて」
 次のペアリフトで一緒になった40代の男性は,「最近,山田さんに習うのは2回目。独特の講習で,緊張する。ここのとこ若い専門委員の先生が増えた。同い年ぐらいなら緊張しないけど,山田さんは自分が準指受験のころからいた先生。一緒に年とっていくから『永遠に先輩』なので,緊張する。でも新鮮でいい。北海道ツアーは,毎日,バスの出発時間が早くてつらかったけど,今日は朝の8時とゆっくりだったのでよかった」と話してくれた。
 次は,大きな大きなターンで滑る。下についてから山田さんは,「『構えはこうして』と言われても,滑り出すと忘れちゃう。斜滑降をつないで向きを変えるような,大きなターンの練習を時々してほしい。『自分はどんなかっこうをしてるか』『腰はどっちを向いてるか』『山足,谷足どっちの荷重か』と,スタート前に考えても,うまく滑ろうと思うと忘れちゃう。大きいターンで,『上体が回る』などの,フォームを矯正してほしい」と,大きなターンで滑った理由を説明した。さらに「方法だけはみんなに教えました。あとは自分で考えてください」と結んだ。
 一緒について滑ったのは,わずかリフト3本ほど。それでもちゃんと起承転結があった。どこからか引用した言葉でなく,自分の言葉でスキーを語る山田さん。そのプレゼンテーションにはやはり説得力を感じる。ジャンプターンをやるのでなければ,ずっと見ていたかった研修班であった。


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