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五竜T行事
指導員研修会(D)・公認検定員クリニック(D)
・基礎スキー技術強化合宿(B)
基礎スキー指導員養成講習会(B)
技術レベルアップ講習会(A)
スキーパトロール養成講習会(A)
HC(ハンディキャップ)スキー教室(1/18〜19)
大井智子 広報委員レポート

ウルルのラウンジ

◆「ウルルのラウンジ」
その晩は,みんなそれぞれの宿で最後の夜を楽しく過ごしたようだ。わたしも隣の宿に泊まっている,自分のクラブの人たちに会いにいった。本部のウルルに戻ったのは,夜の10時30分ごろ。ラウンジではみんながわいわい歓談していた。宿の岩井良三オーナーは,感動的なことに「女性にだけね」とわたしと田村さんにシュークリームを出してくれた。うえた役員の人たちがどうしてもそれを横取りしようと狙うので,「奥の手だ」と思いべろりとなめた。山田さんをはじめ,さすがにみんなはひるんだが,現場を目撃していなかった岡崎さんがあとからやってきて,「なんだ。うまそーなシュークリームだな」と言いながら,ぱくりと半分食べられてしまった。ああ……。
ちなみに宿の名前の「ウルル(ULLR)」とは,北欧の「エッダ神話」というお話に出てくる,「スキーを履いて弓を射る達人」の「スキーの神様」のことだそうだ。オーナーの岩井さんは一級建築士の資格を持っているらしい。30歳の時,建築業からペンション業に転身した。ふだん建築雑誌の仕事にかかわる自分にとって,なんだか親近感がわいてしまう。
ウルルの魅力はやはりガラス張りのラウンジだろう。床暖房の入った2層吹抜けのラウンジからは,客室から廊下に出てくる人の動きがよく見える。ラウンジに掲げられた大型スピーカーは,「JBL」と「タンノイ」(そう岩井さんが言った)の本格的なオーディオ。いつもはジャズが流れているというが,なぜかわれわれがいる時は,環境音楽のようなものが多かった気がする。五竜行事の間中,ラウンジはSAK役員みんなの大切なコミュニケーションの場して活躍した。わたしもここで役員の人たちの素顔をかいま見て,感動した。

とっておき山田さん班

こちらも養成講習中

◆「最終日」
1月19日。ついに最終日を迎えた。
残念ながら,田場川博専門委員はきのうふくらはぎを痛めてしまった。どうやら肉離れらしい。わたしも3年前に,スキーで右足ふくらはぎを肉離れした。けがした当初,「たかが肉離れ」となめてかかり,せっせとプールに通い,すぐにスキーに行ったりしたため,さらに悪化し結局一シーズンを棒に振った。田場川さんには,二の舞はしてほしくない。「初期の安静が一番ですよ」とつい声をかけた。
 田場川さんの「準指導員受験班4班」は,今日は山田専務理事が引き継ぐことになった。野地副会長も一緒だ。わたしもしばらく付いていった。おりしも,「ストレートウィスキーコース」では,静岡県スキー連盟の技術選が行われている。自然と神奈川県の研修班は,隣の「コスモリバーコース」にひしめきあう。おかげで,いろいろな班の研修風景をカメラに収めることができた。
このあたりのバーンは,はるか昔,なにもこわいもがなかった時代に,「神奈川県技術選手権大会」に出場した場所だった。五竜の研修会が終わった夕方から,県の技術選が開かれていた時代があったのだ。山田さんは出場選手に「しっかりしろっ」とげきを飛ばしていたっけ。かたや,わたしたちのスタート前には,「なんでもいいからおまえらケガだけはするなよ。いつかシニア大会を作ってやるからな」といじわるを言うのが口ぐせだった。
まさかほんとにシニア大会ができるとはね……などと考えているうちに,山田さんを見失ってしまった。代わって現れたのは,木村徳善専門委員。「公認検定員クリニック3班」だ。コースの途中でデジカメを構えて,何人かの滑る姿を撮影した。北海道のキロロで一緒に滑った,「北海道にいた時の夜勤明けに,吹雪の中を車の窓を全開にして,ゴーグルをかけながら,スキー場まで車を飛ばす」あの近藤さんもいる。彼は撮影を続けるわたしに気がついて,思い切りVサインを掲げながら前を滑っていってくれた。だが,なぜかその時だけシャッターが下りなかった……。
木村さんの班では,ユニークな試みが行われていた。班員が順番に講師を務め,テーマを決めて講習するのである。「それではまだ,先生をやってない人」と言われて出てきた人が「ではシュテムターンを」と告げて,真っ先に降りていった。わたしも続いて降りていき,下で様子を眺めていた。一人ずつアドバイスもするのかなと思いきや,次々に滑り降りてくる同僚を彼は黙って迎えていた。

堀さん強化班

熱心に指導する柳橋さん

◆最近は,みんな『受験のための滑り』をしているような気がする
 そのままゲレンデを横断して,パウダースノーコースの上部に出る。ここでは「基礎スキー技術強化合宿」が行われている。スタート地点で,堀祐樹専門委員と,雪面に横たわって順番を待つ受講生を撮影し,ゴールへ。ゴール地点には,柳橋泰久専門委員,門脇均専門委員,伊藤明子専門委員がはりりついて,つぎつぎにノーストックで滑り降りてくる講習生に,一人ずつアドバイスを与えていた。彼らのほとんどが,翌週,車山高原スキー場で行われる「神奈川県・千葉県スキー技術選手権大会」に出場する。あのバーンに挑むとは,なんと命知らずのスキーヤーたちだ。なんとなく「絵になるなあ」と思い,林立するストック群をデジカメに収め,再び山田班に戻ることとした。
いいもりゲレンデに到着して,すぐに山田さんを見つけた。山田さんは「ジャンプターン」をしながら,「内足に乗るのは一瞬。うまく滑ることより,谷足に乗ることが大切だ。板の向きが変わってから谷足に乗るのでは困る」と班員に話していた。山田さんの話はわかりやすい。班員のひりと一人に向かって「語りかけている」感じがダントツに匂う。さらに,「ダブルストック」「軽いスキー」を実践。もうすぐ閉会式というギリギリの時間になるまで,講習は続いた。最後に山田さんは,「最近は,みんな『受験のための滑り』をしているような気がする。できるだけ長い距離を止らないで滑ってほしい。『ストックワークはこれでいいのか』『きちんと弧を描いてるか』と,滑りながらものを考えるトレーニングをしてほしい。シュテムやプルークなどの緩斜面種目は,顔を上げて,胸をはって,手を開いて,前を見て演技すること」と話し,「楽しく講習できた。ありがとう」と最後を締めくくった。

山田さん

エンレイの駒谷社長

◆「閉会式」
 11時10分。エスカルプラザの前の広場で,閉会式が始まった。野地副会長のあいさつに続き,山田さんが「神奈川県で正指導員を受験する人のほとんどが筆記試験で落ちてます。そろそろ勉強を開始してください」とチクリと一言。エンレイの駒谷社長が「5月連休まで営業してるのでどんどん来てください」と話し,ハンディキャップ委員会の村上委員長がHCスキー教室での検定結果を報告し,閉会式は終了した。
 その後,村上委員長に取材してから,ウルルに戻ると,役員の人たちの何人かはもう帰り支度をすませていた。いつものことながら行動のすばやさに感心する。上田英之専門委員にデジカメのデーターを渡して,パソコンにコピーしてもらう。それから洗面所で山田さんを発見し,「お世話になりました」とごあいさつ。楽しかった五竜研修もついにおしまいだ。わたしはスキーウエアを着たままだった。クラブの竹田さんの車で八方に移動して,めったにしない「スキー場のはしご」をする手はずになっていた。そしてその日は4時まで八方で滑り,へとへとになって帰宅した。


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