ホーム > 行事レポート > 2003 > 五竜1行事 ハンディキャップスキー教室
五竜T行事
指導員研修会(D)・公認検定員クリニック(D)
・基礎スキー技術強化合宿(B)
基礎スキー指導員養成講習会(B)
技術レベルアップ講習会(A)
スキーパトロール養成講習会(A)
HC(ハンディキャップ)スキー教室(1/18〜19)
大井智子 広報委員レポート
写真:HCスキー教室 写真:HCスキー教室

開会式のあと全員で

ボランティアの先生方

◆「第一回 障害をもつ人のためのスキー教室」
 1月18日(土)。2日目。
午前中は,SAKのHC(ハンディキャップ)委員会が主催する,HCスキー教室を取材することに決めていた。
午前9時から,エスカルプラザで「障害をもつ人のためのスキー教室」の開会式が行われた。参加するのは,聴覚障害,知的障害の人たち21人。5班にわかれて,あすの級別テストに向けた講習と講習内検定が行われる。
 講師を務めるのは,五竜研修会の申し込み用紙で「HC講師協力可否」の欄にチェックした先生4人と,現地で講師協力の要請を受けてくれた先生6人。全員が集合すると,講師のうち2人はうちのクラブ(スキー虫クラブ)のメンバーだった。

写真:HCスキー教室 写真:HCスキー教室

これじゃ滑らないよね

準備体操はしっかりと

◆オリジナルなみぶりてぶりで伝えていく
 SAKが主催する今年度の「HCスキー教室」の予定は全部で3回。知的障害,チェアスキーの人を対象とする第二回目は,3/29〜30に車山高原スキー場で行われる。知的障害,聴覚障害の人を対象とする第三回目は,「歩くスキー,クロスカントリー技能テスト教室」で,妙高高原池の平スキー場で,やはり3/29〜30に開催される。
 いいもりゲレンデに移動するため,まずは3班の人たちと「とおみペアリフト」に乗りこむ。リフトを下りたところで,みんなの板チェックが始まった。3班の竹田先生と高橋先生が,生徒のスキーを手にとって,ソールにべったりはりついた雪のかたまりを,「これじゃあ滑らないよね」と言いながら,ごしごし手でこすって落としている。
 その間に,2級受験班の2班を撮影することとした。講師は大田先生と郡司先生。先生の説明と,一人ずつ滑り降りたあとの注意点を,堀さんがすかさず手話で聴覚障害をもつ生徒たちに伝える。大田先生も中ターンやプルークボーゲンのデモンストレーションをしながら,「腰を前にもってくること」と,いっしょうけんめいオーバーアクションで伝達している。「これはだめ」と言うときは,両手で大きくバッテンをつくった。「上体はブロックして」「足首,ひざをしっかり曲げて」「手は大きく開いて」「ストックは視界に入るようにもって」と大切なことを,オリジナルなみぶりてぶりで伝えていく。
写真:HCスキー教室 写真:HCスキー教室

講習会が始まりました

感想ありがとう

◆飲み込みも早いし,上達も早いと思います
 ペアリフトに乗ったとき,去年3級を取って今年2級受験する女性の生徒に感想を聞いた。わたしの質問に,補聴器の感度を上げて答えてくれた。ほんとうは,感度を上げると,「キーン」という雑音が入ってたいへんらしい。「スキーをはじめて2年です。先生の話はわかりやすい。『左のターンがバタバタする』という自分の悪いところがわかったので,これから練習したいと思います。仲間のみんながうまいので,わたしもきれいなターンができるようになりたいと思っています」。始めて2年と聞いて驚いた。彼女のスキーの腕前はとてもうまかったからだ。
 続いて,「曲がる時にジャンプする」郡司先生の講習。「たまった力を使ってジャンプするんだよ。ジャンプしたら,板が下を向くからね。力がたまってないのにジャンプするから難しいんだよ」と,何人かが下で指摘されていた。午前中は結局,最後まで3班のそばにいた。お昼の時間になったので,そのままみんなでエスカルプラザに向かう。
郡司先生は,わたしのクラブの竹田さんと準指が同期だった。「よかったらクラブの人たちと一緒にお昼ごはんを食べましょう」と誘い,食後に「どうして講師を引き受けられたのですか?」と聞いた。「毎年,五竜研修にきています。講習会で『HC教室を教えてくれる人はいませんか』と聞かれて,手を上げました。学生時代にスキー学校でスキーを教えたことがあったので,そういうことを思い出そうと思って。一番気をつけたのは『事故をおこしちゃいけない』ということ。スピードと斜面設定のバランスにも,気を配りました。スキーはスピードを楽しむスポーツだと思っています。スピードは,制御してはじめて出せるものです」と郡司さんは答えてくれた。実際に講習をした感想を聞くと,「ただ教えられてスキーをするのではなくて,思ったよりもすごく興味を示してくれているのにびっくりした。具体的に積極的に『こうすればいいんですね』と,ゼスチャーで示してくれる。自分で上達したいと思わないと,そうはいかない。飲み込みも早いし,上達も早いと思います」という。
写真:HCスキー教室 写真:HCスキー教室

先生とツーショットで

3級合格おめでとう!

◆先生と写真を撮ってください
 翌日は1〜5級の検定が行われ,閉会式の時に検定結果が発表された。1級は残念ながら合格者はいなかった。2級は4人受験中,見事1人が合格した。3,4,5級はなんと全員合格で,それぞれ5人,6人,1人が表彰された。その笑顔や喜びようたるや,こっちまでうれしくなってしまいそうなものだった。最初に撮影した,3班の人たちは全員合格だった。「おめでとう!」と声をかけると,「全員3級合格と聞いて,『はあ?』ってびっくりしました。みんなの集中力です。先生たちはすごく細かく,よく指導してくれました。その指導がなかったら今日はダメだったです」と話してくれた。その時のすてきな笑顔は,「先生と写真を撮ってください」というリクエストに答えて,しっかりデジカメの中に収めた。
彼と写真に納まった竹田哲先生の感想は,「理論研修会の時に『五竜でHCスキー教室をやる』と聞いて,いい機会だからやってみようかなと思っていた。準指を取っても,なかなか指導する機会がないので。ただメーンでやるとは思ってなかった。二日やってみて,手話もできたらいいなと思った。みんながちょっとでもうまくなってくれたのがうれしい」。
写真:HCスキー教室 写真:HCスキー教室

村上龍爾ハンディキャップ委員長

先生方ありがとう

◆講師をやってよかった。やらなかったら,いろいろなことがわからなかった
  ずーっと昔,SAKの山田専務理事や柴田伸彦さんたちと,SAKのデモンストレーターとして全日本の技術選にも出た,高橋秀先生は,「健常者の人と変わりなく,違和感なくバンバン講習した。手話のできる町田先生が,転んでしまった生徒に『だいじょうぶ?どきどきしている?』と聞いてサポートしてくれた。そうなだめればいいんだとわかった。ひとり一人,課題ができるとうれしそうな顔をしてくれる。講師をやってよかった。やらなかったら,いろいろなことがわからなかったと思う」と教えてくれた。
 閉会式が終わった後,村上龍爾ハンディキャップ委員長に話を聞いた。「SAK主催のHCスキー教室が,全国に先駆けてスタートしたのは3年前。これまで5回開催された。以前はこちらからPRして参加者を募集していたが,最近は,ホームページやちらしを見て,個人的に参加してくれる人が増えた。スキーをしたいけれど,どうしたらいいかわからない人たちがいっぱいいる。その人たちをいかに引っ張り込むかが,今後の課題だと思っている。今回は,4人の先生が事前に講師を引き受けてくれて,『指導をするんだ』という意思をもって五竜に来てくれた。現地では6人の先生が講師を引き受けてくれた。今回はその意味ですごくよかった。生徒の人たちは,ぜひ2,3回と参加してほしい。いろいろな人に参加してもらいたいと思っている」(村上委員長)。
写真:HCスキー教室 写真:HCスキー教室

2級合格おめでとう

4級合格おめでとう

◆ 「HCスキー教室」級別テスト検定結果 H15.1.19

1, 2級
主任検定員:渡辺儀一専門委員
検定員:大田,伊藤
前走:佐久間,郡司
スタート:堀(手話)

1級合格者=なし
2級合格者=佐久間健治

3,4,5級
主任検定員:村上龍爾HC委員長
検定員:中谷,高橋
前走:竹田,打木
スタート:佐々木,町田(手話)
3級合格者=中村信一,桑江広介,金井虹子,唐津卓朗,小林りつ子
4級合格者=田辺文土,道端律子,石崎洋二,青木豪,小林修,青木陽子
5級合格者=川辺大樹

写真:HCスキー教室 写真:HCスキー教室

5級合格おめでとう

スキーは楽しいね

ホーム > 行事レポート > 2003 > 五竜1行事 ハンディキャップスキー教室